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8話 体育祭の終わり

今回合わせて残り2話です。

 借り物競走の後、童子は足の痛みを訴えた。やはり昨日の事故が影響して思い切り走ることは出来ないらしい。


 童子は理由をクラスメイトに伝え、俺は童子に肩を貸し保健室まで一緒に歩いた。


「すいません。肩を貸していただいて」


「いーよ別に。謝るならパンツを見せたことを謝ってくれ」


「なんでですか!?むしろご褒美じゃないんですか?」

 童子と話すのもだいぶ慣れたもんだなぁ。人と関わりを持ちたがらない俺が良くここまで話せるようになったもんだ。そう感心している間に保健室に到着。


「ありがとうございます。ご迷惑をおかけしました。体育祭、頑張ってくださいね」


「いやぁー疲れたなぁ。……いい口実だし俺もここで一緒にサボらせてもらうよ」


「私はサボってないです!おさぼりはよくありませんよ!!……本当によくありません。でも、今日だけは許します」


「ありがとな」


 借り物競走でたまたま1位を取れたとはいえやはりクラス対抗リレーを走れないのはショックだろう。練習も重ねてきたしな。こんな時は1人より2人でいた方が良いだろう。


「どうだ?悔しいか?走れなくて」


「実は事故をしてすぐ、もしかしたらクラス対抗リレー、走れないんじゃないかとは思ってました。そうなったら悔しいだろうなぁって思ってたんですけど、不思議と悔しいという感情はありません。むしろ清々しいです」


「それは良かった。練習は無駄になっちまったかもしれんが、努力の神様は応えてくれたな」


「む、無駄なんかじゃありません!お陰で来年も再来年も体育祭でみんなに迷惑をかけずに済みそうですし、凄く楽しかったです」


「そう言ってくれてもらえると嬉しいよ」


 春過ぎの暖かい陽気に晒されて俺の眠気は一気にやってきた。今世紀最大の眠気かもしれん。何だかんだ今日は頑張ったもんなぁ。


そんなことを考えているうちに俺はしばし眠りについた。







「Zzzzz……」


「……」


「Zzzzz……」


「あ、あの……」


「Zzzzz……」


「濱田さーん」


「Zzzzz……」


「だるいさーん」


「……っだるいさんて言うな〜ふぁぁむにゃむにゃ」


童子に名前を呼ばれて目が覚めた。名前じゃないけど。だるいさんて呼ばれたけど。


「おはようございます」


「ああ。おはよう」


「今ちょうど保健室には私とだるいさんの2人しかいないので、パンツを見せるなら今なんじゃないかと思うんですけど……」


 そーえばそんな約束してたなぁ。借り物競走で1着取ってから忘れてた。眠ってしまったし、そんなこと頭の片隅にも置いてなかった。


とは言えこれは練習を一緒に頑張った俺に与えられたご褒美であり権利なのである。


「そうだな。じゃあパンツ、見せてもらおうか」


「わかりました……」


 童子はベットから起き上がり着用している体操服を下ろし始める。


制服のときに見せてもらおうかなぁとか、コスプレとかしてもらってからでも良いなぁと思ったが、ジャージはジャージでなんかエロさ倍増だな。その恥ずかしそうでしおらしい表情がなんとも可愛らしい。


 少しずつ、少しずつズボンが下がる。ズボンは下がるがまだ上の服に隠れてパンツはお目見えしていない。もう少しで見えるのか!見えるのか!パンツが見えるのかぁ!!


「なーんて。冗談だよ」


「……っへ?」


俺は童子がジャージのズボンを下ろすのを止めさせる。


「そんな簡単に男にパンツなんて見せるもんじゃないぞ。童子に練習を一緒にしてくださいってお願いされたときはああいったが、本当にパンツを見せてもらおうと思って言ったわけじゃない」


「で、でも……」


「お礼をしたいって言うのか?それなら今度美味しいスイーツでも奢ってくれ。パンツを見せるのは好きになった男だけにしとけよー。女は自分を大事にしないとな。もう閉会式だ。そろそろ戻るぞ」


「……じゃあ見せても良かったんだけどなぁ」


「ん?なんかいったか?」


「いえ。なんでもありません!閉会式に行きましょうか」


こうして足を痛めた童子に改めて肩を貸し閉会式の会場であるグラウンドに向かった。



次の作品も短い連載で終わるようなものを考えています。

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