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この度は、2つめの作品にも興味を持っていただき本当にありがとうございます。よろしければ、こちらにも最後まで御目を通していただけると有り難いです。今回は会話文に初挑戦しました。精一杯考えたのでよろしくお願いいたします。
子供の頃、まだ幼く純粋な考えしか持ち合わせていなかった自分は、時々空を見上げた。あの途方もなく大きな大空を見上げる度に考えた。あの場所は一体どうなっているのだろうか。鳥のように何処にでも自由に飛んで行けるのならば、どんなに良いことだろうか。見上げる度に自分の身体を吸い込んでくるような空の彼方を見てみたいと願った。朝には光を与え、夜にはそれを奪って行く複雑な空を知りたいと祈った。
だが、そんな感情は遠い日の思いでとなっていた。
皇紀2618年1月15日、2機の亜音速ジェット戦闘機が、青く美しい海に囲まれたミッドウェー島の上空を、爆音を発しながら飛行していた。戦闘機の塗装は全体的に深緑色であり、翼と胴体にそれぞれ赤色の円に白色の縁のデザインをしたマークを有していた。それらは互いにちょっかいを出し合いながら、まるで子犬達がじゃれ会うように飛行していた。操縦士は機体を思い描くように動かして急旋回、急上昇を繰り返していた。片方が後ろを取ったかと思うと、もう片方は巧みに切り抜けて相手の後方へ回った。鬼ごっこの鬼と人間の役割が短期間に、たった二人の参加者の中で、次々と入れ替わっているという例えが相応しい光景が展開されていた。
「もういいかな、お嬢さん。演習終了時刻まであと5分だからそろそろ基地に向かわないとまた上官殿に怒られちゃうよ。」
焦燥感を漂わせながら無線に呼び掛けているのは、日本では標準的な亜音速ジェット戦闘機「震電2型」の操縦資格を持っている、帝国海軍所属の佐藤次郎であった。
「もう少し待って!あと少しくれれば『お嬢さん』なんて私を呼んだことを後悔させてあげるんだから!このまま30戦20敗なんて受け入れられない、屈辱なのよ!」
無線越しに威勢良く声高に叫んだのは、佐藤と同じく震電2型の操縦士で帝国海軍所属の鈴木一希であった。
彼と彼女はここに至るまでに、どちらがより優秀か決定させるための勝負をしていた。この勝負は、二人の過去に原因のある向上心から来たものであった。
二人の関係は、青年向けに海軍省が新しく設置した航空学校の非常に高倍率な入学試験を突破したところから少しずつ始まった。付き合いが濃厚になったのは、実習訓練で二人一組を組まされたときだった。
より優秀な者と組めば、それだけやり易く進みも早くなるわけだが、外見的な要素や性別的な要素から見限られた二人は余り者同士で仲良くする他なかった。ほとんどの航空兵候補生は、彼と彼女が底辺となることを予想したが、そうはならなかった。と言うより、そうさせなかったのである。能力の差を埋めるための必死の努力によって、体力面では劣っても操縦技能面で高い技術力を発揮して優位に立った。相撲対決で惨敗しても練習機の操縦では一度も負けはしなかった
こうして血で血を洗う激戦を背水の陣で切り抜けて、ようやくジェット戦闘機の操縦士への道を切り開いたのであった。敵という敵を全て蹴落とした末路にいた最後の敵は、二人一組の相手であった。
帝国海軍に配備されている震電2型が、各々のところに天皇陛下より下賜されたとき、二人は腕を高め合うためのライバル関係となった。それ以来、今に至るまでに30回の勝負を演習時間内に行ってきていた。
「屈辱って、本音言うなよ。少しは隠せよ。傷付くなぁ、全く。とにかく帰るぞ、急いでくれよ。」
全く心にもないようなことを生返事程度の口調で返したことで、挑発的になる効果が生まれていた。
「むぅ、次こそは勝ってみせるから首洗って覚悟しておきなさい!今日は、えっと、後ろを取った回数が49回で取られた回数が52回ということで次郎の勝利です、私もう帰る!」
不貞腐れた態度を取り、無線封鎖をすると震電2型の速度を上げてミッドウェー島の滑走路へと向かっていった。
太平洋の空には、北米大陸が存在する方向に巨大な積乱雲があるのみで、他に目立つようなものは無かった。これ程までに静かで平和な状態であると、アメリカ合衆国と戦争中であるということを忘れてしまいそうであった。
しかし、それでもミッドウェー島周辺の青い海には航空母艦「大鳳」が停泊していた。
2つめの作品を最後まで読んでいただきありがとうございました。これからも書いていきたいと思うのでよろしくお願いいたします。




