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陽姫の涙  作者: Stella
プロローグ
1/3

000:追憶






ーーねぇ、陽姫の雪っていうお話、知ってる?




昔、太陽のように美しく輝いていることから「陽姫」と名付けられたお姫様がいたの。


陽姫は誰もが好きになってしまうぐらい美しかった。


だから、たくさんの男たちが陽姫に結婚を申し込んだんだって。


でも、陽姫は誰とも結婚しなかった。




...どうしてだと思う?




陽姫はね、貧しいけど心の温かい漁師さんに恋をしていたの。


身分違いの恋に苦しんだ陽姫は、そのあとすぐに死んでしまったんだって。


でもね、思いを捨てきれなかった陽姫は、神様に頼んで1日だけ戻ってきたの。


そして、愛する彼のもとへと向かった。


そんな陽姫を見つけた彼は、なんとプロポーズをしたの。


実はね、彼も陽姫のことが好きだったのよ。


でも、神様との約束の時間が迫っていた陽姫は、「私もあなたが好きだった。ありがとう」とだけ言い残して、涙を流しながら空に昇って行ったの。



そして、陽姫の流した涙が、雪になって、悲しむ彼を優しく包み込んだんだって。




陽姫と漁師さんは、結局結ばれなかったの。


とっても悲しいお話でしょう?


でもね、このお話には続きがあるの。




陽姫が涙を流した海で、雪が降る日に結婚の約束を交わすと、陽姫が、結ばれなかった自分たちの代わりに永遠の愛を与えてくれるっていう言い伝えがあるのよ。


大切な人と、永遠に離れることはないんだって。




あなたもいつか、離れたくないと思うほど愛する人に出逢う日が来るわ。


その時は私の話を思い出して。


そして私の分まで、幸せになってね。





















「ねぇ、教えてよ」



少女が問いかける先には誰もいない。穏やかなさざ波だけがゆっくりと、ただ静かに、少女に近づいては離れていく。



「幸せって...なに?」



沈む夕陽に橙に染まった海が、少女の声を静かに飲み込んでいった。






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