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第0章

 ここは聖山学園高等部。ここに通う生徒の多くは、何かしらを抱えていた生徒が多かった。過去に何かしら傷を負った生徒や、何かしら罪を背負う羽目になってしまった生徒が。そうしてしまったのが環境なのか、それとも自分自身で選んだ道なのか。それは分からない。

 さて、説明が遅れてしまったが、この学園ができた経緯を説明しよう。とは言っても前記を見ればわかると思うが、改めて説明したいと思う。この学園ができた経緯は、至って簡単だ。聖山学園に通い、その心の傷を、その罪を癒すためにと作られたのだ。罪を負ってこの学園に来る生徒も少なくはなかった。罪を償うためにここを選ぶ生徒も中にはいた。だからと言って、ひどいことは何もなく普通の高校生として、”あの日までは”過ごしてもらった。


 ある日だったか、学園に残っていた生徒や寮にいたはず数名の生徒が忽然と姿を消した。残された生徒は一概にして、神隠しにあったのだと告げる。教師も全力を尽くし周辺を探し回ったが、結局見つからずに、徒労に終わってしまった。警察にも協力をしてもらったが、最後まで見つかることは無かった。しかし、事態は急転した。そう、学校の裏山で見つかったのだ。誰ひとりとして残さず、死体もして。警察からは、疑われたが、司法解剖の結果、突然死として纏まり、未解決事件の仲間入りとなってしまった。

  これは多くの生徒の中で有名となり、いつしか、この学園の七不思議の一つとしてラインナップされた。


 数年後。再び多くの生徒が行方をくらました。もちろん、その後の行方を知るものは誰ひとりとしているわけが無い。


 ────


「おはよう、選ばれし者達よ」


 連れ去られた生徒達は学園の至る所で目が覚めた。目が覚めた少女が誰かに問いかけるように声を張り上げた。

「……貴方は、誰なの?!ここは、どこなの!!」

 と。

「ふふ、そんなのひ……み……つ……に決まってるでしょ?だって知ってしまったらつまらないでしょう?……そうねぇ、あえて言うならここはあなた達選ばれしものもよく知っている場所、とでも言おうかしら?……私のことについては、ここから抜け出せたあなた達選ばれし者の脱出成功者になら教えてもいいわ」

 その答えに答えるかのようにクスクスと面白そうに声を出したのは年端もいかない少女のような声をした放送だった。

「……出口はどこにあるの!」

 声を張り上げた少女は恐怖を隠すように再び声を荒らげる。しかし、その言葉は教えるわけがないでしょう?と一刀両断にされてしまった。

「やだ、教えるわけがないでしょう?まぁ教えたところであなた達にはまだ開けられないわ。まぁ、物語を進めれば、自ずとその扉、その扉を開く術を嫌でも知ることになるわ」


 クスクスという笑い声はいつまでもその場に響き、徐々に浸透していくのであった。

 ────……


「もう辞めて!!私たちが何をしたというのよ……っ!!もうこんなことをしたくないの……止めたいの!!もうあの時、やらないって決めていたのにっ……!!もう私は多くのものを失ったわ!もう、これ以上何を失えばいいのよ……っ!!」


 少女は叫ぶ。泣きながら、叫ぶ。多くのものを失い、それでもまだ失い続けなければならない事で。仲間を信じられないことで。

「……なんで……って、愚問ね。そのあなたの体に流れている罪をすべて綺麗にするためよ。……忘れちゃった?あなたの犯した罪────を」


 そういうあどけなさを残した少女の声は酷く冷静で、凍てつく氷のように刺があるのだった

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