3回転目
あの女との面会から3週間が過ぎた。
俺はあんな変な女の事なんかすっかり忘れて仕事やプライベートを楽しんでたので、記憶の彼方に追いやってたのだが向こうの方からこちらに押しかけて来やがった。
自宅でバイクのパーツ交換と整備をしているとインターホンが鳴ったので玄関を開けると、そこには何時ぞや面会であった女。
「お久しぶりです、本山春樹さん」
「……お久しぶりです……」
え?何で自宅にコイツ来てるの?
半ば混乱している頭で周りを見るとゴツイ黒のスーツを着た男が3人。女を囲う様に佇んでいる。
「では行きましょうか」
その一言で男達が動き出す。
一瞬で鳩尾に鋭い一撃を受けて呼吸が出来ない状態になり、そのまま男達に圧し掛かられて、手錠と頭全体を覆う頭巾を付けられる。
完全に頭は混乱し、暴れると殴られる。
視界が完全に封殺された状態でどれ程の時間が経っただろう。
途中何度か抱えられたりしたのは、多分車を乗り換えたんだと思う。
暫く歩かされると長い混乱と不安の時間は唐突に終わった。
頭巾を取られ、視界が開けたと思うとソコはコンクリートがむき出しになっている部屋だった。
「貴方には今日からココで暮らしてもらうわ。やるべき事も追々知らせるから今暫く休んでなさい」
それだけを言うと女はドアを潜り出て行った。直ぐにドアに近寄るが開かない。
そもそもドアノブらしいものが見当たらない……自動ドアなんだろうか。
仕方なくぽつんと置いてあるベッドに身を投げ出し目を瞑る。
色んな考えが頭を巡る。
だが現状を打開する方法や理由等は幾ら考えても浮かんではこない。
目を瞑り横になっていたお陰か、何時の間にやら俺は眠りについていた。
身体を揺すられて居る事に気が付いて目を覚ます。
女と黒スーツの男達が立っていた。
「シャワーを浴びてコレに着替えなさい。着替えたらこの男に案内してもらって」
それだけ言うと女は男を一人置いて出て行った。
眠い目を何とか開きながら男にシャワーの場所まで案内してもらった。
まったく、何をやらされるのやら。