26回点目
湖に繋がる穴を只管進む。道中に転がる死体を出来る限り視界に入れないようにしながら。
おぼろげな記憶を頼りに多少迷いつつも歩き続けると自分が目覚めた場所へ辿り着いた。
そこはまるで浄化槽の様な場所で、下に溜まった水には大量の血や肉が溶け込んでいる……先程までの光景を考えると色々想像したくない。
救いは明々と電灯が灯っておらず、非常灯だけなので直視せずに済んだ事か……だが同時に仄暗い水面はまるでこの世の地獄と言わんばかりにも思え、更に匂いに頭がクラクラする。
兎にも角にも、一刻も早くこの場を離れたい一心で建物への侵入出来る場所を探して回る。
俺がこの穴に入ってどれ位経った?
案外一時間も経ってないかもしれない、だが体感時間は1時間や2時間なんかじゃ済まない。
どこまで歩いても自分と似たような顔した死体が水に浮かび、時に肉はぐずぐずに崩れて骨が見える。
甘い匂いとモノが腐り饐えた匂いが立ち込めて嗅覚が麻痺する。
踏みしめる足にソレ等の感触が伝わってきたときは肌が総毛立つ。
精神を削りながら探索し、やっと入って行けそうな場所を見つける。
梯子を上り、頭の上にある扉をゆっくりと押し上げて開ける。
建物の中はてっきり電灯がついてるもんだと思ってたがそこに灯りは無く、暗闇が広がっていた。
まあそれでも所々非常灯っぽいのはあるので完全な暗闇じゃないんだが。
一先ずここはアノ女の拠点って事を意識しながら歩かないとな、じゃないと返り討ちにあいそうだし。
しかし此処には監視らしい監視が無いな……カメラも人も居ない。
何となくイヤーな予感がするな。
少ない光を頼りに各部屋を探す。
空き部屋だったり、資材置き場だったり、資料室、食料胡、医務室……etc.etc。
一際廊下に漏れ出る音の大きいドアを開ける。
そこには大型のコンソールにモニター。大量の円筒形のガラスとソレを満たす液体。
満たされた液体には人が浮かんでる。
自分と同じ顔をした人が。
どれ位その光景に呆然としてたのだろう。
大量にあるガラスの一つが急に音を立て始めた。
急ぎコンソールの陰に隠れる。
音を立て始めたガラスを見ていると中の液体が抜かれていく、そしてある程度液体が抜けた所でガラスの中に居た人がバラバラに切り刻まれて液体と一緒に流されていく。
自分の目を疑う光景にクラクラしつつ、目の前のモニターを睨みながらコンソールを叩く。
この部屋のレポートがあったので軽く流し読みをした……この部屋の名称は『苗床』
俺とあの女の遺伝子を掛け合わせた人間をベースに色々な細胞を組み込む事で、元来俺自身に備わってる細胞に変化を与え即戦力にする。
一定以上育った段階で素養が現れない固体は地下に破棄し、新たな固体を製造する。
足元が揺れる、気分が悪い。正にココは地獄だ。
悪い冗談にしか見えない、俺の人生はどこで間違ったんだろうか。




