社畜、川畑浅也(3)
お目を通していただきありがとうございます!
3年が経った。春夏秋冬季節が合計12回もコロコロ変わったが体感的にはとても早く感じた。これも仕事を懸命に頑張った証だろう。
恩師の言葉を信じて3年、同僚は堪えきれなくなって辞めていく、新社会人は現実とラーメンの黒さを見て辞めていく。季節と一緒に顔ぶれがコロコロ変わったが浅也にはどうでもいいことだった。
視界真っ黒なのだから。
四季折々、十人十色。なにも変わらない。季節は一つしかなく、人は全員同じ人。
春も、夏も、秋も、冬も。客も、先輩も、後輩も、元店長も、新店長も。
3年間の中で1番大きな変化は店長が変わった。前の店長は売り上げ向上を認められてどっか上に就いた。しかし店長が変わっただけだ、方針が変わることもなく黒いまま。
外に出れば真っ直ぐ仕事に向かい職に従事するのみ。家に帰れば食事、風呂、寝るのみ。
黒く濁った瞳で浅也は悟った。もう続けられない。続ける理由もない。自分でも良く3年も恩師の言葉一つで耐えれたと思う。
仕事、探すか.....
心残りがあるとするのなら、3年間の唯一支えであった先生に一口自分の作ったラーメンを食べてほしかった。
まあ、そんな無理なことを言っても仕方なねーや。先生、転勤で外国だしな。別に死んでないよ。
お金を使う暇など闇に飲まれていたので、講座にはお金だけはある。夢はなし。
こんだけあるなら仕事しながら探さないでも辞めて仕事探すだけに集中してもいいなー。
1ヶ月ぶりの休みに邪魔が入らないよう携帯の電源をを落として、社会人になって早い段階で買って契約して結局使ってない無駄なパソコンでネットサーフィンをしていると、一つの広告に浅也のコーヒー色した目が奪われる。
皮肉にも、それは夢と希望を持った若者を暖かく向かいいれる春のことであったが、浅也にはそれがよく分からなかった。
次回投稿明日の午後6時となります
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