社畜、川畑浅也(2)
お目を通していただきありがとうございます!
川畑浅也には他の多くの社畜とは違う逃げ道があった。
別に川畑浅也はラーメンは好きだが仕事にしたいわけではない。給料が良かった。それを綺麗な理由を添えて整えただけであった。これほど辛いのだ。少し目先のものが少なくなってしまうかもしれないが違う仕事を探すことだってできる。川畑浅也にはそれを可能にする飲食店では使うことがない豊富な資格だってある。
ーーならなぜ仕事を探さないのかーー
恩師である先生に顔向け出来ないのだ。
川畑浅也はここ数ヶ月で前よりもさらにこのラーメン店のスープのように心がブラックになった。いくら他の奴の仕事が増えても関係ない。潰れてしまえこんな店ぐらいには思っている。親にも「ちょっと自分には合わなかった」ぐらいの説明でちゃんと別の仕事に付ければ問題ないだろう。
しかし恩師にはこう言ってしまった。
ーー「俺!ラーメンで世界取るんです!」ーー
ああ、まだ目が燻ってないキラッキラしてた頃の俺よ。お前はいいな若くて夢があって。出来ることならその目が薄汚れないで欲しかったが3ヶ月でもうちょっと黒ずんでるよ.....
心は確かに汚くなった。それでもあれだけ自分のためにとあれやこれやとしてくれて、相談に乗ってくれた先生に対して、ここで仕事を辞めるということは最低の行為だと思った。
当の先生は言っていた。
「どんなに自分に向いていると今思っていても、いざやってみると、ああ、これは俺には向いてないと感じることはある。それでも、3年。3年はやってみてくれ。3年続かなきゃ他ぁなぁんも続かない。3年やれば楽しくなってくるかもしれない。どうしてもダメならそこできっぱり辞めて、また探しゃいいさ。」
3年、か。そうだな、3年やってみよう。3年のうちにブラックな方針が変わるかもわからん。そう考えると明日に希望が持てる気がしてきたぞ!
浅也のテンションが恩師の言葉でテンションが少し盛り返した。そんな浅也に一本の電話。休日返上の一報。しかし今の浅也のテンション上昇を歯止めるほどの威力はなかった。
ここまだ読んでくださりありがとうございます!本日午後6時にもう一話更新しますので良かったら来てください!