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川畑浅也の脱社畜計画  作者: 川畑浅也
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夢追いし者川畑浅也(1章終)

お目を通していただきありがとうございます!

 暖簾をくぐった先は一つの世界が広がっていた。


 チェーン店のラーメン屋さんは開業から3年は経っているはずなのに僕の目には何もかもが輝いて見えた。床、調理場、飲食店特有の大きな冷蔵庫、一度職場見学で見ているがなんだか新鮮さがあった。


 なによりもほのかに香るラーメンの味わい。ここで僕は一人前のラーメン職人になれるんだと確信を持った。


 今年の新入社員は僕一人だった。

面接段階から僕1人しかいなかった。面接の時はテンションでわからなかったが、いざその時となるとちょっぴり不安になった。そんな不安を払拭するかのように、先輩方は職場見学の時と同じように優しく、お客様と接するように僕に一つ一つ丁寧に仕事を教えてくださった。ありがたい、なんて恵まれた環境なんだ。


 なによりも嬉しかったのはお客様がお帰りの際の

「ごちそうさまでした!美味しかったです!」

 この仕事にして良かったと心から思えた。こんな素晴らしい仕事なのに求人は僕1人。みんな馬鹿だなぁ、ま、そのおかげも後押ししてすんなり採用されたんだけどね。


 新人の僕はまだ調理場に立つことは許されないけれど、このアットホームな雰囲気のおかげで、僕はテンションを高いところでキープしたまま最初の給料を手にした。正直もう給料なんか生活できればどうでも良かった。ありがとう、あの時給料に釣られた僕。


 心地よく月日は流れる。6月ごろになった。

 僕が仕事に慣れてきたからか、先輩方が冷たくなった気がする。多分気のせいだ、僕が職場に溶け込んできた証だろう。

 僕が仕事に慣れてきたからか、仕事の時間が増えてきた気がする。きっと気のせいだ、慣れたんだから仕事が増えるのは当たり前だろう。

 僕が仕事に慣れてきたからか、残業代が出ない。い、いやまあ、多分気のせいだ。日々の仕事の疲れで気づいてないだけ.....


 おかしい、流石にそれはおかしい、いくらなんでもそれはおかしい。残業代って普通は出るものじゃなかったっけ?

「てんちょー、僕の残業代ってどうなってますかー?」

「HAHAHA、なにを言ってるんだ川畑、サビ残に決まっているだろう?」

「そりゃそうっすよねー、HAHAHA」

「HAHAHA」「HAHAHA」

 うん、店長と笑い合えるぐらいに仲が良いぞ、最近先輩たちの目が笑ってない気がしたけどこれもまた気のせいだったんだなぁ。


 まあね、残業代が出なくてもこの求人に白羽の矢が立ったきっかけの魅力的な昇給がある。今月の給料から昇給だ。これがあるから頑張れるってものですよー!僕は銀行講座を見て心弾ませ、


 あれれー?おかしいぞー?給料が先月と一緒だぁ

 んー?これはどーなってるのかなあー

 

 銀行講座を見て心弾ませたかったがそのまま地面から跳ね返ってこなかった。


 「てんちょー、昇給のはずなのに増えてないんですよ、もー気をつけてくださいねー」

 店長の前で預金通帳を掲げる。ご丁寧に店長も1枚の紙を掲げる。

 「なになに?...

 1枚の書類、要約すると昇給は別に義務ではない、というようなことについて書かれていた。

「HAHAHA、川畑は頑張ってくれてるけどミスも多いかラなー。まダ昇給するわけにハいかないカナー、とコロで明日休みにナッテるケど入レる?ハイレルヨネ?」

 え。ちょっ無理でーーー店長の背後から先輩が見えた。その死んだ目は確かに語っていた。

  ーーーWelcome to black Kawahataーーー

 

 






 

これにて第1章無事簡潔でございます。

次からの第2章、どうぞよろしくお願いします!


か、感想なんかいただけるとうれしーなー

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