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賀茂陰陽伝  作者: 東雲しはる
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本当は優しい兄

「……うん?」


守道はゆっくりと深呼吸で気持ちを落ち着かせながら吉平に聞き返す。

そして、優しく微笑んだままの吉平を正面からみつめた。


「きっと、父上達にも事情があるはずだよ。 だって、父上達は……陰陽師なんだから」

「……うん……」


そう、凄腕の一流陰陽師。

闇を背負う陰陽師であるからには、公には出来ないものを抱えることもあるだろう。

それはけして、自分から口には出さないのだ。

陰陽師としての腕が上に行けば行くほど、口には出せなくなる。

きっと、今回のこともその中の一つなのだろうか。


「大丈夫。 きっと大丈夫。 確証はないけれど、そんな気がするよ」

「なんだよ、頼りないなぁ……」


慰めてくれているのだろうか、吉平の声が優しい。

そんな吉平に、からかいの混じる声で守道は呟いた。

顔は安心しきったような、柔らかいものに変わっている。

吉平の言葉に、少しだけ気持ちが軽くなった証拠だ。

そんな守道をみつめ、吉平も安堵の笑みを見せた。


「………そういえば、吉昌起きないねぇ……」


ふと思いついたように、吉平はゆっくりと起き上がって背後を振り返る。

その先には、気持ちよさそうに眠る吉昌がいた。

起きる気配は全くない。

吉平はしばらくみつめていたが、やがて手を伸ばす。

そして、吉昌の肩に手を添えて、ゆさゆさと軽く揺さぶった。


「吉昌……吉昌、起きて」

「……………」


揺さぶっても、返ってくるのは柔らかな寝息だけ。


「吉昌ー……、朝だよ?」


ゆさゆさと、さらに揺さぶる。

しかし、やはり起きる気配はない。

よほど深い眠りについているのだろうか。

寝顔はあどけなく、幸せそうだ。

それを見て、守道と吉平は同時に笑みを浮かべた。


「気持ちよさそうに眠てるなぁ……」


羨ましいくらいだ。

そんな気持ちを込めて守道が呟く。

守道の言葉に同調するように、吉平は緩慢に頷いた。

「うん……ここまで気持ちよさそうに眠っているのに、起こすの可哀想だねぇ……」


どうしようか。

吉平はそう困ったように呟いた。

兄である吉平のちょっとした優しさが躊躇いを見せる。

珍しい。

普段はどちらが兄かわからないくらいなのに……。

だが、やはり吉平は立派に兄であるのだとわかる。

吉平にいつもの飄々とからかったり、ふざけたりがなければ、吉昌も素直に慕ってくれるだろうに。

守道は吉平の背後で優しい笑みを浮かべた。

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