第一話【とある日のお話 】
お久しぶりです、861です。なんとか第二話投稿できました。それでは、どうぞ。
・・・で、【木崎正嗣】は生まれ変わりを果たした訳なのだが、産まれてからは以下省略。そんな感じで齢十五、六になったとある日・・・、
「・・・やってしまった。これ、どうしよう」
「・・・知らん」
・・・お宝探しとしゃれ込んで、近くの山に友人複数で行ったものの、道に迷って妙な場所へ。
「つか、ここ、どこ」
「それこそ知らん」
「・・・この中で、なんかこう、照明弾つぅか信号弾撃てるやついるか? 」
とりあえず提案してみるも、
「照明弾って、なんだ? 」
となる始末。
「・・・えっと、なんかこう、目印代わりに空に打ち上げてバーッて光るヤツ」
「・・・山火事になってもいいなら、こんなのあるけど」
なにやらごそごそ取り出した友人Aことシモン。
「シモン、その筒何だ」
「えーとほら、祭でドカンドカン上げてるアレ」
「「・・・そんなモン持って来るなよ」」
「ダメだったか? 何かの役に立つかと思ったんだけど」
「いや、ダメじゃないだろうけど、・・・なあ」
「・・・これ、どうするんだよ」
思わず3人で顔を見合わせる。
「・・・うーん、どうするかなー。・・・ヒィッ!? 」
ちょうどその時、顔の横数ミリを、一本の矢が。
「・・・なんだなんだ、獲物に中ったかと思いきや、ガキが三匹かよ」
現れたのは、四十代前半かそこらの猟師と思われる男。
「・・・あー、びっくりした」
「そりゃこっちの台詞だ坊主、ガサゴソ葉摺れの音がしたから獲物かと思って来てみりゃあ、道に迷ったガキんちょ3人。あーぁ、矢一発むだにしちまったなぁ・・・、っと!」
明らかに面倒くさそうな様子の猟師のおっさんは、振り返り様に真後ろのどこかへ矢を放った。 直後、女性の呆けたような声と獣の断末魔。
「「「・・・は? 」」」
・・・3人がいたのは、どうやら山の裾野ら辺だったようで。声の方へ行き、そこにいたのは・・・、
「・・・・・・なんというかその、助かった」
「そうかい、良かったな。・・・その装具、シュヴェルグの翼竜騎兵か、久々に見たな」
軽装とはいえ、いわゆる騎馬兵とは異なる意匠の鎧を纏った、声(と鎧の形状)からして若い女騎士であった。あと、後頭部に矢が刺さった一頭の熊(後で聞いたがボルトベアーという種類らしい)の死体。
「シュヴェルグのワイバーン? 」
「ん? ・・・ああ、こっから北に大分行った所、というか北の大陸にある、ゲーベルク連峰つう険しい山々を擁するシュヴェルグ領ってのがあるんだかな、そこじゃ馬の騎士よりこっちの方が多いんだとよ」
意外と詳しく語るおっさんハンター。
「確かにそうだが・・・、貴殿、行った事があるのか? 」
「行ったっつーか、古い馴染みがそっちで商売しててな、その縁だ。それでよぉ、お前さんの翼竜はどうした? 」
「・・・そうだった」
そう言うと、首に紐で引っかけていた小型の笛のような物を吹いた。
・・・それからしばらくして、一頭の紺鱗の翼竜が降りてきた。
「「・・・初めて見た」」
「だろうな」
初めて見る翼竜に感嘆しきりな少年3人。
「そいつ、名前なんてんだ? 」
「ガルネーレだ」
「ガルネーレかぁ・・・」
「(・・・ガルネーレ? エビ?? )」
「どしたぁマシュー、変な顔して? 」
翼竜の名に首を傾げていると、友人Bことヨハンが声を掛けてきた。
「いやさ、何でか知らねえけど、どっかのおっさんの話で、腕ほどの長さのあるデカいエビが出てきたのを思い出してよ、確かそれが、大王海老・・・、【ガンベレット・インベラトーレ】って呼ばれてるやつだったてのを、なんでか今思い出したんだよ」
「・・・腕ほどの長さのエビか、随分喰い応えのありそうなデカブツだな
「全くだ。まぁ、私も海産系は大好きなんだがな」
「・・・意外な意気投合したな」
「・・・あぁ、この二人、グルメか? 」
にぃ、と口元を歪めるハンターのおっさんと、腕を組んでうんうんと頷く女騎士。
「それはそうと、おいアンタ」
「・・・なんだ? 」
「時間も時間だ、この坊主ども、送ってってやれねぇか? 」
おっさんハンターにそう言われ、ふむ、と考え込む女騎士。
「・・・これといって駄目、という理由があるワケでもないのだが、そもそも彼等をどこに送ればいいのだ? 」
彼女が初対面の3人の現住所を知っている訳がないので、おのずからそのような疑問が出てくるのである。
「あー、確かになー。ついでに言えば、俺も知らん」
「・・・・・・まさかとは思うが、赤の他人の私に、自分が送り先知らないのをいいことに、責任を押しつけようとしたわけではなかろうな」
明らかに、声にイラつきが混じりだした女騎士。
「・・・は? んなワケがあるか」
「・・・二人とも、ケンカしないでくださいよ。山の反対側だってのはわかってるんで、俺が案内役やりますから」
ケンカになるかならないかぐらいで、割り込み宥める。
「そうか、ならいいんだが」
「それで、乗っても良いんですか? 」
念のため、女騎士に聞いてみる。
「だから言っているだろう、問題はないと、な」
どうやら承認の言質は取れたようだ。
「そうか、じゃあな坊主ども」
「おっさんもお達者でー」
「お達者ぁ? 生意気なセリフを吐くんじゃねぇや」
「・・・空気読まないのはわかってるけどよ、この大きさじゃ、みんな纏めて乗れなくね? 」
改めて、そこに気づいたヨシュア。
「「「「・・・・・・」」」」
「し、心配するな! 一人一人順番に・・・、」
「それじゃあ埒が開かないでしょうに」
「ならば、どうしろというのだ」
・・・すると、何の偶然か通りかかる幌馬車一台。
「・・・お、ちょうど良いところに。なあ、このガキんちょ乗せてってくれねえか」
「・・・一応聞くが、誰がその分出すのだ? こちらとて慈善行為でやっている訳ではないのでな」
被っているフードのせいか、表情はいまいち見えない御者。
「・・・いくらだ」
「・・・この表の通りだ」
一枚の紙を提示する御者。
「わざわざそこまでやるか」
「時は金なり、と言うだろう? それに、商売は公平でなくてはな」
「ごもっともっちゃごもっともだな」
「どうしてもというのなら、彼らの親に請求するだけだが、私はどちらでも構わん。早く決めてくれないか、こちらは荷物を抱えているのだ」
焦れったそうな御者。
「「「荷物? 」」」
「そうだ、荷物だ。仕事柄運送業務を頼まれることもあってな、それ相応の料金さえ積んで貰えれば中身は気にせんよ」
「・・・あの、つかぬ事をお伺いしますが、例えばどんな? 」
「竜騎士のお嬢さん、名前は何だったかな」
「ベアトリス、ベアトリス・グラオヴォルフだ」
「そうかベアトリスか。・・・色々あるが、引っ越しの荷物に討伐やら発掘の戦利品、一般に流通しているものや表にだせない曰くありげな品物の取引の中継役等々・・・、そんな所だな。それはそうと乗るなら早く乗りたまえ、特別に今回はツケにしておこう」
指折り数えながら答え、乗るよう促す御者。
「あ、はい」
「お邪魔しまーす」
「本当に良いんですか? 」
「構わんよ。それではお二方、コレにて失礼」
そう言うと荷馬車は走り出した。
「・・・行ってしまったな」
「・・・そうだな」
「・・・なぁ」
「なんだ? 」
「あの荷馬車の後ろから、ガタガタ音がしていたような気がするのだが? 」
「奇遇だな、気のせいじゃないと思うぞ」
To Be Continued,
いかがでしたでしょうか? がんばるだけです、はい。