私はバスに乗車した。暫くしてからバスは爆発した。
さあ、これから【文体練習】をしてみましょう!
お題は――『バス、ガス爆発』です!
……していただきたいのは早口言葉じゃあ、ありませんよ?
それでは皆様、張り切ってどうぞ!
◇何の変哲もない青年だったAの場合……
駅までは歩くと遠いのでバスに乗ったんだ。
そしたら、色々あってバスは爆発したんだ。
◇幼い少女だったBの場合……
ワタシね、ワタシね! ともだちんちへあそびにいきたくて一人でバスにのったの!
ワタシがバスのうしろにのってたらね、きゅうにど〜んとなってひかったの!
◇サラリーマンだったCの場合……
何てことだ! 早くバスに乗らなければ遅刻してしまう!
座席は埋まってるし、仕方が無いから吊革にでも掴まろう。
十一時のミーティングには間に合うのか、私は……!
――え?
◇平成のギャルだったDの場合……
今日ナょωヵゝ廾ーL|ぁ友├ヵゝяぉヶナょωナ=″ヶ├″、最近彼氏├別яeナ=яιぃっιょー。
ぃゃヵゞ干τ″∧⊇ωτ″τぅヶゐ。ょ<分ヵゝωナょぃヶ├″、⊇яeヵゝя楽ιヶL|ゃぃωじゃйe?
τぃぅヵゝI£″£ω中光っナ=∧″……?
◇語彙力ゼロの男だったEの場合……
ピンポーン、パタパタパタ……ガコン。
ピッ……シューン、パンポン……パンポン……
――ポンっ。 モッシュ、モシュ……。
――バタバタバタ!!
――シュッ! ――シュッ! グサッ!! ……シュウ……
――ドカーン!!!!!!!!
――キーン……
◇顎が外れて子音が出せない女だったFの場合……
ああおおあいああうおええいあえあういおっあおあええお、あんあああうおあああ゛あああいい。
うんえんえいおおおえあいうおういああううおあううおおおおあっあえお、おうえんううおあいいあああいーあんおあいおおいあううえんおいおあああおきいおうえあああいあうあうをおおいあおお。
◇ネットの闇の住人だったGの場合……
NWAATKRTMONN!!
SIEIBNASENNANAWSRB、BKHBSNNTND。
SSTRS、「OIKR! KNBSHORGJKST! OTNSKORNIUKTWKK!!」TNDGU。
OTKHABRTSENTBKHHWTKRT、SNSNKNBSHBKHTS、BKTTJKKHMKKMRTSNDND。
◇カメラの回っていない少年だったHの場合……
だれにもないしょでね、お出かけしたんだよ。
そしたらバスにのったの。 すっごいゆれてた!
でもね、と中でね、バスの中、うるさくなったの!
大人の人があばれてて こわいの!
それでね、しずかになったと思ったらね、目のまえがぱーっと白くなってね。
ぼくは、しんじゃったの。
◇目覚めの悪い現場の女だったIの場合……
「どうも〜現場のリポーター(自主規制)でーす!
実は今からバスに乗ろうと思うのですが、朝から乗客の方がたっくさんいらっしゃいますね!!
私も含めたら大体二十六人でしょうか??
せっかくなのでお隣の方にインタビューしましょう!
空席がございませんので吊革をお借りしてっ……て、うわぁ!?
やめてください! 危ないですよ! ちょっと話聞いて――、…………」
◇生きる理由を終えたJの場合……
一日バスに乗るのがワシの日課じゃ。
今日も乗り込み、優先席へ。
――ふぅ〜〜〜。
家内には先立たれ、息子達も結婚して家を出てしもうた。
……にしても、今日はドタバタしていて騒がしいのう。
まあ良い、一眠りすりゃあっという間じゃろう。
――ん? 何じゃ、エアコン辺りから降りてくる卵が腐ったような臭いは……??
◇某探偵が間に合わなかったKの場合……
ギリギリ 講義に遅れぬように。
フラフラ 昨日は酒飲んだんだよ。
それでも バスに乗り込めば――
大丈夫? 刺された場合は?
◇図らずして最期を迎えたLの場合……
今朝も乗客の多い路線バス。
【やはり、私は……】
堕天使が林檎を貪るように。
【間違って……なかった……】
僕の背中を切り裂いた。
【……が……ま……】
――――世界は一瞬白く染まると、程なくして暗転した。
◇問い続ける面白い社長Mの場合……
「『世界情勢は俺が壊す!』 君はそう言ったぁ……」
「私に歯向かった罰だ……。 その驕りを、断つ……」
「犯人ですゥ!! 何故君が社会に受け入れられず、孤独に単身成れたのか……」
「何故人々に刃を振るうことが出来たのか」
「何故犯行後に心を痛めるのカァ!」
『……! それ以上言うな!』
「その答えは、ただ一つ……」
『やめろー!!』
「ハァ……犯人ですゥ!!」
――犯人は黒ワイシャツの襟首を強く掴んだ。
「君はァ、生まれて初めて……バスジャックに――失敗した、男だからだァァーハハァー!!」
……その後、バスは爆発した。
(私の残りライフ、九十九)
◇ 日本語からオランダ語に通訳したのに、わざわざイタリア語⇒タヒチ語⇒スワヒリ語を経由してから日本語に再通訳する女だったNの場合……
駐車場が遠かったため、私はバスに乗った。
……その後、一連の出来事を経て、そのバスは爆発した。……た。
◇ 奇声を上げ続ける引きこもりの青少年Oの場合……
「ピーンポーン!! イヤァァー!! ヒギィッ!! ヒッヒッヒッヒッ……ドカドカドカァァーーー!!!!」
◇ 右から左に受け流すロケバスに乗り遅れる男だったPの場合……
。る来てっ持をフイナ、らか前、らか前
!〜ぅす流け受へ左……をれそ、は僕
。〜た来てっやらか前、〜たいてっ持に手右
!〜は男の面覆、〜たいてっ持をフイナ
。〜ぁた来にし刺で手右、〜ぁた来にし刺に意不
!〜ぅす流け受へ左をれそ……は僕
◇ ぼやきが終わらない、どこぞのラスボス系女子Qの場合……
なぜ妾はこんなバスなんぞに揺られなければいけぬのじゃ。退屈なのじゃ!
「おい、変態映画監督。運転席前で騒ぎ立てているヤツが邪魔で仕方ないのじゃが、一体いつまで一番後ろの座席にもたれ掛かっておればよいのじゃ」
「はぁ〜〜〜退屈じゃ。今更ニンゲンの生き死になんざ見せられたとて、そこに何の面白みがあるのじゃ?」
――爆発。
「最後までつまらんかったのぅ〜。……あれ、もしかして妾……置いてけぼり?」
ガス臭い爆発事故の現場、妾はいつまでも立ち尽くしておった。
「鳴らしてくるな、この軽トラめっ!」
……突っかかってきた車両をサッカーキックでお空まで蹴り飛ばしながら。
◇ とある不思議な映画監督Rの場合……
サメ映画のセンスの有無は火を見るよりも明らかさ。
「いつまで失うものの無い人間を見るのか。……僕はね、意味のないことだからこそ楽しみたいし、撮りたいんだ。主演女優、君にもいつか分かる時が来るさ」
「『エイトブルニア』……このフィルムには無限ループの力が込められているんだね。ふふっ、これが僕の面白みさ。
……っと、こうしている場合じゃない。僕を待っている題材があちこちにあるはずだ! ――じゃあね、主演女優」
僕は座席の背もたれに赤いカーテンを展開すると、その中へ背中を丸め込むことで物語から抜け出した。
――爆発。
◇ 3027年のアンドロイドSの場合……
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…… 01010100 01110010 01100001 01101110 01110001 01110101 01101001 01101100 01101001 01110100 01111001 00101100 00100000 01110011 01101100 01100001 01110101 01100111 01101000 01110100 01100101 01110010 00101100 00100000 01100101 01111000 01110000 01101100 01101111 01110011 01101001 01101111 01101110 01110011 00101110
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◇人気ガーデンビルダーTの場合……
急ぎたい! 投稿者:ビルダーなんだ。投稿日:八月十五日 午前八時
祝日は月に三日くらいあるといいんだよね。
だってさ、サービス業でも休みが無かったら可哀想じゃん!
……なんて言っていながら、夜中ずっとダチと中学の卒業アルバムを読み耽る。
俺は全身の筋肉に鳥肌を立てながら、ダチに過去を掘られまくり痙攣しまくり白目剥いて吠えまくり。
昨夜の夜更かしのせいであー、チョーネムー!! 目覚ましがてらジムへ行きたい。
すると俺のスマホに一本の電話が、マネージャーからだ。
「ビルダー? 今、お店にお客さんが来て庭掃除の指名が入っています。 ……すぐ来れますか?」
「あっ、あ、は……はい。 四十分後は、いっ、行けまっす!」
「もっと早く来れませんか?」
「あ、ああ……はい。 なるべくは、はっ、早く行きまっす」
庭師の仕事はいつも突然だ。
二時間コースの散歩道を歩き掛けた土方姿の俺は速攻で、シャワーも浴びずにいつもの如くマンションを飛び出る。
どうせ、向こうでお客さんの庭で泥だらけになるからいいのさ。
そんなことを考えながら、俺は急かされるままバスへ乗り込む。
「あのさ、サバイバルナイフを投げて投降する瞬間を見たら俺達は幸せになれるんだってさ」
「知らねーよ、お前のこと」
八時五十八分に大きく見えた黒マスクが爆風に巻き込まれ、気付いたときには死んでいた。
あーあ。
俺達は被害者じゃなくて、結局俺のことは『生かさず殺さず』のガス爆発の犠牲者なんだよなぁ。
◇ しがない純文学の小説家だったUの場合……
スズメが囀る心地の良い時間帯。
執筆用の資料を求めて、今日も私は橙色のバスに乗り込む。
「普段より人が乗っている」……そう一人席で揺られていたのも束の間。
「――ギャハハハハ! 死んじまえ! 皆んな皆んな、死んじまえ!」
何と素養の足りない笑い方か。
黒い覆面に黒い上下服、右手にはサバイバルナイフが射し込む朝陽を反射する。
「この【無敵の人】は何のために自暴自棄同然に暴れているのでしょうか」
一人、二人、三人……と背中から思い切り凶刃を突き立て、乗客の鮮血を垂れ流してゆく。
「次は私の番だろうか」……などと二十年前の少年時代から続く走馬灯を走らせていると……
「一服したくなってきた」
赤黒く染まった社会不適合者はライターに親指を預けると、ジャリ……と火を点けた。
――瞬間、視界に広がる白くて熱い輝き。
「最期は儚く、苦しみを感じる間も無く私は砕けたのです」
アレは一体……何だったのでしょうか?
◇ラーメン屋に行きたかった男芸人コンビの片割れだったVの場合……
バスに乗ったら、刺殺事件が起きて、爆発した……?
(略して――バスシサした?)
……いやいや、バス乗ってたら刺殺事件が起きて、なんか爆発したんだよ。略語の爆発要素どこだよ。
(いや、語呂が良いかなーって。……千葉滋賀佐賀みたいに)
だったら、バスに乗っ「たら」、「しさ」つ事件が起きて、爆発「した」……? から抜けよ!
こんなの、たらしさしたで良いだろうが!
(ところでお前、どこから声掛けてんの)
(ああ〜俺、死んだから直接脳内に)
(そっか〜。一年越しに来てくれたんだな、相方)
◇ たった一文字に人生と全力を掛ける高校二年生空手部男子生徒だったWの場合……
「――〈あ〉……!!」
◇SNSで呟き続ける女だったXの場合……
『待って!?
二年越しの気付きで笑ったんだけど、わたし死んでるやん!
しかも、車道の端っこに花束とかお菓子置かれてて横転した』
◇ずっとネットの宝物だったYの場合……
俺バス乗車、俺バス乗車!
ド、ド、ド、カーン!!
国道を往く 夏の俺さ、熱湯を振り掛けたような暑さ!
はしゃぎ声で耳元つんざくガキや、俺こそが君達に 示す未来や!
息の根絶えぬ 腐り切った世代、救うために苦行するって神!
人間万歳 狂う 高揚、いいよ しようよ 殺すよ 衝動――
さあ このナイフを取り出そう、そして一刺し 車内は揺れてる……
聖なるファンファーレを受け入れ、昇天の時、俺の悲鳴を聞け――
オマエ、人殺し過ぎィ!
バスが混乱! バスが混乱! オマエ、人を刺し過ぎィ!
ガスで爆発! ガスで爆発! とんだ事件、起き過ぎィ!
乗客みんな、一所一緒に、死んでってる〜!
一生〜〜〜、あの世で恨むから。
オレバスニ ジョウシャシテタ。
「マキコマレテタ」
◇ご唱和ください、我の名を……イベント行くZッッッッッッ!!の場合……
このホシを捕らえたい。 でも休み謳歌したい。
人刺されようと構わない。 強く、逞しく、逃げるんだ……Zッッッッッッ!!
◇たった今、このページを読んでいるあなたの場合……
「 」




