オマケ(果竪&明燐)
これでお正月編は最後です♪
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
今日もいつものように果竪の悲鳴?が聞こえてきた。
新年早早というのに、いつもながら元気いっぱいである。
「うぁぁぁぁぁっ!」
「一体何ですか煩い」
相手が主だろうと容赦なし。
果竪が床にもんどり打つ姿に恐れ戦く他の侍女達を余所に、明燐は冷静につっこんだ。
「だ、だ、だ、だだだだだだって!」
果竪は雑誌を抱き締めながら言葉を震わせた。
「見てよこの新年特集号をっ!」
「嫌な予感がしますので嫌です」
ばっさり拒否られた。
しかし果竪は挫けない。
「私の、私の、いえみんなのアイドル大根!人気投票に新登場しながらも第3位を獲得した蓬莱大根のスキャンダルが週刊誌にすっぱ抜かれたのよっ!」
見れば、果竪の持っているのは週刊誌。
どこの社だそんな馬鹿な事をすっぱぬいた雑誌社は。
「蓬莱?あの若いだけが取り柄の大根歴1年のくせしてのうのうと3位にランクインした小童がですか?」
「蓬莱の魅力は若さだけじゃないわっ!」
その逞しい身体
瑞々しく張りと艶のある白くほっそりとした肉体は多くの女性(大根)を虜にする
「つまり身体使うしか能がないんですね」
「違うもんっ!」
明燐の鋭いツッコミに果竪は全力否定した。
違う。蓬莱大根が身体だけなんてそんな事はない。
「なら、他に何があるんですか」
「ニヒルな笑み」
ニヒルな笑み?!
明燐は戦慄した。
ニヒルな笑み?
大根のニヒルな笑み?
いつ浮かべた、どこで浮かべた、それはどんな光景なのか
「酷い、蓬莱ってば私というものがありながらっ」
私というものも何も、一体いつ付き会ったのだろうか?
果竪の男性関係は厳しくチェックしているこの私に手抜かりはない筈。
「で、どんなスキャンダルなんですか?その様子だと女性関係ですわよね?」
そんな明燐の問いかけに、果竪はえぐえぐと泣きながら答えた。
「蓬莱が今まで付き会っていた桃宮大根を捨てて別の千舞大根に乗り換えたのよっ!」
長年連れ添った大根を捨てて若い女?にうつつを抜かしたと騒ぐその姿は、果竪こそが捨てられた妻のようである。
「所詮大根も男なんですよ」
「いやぁぁぁっ!私の愛する大根は浮気なんてしないわっ」
「いや、捨ててる時点で浮気通り越してるでしょう」
「違うもんっ!こんなの一時の気の迷いだもんっ」
一時何もない。
というかそれって、浮気したと認めた事になる。
わめきまくる果竪に溜息をつきながら、明燐は問題の雑誌を見た。
それは、31ページからなる大特集だった。思いきり紙の無駄遣いである。
『大スクープ!蓬莱大根の大晦日の密会!!』
よくあるパターンの見出しである。
さて、詳しい内容は――
『昨夜未明、容疑者の蓬莱大根は10歳の千舞大根をホテルに連れ込みわいせつな行為を行った模様。詳しい事は未だ調査中だが、蓬莱大根は前々から幼い子供の肢体に興奮する性的嗜好を持っており、今までは幼女大根の写真集で高ぶる気持ちと下半身を押えていたが、ついに耐えきれず今回の犯行に及んだものと見られる。被害者となった千舞大根は学校の帰り道に蓬莱大根に声を掛けられそのままホテルへと連れ込まれたとの事。前々から蓬莱の行動に疑問を感じていた地域周辺のパトロールによりすぐに通報され、危ない所を警察大根に踏み込まれ今回の逮捕に繋がったという――』
「って犯罪ですわっ!」
不倫とかそんなレベルではない。
れっきとした青少年保護法に触れる犯罪である。
大根に青少年保護法があるのかは別として。
「そうよっ!浮気は犯罪よっ!恋人がいながらっ」
「浮気のレベルを通り越してるでしょうこれはっ!」
ワイセツ、いやロリコンで逮捕ものだ。
実際逮捕されたようだし。
「見損なったわ、蓬莱大根っ」
「そのまま大根全部を見限って下さい」
「それは無理っ!」
そうしてどこからか取り出した大根を抱き締め果竪は切々と訴えた。
大根の素晴らしさを、たくましさを、その情の深さを。
「私が大根にクラリと来たのは3歳の頃よ」
その時点で人生を捨てたのかと明燐は心底嘆いた。
「大根の美しさに、たくましさに、そしてその白くほっそりとした魅力的な魅惑の肢体に私は女としての本能を強く揺さぶられたの」
「果竪がおかしかったのは3歳の頃からなんですね」
「おかしい言うなぁっ!」
もはや酷いという言葉すら通り越している。
「ですが、今回の蓬莱大根については弁護のしようがありませんわ」
「くっ……たった一本の蓬莱大根のせいで他の健全極まりない全ての蓬莱大根が白い目で見られちゃうかもしれないっ」
「それは残念ですね」
全然残念そうなそぶりを見せずに淡々と告げる。
「くっ!こうなったら蓬莱の根性をたたき直さなきゃっ!」
「たたき直すって……」
「直接蓬莱の所に乗り込んで説教するのっ!」
「やめてください。そんな変態大根に近づかないで下さい」
「こういう事は誰かが諭してあげなきゃならないのよっ!」
「それでもそれは果竪の役目ではありませんわ」
「………なら、この人にお願いするわ」
「この人?」
首を傾げた明燐だったが、次の瞬間驚きに目を見張る。
果竪の持っていた大根が光りに包まれたかと思うと、一人のダンディーな老紳士へと変化する。
「長年連れ添った妻を捨て、幼女に手を出すなど男の風上にもおけませんな」
第一声はそれ
「そうでしょうそうでしょう?!」
「だ、だだだだだだっ」
驚きのあまり言葉にならない。
「と言う事で蓬莱の根性をたたき直して下さい」
そう言うと、老紳士はニヒルな笑みを見せてその場から消えた。
その後、中々罪を認めなかった蓬莱大根が一人の老紳士の前におち、見事事件は解決されたという。
因みに、その後同胞の不祥事に心を痛めた蓬莱大根達は汚名返上、名誉挽回をかねて新たなアイドル大根を育て上げ、2年後見事にアイドル大根人気投票にて第3位を獲得としたという――
これで、お正月編は終了です♪
もし宜しければ感想を頂けたら嬉しいです♪
こういう感じのオムニバス?形式みたいなのは初めてなので……って、言葉の使い方間違えてたらすいません(汗)
返信は4月にまとめてする形になると思いますが(汗)
まあ――出来ればその前に復帰したいのですが(希望)
皆様、良いお年を~vv