今が苦しいあなたへ
今が苦しいあなたへ
中秋の名月足るそのお月さまを見たのは一昨日のこと
姿を覆うその雲に負けずに光り輝く、そんなお月さま
だけど、私はそんなお月さまが好きだ
晴れ渡った空にポツンと浮かぶ、そんな月よりも
雲に光を含ませて、さらに輝きを広げようとするそんな、月が
お月さまになりたい。そんな思いにすら駆られてしまう
今日はもう見ることは難しいのかな、と思っていた曇り空
駅の階段を上がれば風が強く吹いていた
風だ
雲が晴れるきっかけは、いつだって風
期待を込めて空を見上げる
暗い雲の中に、うっすら白む雲があった
きっとそこにあるんだ、と手を伸ばす
届かないと知っていても、手を伸ばしたくなる
届かないけれど
光を望みたいことも多いけど
風よ、……
空を見上げて呟いた
風よ……
吹けよと
呟いた
風が雲を動かしていく
空に光を広げていく月が、
顔を覗かせる
きっと、だから……
輝ける