ある。汁。男優のスナイパー
「白井つららと申します!三神ユウヤさん!次の作品に僕も出して下さい!」
男優歴50年。俺ぐらいになると俺と共演してぇガキがたまに直談判しにスタジオに来やがる。
どいつもこいつも不合格だけどな。
きっとこいつもそうだろう。
「けぇんな!おめぇみたいな若造の汁なんてどうせサラサラのうっすい汁だろぉ!?」
今度の作品はオイラが認めた『いい汁』のベテラン俳優だけ集めたんだ。
こんな貧弱なガキの汁なんて浴びれるか!馬鹿野郎この野郎め!
「俺出せます!いい汁出せます!せめて試験だけでも受けさせて下さい!」
ほう。いい目をしている。
俺のわけぇ頃にそっくりじゃねぇか。
こいつ……これまでの若造とはちっと違うな。
「おう!じゃあ今夜俺の家に来やがれぃ!」
「はいっ!」
…
結論から言うとこの若造はい〜〜〜い汁出しやがる。
生きてる間にえらいさん達に口聞いてやりゃあ良かった。
仕方ねぇ。
こいつが汁出した瞬間に俺ぁ死んだんだからな。
まさかねぇ。ケツから脳天を突き破って天井に突き刺さる程の汁とはねぇ。
まるで白いつららだね。
ああ、白井つららか。