【続】03 ダブルスタンダード滅ぶべし
「ゼフ王子殿下、私に一体何を聞きたいんです? ……違いますね」
「ほぉ」
「何か言いたい、でしょうか?」
「……存外、頭は良いらしい」
一瞬間見開いた目は、すぐに嬉しそうにきゅうと細められた。
頭は?
存外頭は?
随分とトゲのある言い方に聞こえたが、ナチュラルに発せられたため、スルーする。
砂の国式の話し方なのかもしれないし。
日本だったらパワハラで訴えられるぞ。ボイスレコーダーもってこい。
このやろう、と言いたいところをググッと抑えてにっこりと微笑む。
笑顔は武器であり、防具なのだ。
しかし。
やはりそうだったか。
彼は私に何か聞きたいのではない。
何かを言いたいわけだ。わざわざ。
それは一体何か。
彼が隣国の王子で、身軽な第三王子。この国に求めることといえば、外交の強化か貿易。
でもこの辺は私では無理だろう。
決定権は私にはない。
そもそも私の立場は知らなさそうだから、違うのだろう。
ともなれば成長したとは言え、まだまだ幼いフロルド殿下がポロリと何かこぼして軍事に関わることでも話してしまったか。
おおよそ予測できる質問を頭の中でリスト化していく。時間にして数秒ではあるが、会議中の鉄則として事前に質疑応答の回答は用意すべしの鉄則を守りいくつか候補を絞っておく。
聞きたいことではなく言いたいことだから無駄になるかもしれないが無難な答えをいつでも用意するに越した事はない。
これこそフロルド殿下には覚えていただきたい。う、新人部下に手本を見せる気分である。
せっかくなので今からでも殿下を呼べないかな……。
「言いたいことは二つだ」
「二つ?」
「そう、一つ目。フロルドとの結婚はオススメしない。やめておけ」
「あ?」
……あ?




