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【番外編】失礼、デリカシーがないようですが、何様ですか?01【完結後小話】


 世の中、悪いことをして人を傷付けた時『後悔する人』『反省する人』はたまた『罪悪感を抱く人』がいる。もしくはその全てを感じる人もいるのではないだろうか。


 しかしそれだけならば世の中はきっととても素晴らしい世界に違いない。しっかり反省して次はしないでおこうと反省をし、罪悪感を持ち、その気持ちをしっかりと記憶に留めるのだから。


 残念ながら、そうは行かないようで、世の中には傷付くと分かっていながらもその後の反応を見たいからという理由で軽はずみに軽率な行動を実行する悪漢もいる。大変お行儀良くない考えではあるが……残念、これがいるのである。


 人が傷付くと気が付かないのも悪であるが、それ以上に、傷付いたその先を見たいと望む事は、読んで字の如く、まさに鬼畜の所業そのものである。


 そう例えば、私が初めてこの異世界に来た時。


 のちにゲームの世界らしいという事が判明したわけだが、異世界には違いないので異世界と呼ぶ事にする。それについては取り立てて何か変わるわけでもないので割愛。


 国王様なんか勝手に召喚、死んだ目で聖女様よろしくどうぞときたもんだ。おっと死んだ魚の目だったね、失敬。

 その行為は如何に緊急事態と言っても人攫いのそれである。好待遇かつ高待遇、さらに厚待遇とモリモリに特典を乗せたとて、『もの』で人の心は買えないのは世の常。私には約パーセンテージにして全体の30%ほどしか心のリカバリーにはならなかったわけであるからして。


 巻き込まれ事故、と言うには私にかかるプレッシャーと期待は大きすぎる。だがしかし、行き過ぎた被害者意識は仕事内容向上と業務姿勢、営業成績にも反映するので、譲歩に譲歩を重ねて精神の安定を図っているが、それは私が大人だからだぞ。

 聞こえるか、大人の肉塊に入った脳死クレクレゾンビどもよ。現役なすりつけられ系聖女からのお言葉ぞ。魂に刻め。


 これを『悪』である、そのように私は判断している。


 


 

 暖かな温もりが、私を包み込んでいる。

 与えられた大きな部屋の大きなベッドのお高級な羽毛布団とはまた違う、重くてぺたりとした実に安い暖かさではあるが、久しぶりに感じるごわついた並の質のシーツになんとも言えない安心感を感じた。


 瞳を開けてしまうのが勿体無くて、スン、と鼻先で匂いを嗅げばふわりと花の匂いがした。

 お気に入りの、柔軟剤の香りが……柔軟剤の香り?


 ん?

 おかしいな……シェリルちゃんの香水だろうか?彼女香水つけてたかな。アーチ?いやいや。ランティスなんてもっとない。汗から花の成分が出るなら考えてやらんでもないが、生憎訓練場でもムワッッと沸き立つ汗臭さが際立っていたので除外。

 王子か?彼は留学中。

 国王様?いや、今は国力を上げる為寝る間も惜しんで政治の改革を進めている。1分も無駄にしない動きをしている今、国王様は私の部屋に直接来る必要もなければ用はない。

 ハウ?ダトー?ウレックス?そもそも私の部屋に勝手に出入りしない。


 そこまで考えて、恐る恐る瞼を押し上げる。

 薄い光の筋がカーテンの隙間から部屋に差し込み、天井に一筋の線が走っている。その光の中を舞うホコリのかけらがピカリと姿を現した。


 お気に入りの照明と真っ白な天井が目に入った。


「……え?」


 私の、部屋?



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