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13リスケの気軽さイコール信用の消失



「これはいったいなんですか?」


 物々しい雰囲気に、首を傾げる。

 聖女ユナが朝っぱらから号泣しているのもわからない。

 キョトンとしていると、背後がザワザワと騒がしい。何故かゾロゾロと使用人達や騎士達がこの大きなホールに入ってくる。

 それでも十分に広いホール内は今だに十分な空間がある。


「何をしらばっくれている……貴様がやってきた事は私を愚弄している! よって貴様を国外追放の刑に処す!」


 ざわつく声を一掃するように大きな声が空気を裂いた。

 フロルド殿下が、怒り狂ったように大きな声をあげる。途端に騒がしかった声は静まり返り静寂が訪れる。


「へぇ、私がいったい何を?」


「何を……だと? 見ろ! ユナが傷ついている! 唯一の故郷の品がボロボロになっている、おまえがやったんだろう!!」


「やってませんけど」


「とぼけるな! 使用人達も部屋から出る聖女を見たと言っていたぞ!」


「そ、そうよ! それに、毒の入ったお菓子を食べたのよ! あなたのメイドが持ってきたお菓子のせいで!」


「はぁ?」


「キャっ」

「ちょっ」


 背後からザワザワという声が大きく聞こえてくる。何かと思って振り返れば、縄で縛られたシェリルがドンと突き飛ばされる様に人の波から飛び出してきた。慌ててシェリルを抱き留めれば、なんとか床に激突するのは食い止められた様だが、シェリルは何が起こってるのか理解できないのかその目は混乱して涙が浮かんでいる。「大丈夫よ」と頭を撫でれば、シェリルはグッと唇を噛んでこくんと頷いた。



「その女もろとも、この国の王子の名の下に国外追放とする! さっさとこの国を出ていくがいい!」



 その瞳には、ゆらゆらとピンクに燃えるものが見えた。それに囲まれている、口の端を持ち上げた聖女ユナの表情。



「ほらみろ! やはり事実ではないか!反論すらできま——」

「はいはいはい」

「——!」


 パチン、と思いきり手を叩けば、その音と同時にバタンバタンとこの部屋の出入り口である扉が大きな音を立てて閉じた。


「なんだ!?」

「開かないぞ!」

 ドンドンドン、と叩いても少しも開く様子のない扉は虚しく軋む音を鳴らしただけだった。

「と、閉じ込められた!?」



 わいわいと騒ぐ使用人達を尻目に聖女パワーって本当になんでもありでびっくりしちゃうね。とひとりごちた。

 小さなポシェットから、小包を取り出して、中の保存食であるクッキーを口に放り込んだ。

 うんうん。力はバッチリ回復してる。十分に咀嚼して飲み込んでから、パンパンと手を鳴らしてやった。大きなホールは音を反響させ、それだけでも十分に注目が集まった。


「はいはい! うるさい! 静かに!」


 大きな声を出せば、目の前のフロルド殿下はびくりと肩を揺らした。ゆらめく瞳に動揺が見える。



「では事実確認に参ります。準備はいいかしら?餓鬼ども」



「が、餓鬼だと!? 貴様何を、ぅっ、な、なんだお前達!」



「はい、ありがとーさすが私の騎士(ナイト)!」

「いえいえ! 少し、大人しくしてくださいね」


 聖女ユナ、そしてダトー、ウレックス、ハウの背後には私が普段から鍛え抜いている騎士団の隊員達が彼らを拘束する。

 

 もちろん押さえつけたりはせず、武器を抜けないように腕を掴む程度だが、彼らは相当に鍛えているのでそう簡単には解けないだろう。


 恋愛に現を抜かして訓練をサボってる今は特に。悔しそうにする騎士達4人から殿下に目を向ける。彼は武器は持っていない。

 しかし騎士達に拘束させるわけにもいかないので、じろりと睨みを利かせて貰うだけに留まった。



「さて、ゆっくりお話聞きましょうか!」


 

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