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01それパワハラですけど


「貴女は聖女としてこの国に召喚された。すまぬが帰る方法は、ない」



 聖女って定義はなんだろうか。

 気高い女性、そして神聖な女性。

 多くの宗教的な事柄に生涯を捧げた女性を指す。

 また、さまざまな物語やゲームにおいて、神秘的かつ超人的な力をなんの対価も求めずに圧倒的善意で多くの人に与えると言ったものだ。


 とあるゲームでは世界を救うために冒険して人柱になるぞってやって見せたり、ラノベではなんやかんやの試験だったりを潜り抜けて覚醒して村やら王国を助けたりしているわけだが。


 


「話すことを許可する。聖女殿」


「あー、こうやって無理やり連れてきて今日から聖女なんでよろしくどうぞなんておかしくてへそで茶が沸かせると思わないですか?これって別に万国共通認識だと思ってたんだけど、世界跨ぐと違うわけ?そこんとこどうなのよ」


「あなたにはこの世界を救っていただきたい」


「無視? 無視なの? こんな事ってある?」


「貴様! 国王に向かって無礼であるぞ!」

「そうだ! そのような振る舞い、許されぬ」


「ここが何処かくらい答えなさいよいきなり聖女とかム......ぐえっ」


 するりと抜かれたサーベルの刃先がきらりと光る。

 それと同時に、今まで自由だった体が拘束されて床に押し付けられる。「ムリ」と言いたかった言葉も一緒に押しつぶされた。もちろんキラッとしてた刃先もついてきた。首筋にチャキとくっつけられて今にも切れてしまいそうである。刃物とキスするとか勘弁してくれ。


 はぁ?こいつら耳ついてんのか?


 と、言ってやりたかったが、大の大人2人がかりで潰されてベシャリと床に潰れているしかないので声も出ない。

 無念。

 というか目の前のこの人国王なのか。

 ラフな格好してるんじゃないわよ。

 休日のパパかよ。王冠かぶっとけよわかりやすく!


 心の声が伝わったのか、単に忘れん坊の国王が突如思い出したのかは不明だが、くるりと後ろを向いたかと思ったら背後に置いてあった王冠を被って「はぁ」とため息をついた。


「離しなさい、国王の命令だ」


「はっ」

「......はい」


 ドン、と押されて無理矢理国王様の前に立たされると、背後でカチンとサーベルを鞘に仕舞う音が部屋に反響している。

 嫌に広いこの場所は、音がよく響く。


 国王様は、死んだ魚のように光の灯らない目をしてまた、小さくため息をついた。

 そして存分に時間をかけて口を開いた。



「......あなたにはこの国を、救っていただきたい」


「嫌です」





数ある小説の中から、この小説を読んでくださりありがとうございます。


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