死者転生2
その死者蘇生魔術は、全世界に広がってしまった。つまりどういうことか。
過去無くなった英雄、やっとの思いで滅ぼした魔王、偉大な功績を残した偉人達が、善悪関係なく全てよみがえってしまったのだ!!!
「何も起こりませんね……」
「めちゃくちゃ光ったきりだったな……」
しかしそんなことはつゆ知らずの実験を行った二人!全世界に範囲が広がったことも、この2人にはわからなかったのだ!
「やっぱり理論が違ったんですよ」
否!むしろ盛大に当たっている!
「まぁ失敗してよかったのかもしれん」
否!むしろ成功しすぎて大変まずい状況である!!
2人は死者蘇生魔術を諦め実験室を後にした。
この世界が混沌と化したことにも気付かずに。
薄い記憶から目が覚めるようだ。
何が起こったのか、それすらも考えないような。まだ寝ているかのような、だが実際の脳は既に目覚めているような。
段々と意識がはっきりしてくる。あれ?俺死んだはずじゃ……?
天国ってやつか?だが景色は生まれ故郷のようだった。辺りを見回すとどでかい墓がある。刻まれているのはカイリ=グレンという名。
俺の名だ。
「俺、死んだよな?」
意識が確実性を持ってくる。確かに俺は寿命で死んだ。だがこの体は若く、全盛期の頃の体だ。
「もしかして、ナタリーの言っていた黄泉がえりの呪文か?あれは理論だけだったはずじゃ…」
その場にたって墓を確認する。
「ゆめじゃ……ねぇよな……」
何が起こったかは分からない。だが確かに言えることがある。
俺はよみがえった。