第一話:『運命の追放』
「アロン・パル、今日をもってお前は『ガイアバトラーズ』から追放する!」
激務を終えて一息付いていた所に掛けられたの言葉は感謝でも挨拶でもなく
単純すぎる程のひどい言葉だけだった。
「…え?いや、なんで…ですかバンドンさん?」
面喰ってしまって言葉がうまく出ない
「改めて言ってやろう、追放だ
お前の管理職など誰でも出来るだろう?」
「い、いや…この書類群とかの管理は魔法で…」
「だからどうした? お前の魔法は希少なのか?」
「………………いや、そういう事じゃ……無いですが」
「ならいい、消えろ、無駄飯食らいを飼う気はない
勿論このガイアの街からも追放だ」
A級ギルド『ガイアバトラーズ』の管理する街であるガイアから追い出されることは
家なども失うという事だ。
「そんな!?どうしてそこまで……」
「お前のような者が所属していたという記録そのものが
不名誉というのだよ、わかるかな?」
「………………はい……」
最早言い返す気力が無い、どうしようもないのだ
「せめて、引継ぎは…」
「無用だ、お前の作業を態々引継いで貰う程無能とでも?」
もうどうしようも無いのだ、いつもの嫌味やら何やらではない
ギルドマスターであるバンドンから言われたのなら…揺らがない。
「お疲れ様でした…………」
■
そうして半日と待たずに、彼は馬車に揺られていた
たった一日で全てを失った、長年心も体もすり減らして働いていたというのに
理不尽に立ち向かう心などもう無かった。
「どうしてこうなっちゃったんだろうな……」
文句も激務も全部受け止めて頑張っていたつもりだったが
結局のところ自身には才能も何もないからこうなったのだろう。
「お客さん、意気消沈するのは良いけどよ
そろそろ到着するぜ、王都にさ」
「すいません、準備します」
ボロい鞄の半分に満たない荷物が酷く寂しかった。
「………王都、帰って来たか」
荷物を抱え直して歩き出す、せめて日雇いの仕事でもあれば
ここ数日くらいはもつだろう、そう思いながら………。
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