69話 水神王アニバルの話26
村に戻ったアニバルは村長に声をかけて、砦に向かった後のことを聞いたよ。
村長はアニバルが戻って来たから、とても喜んだよ。
「水神様が戻られてとても嬉しいです。怪我人は歩けるまで回復したのですが、トニアたちの姿が見当たらずみな心配しています」
「トニアたち?俺の家にいるんじゃないか?」
村長は自分でトニアたちにアニバルのところに行けと言ったのを、すっかり忘れていたようだね。アニバルの家は村から離れているから、ヴァリエンテ兵たちがいるのか、帰ったのか様子がわからなくてこもっているみたい。
「俺、様子を見てくる」
アニバルは自分の家に行くとトニアたちがいたよ。
「水神様!」
トニアたちはアニバルの姿を見て、とても安心したよ。
「村は。村はどうなりました?」
トニアの祖父が腰をかばいながら外に出てきたよ。
「被害はあったが、敵は引いたぜ。もう村に戻って大丈夫だ。でも家が壊れたり、死んだやつの葬式やんなきゃいけないから、まだまだ落ち着かないだろう」
「そうですか…。あの、水神様。どうしてあの賊と同じ服を?」
アニバルはヴァリエンテに紛れて帰ってきたから、服も借りたままだったんだ。
「ああ、これか。怖がらせて悪かったな。あいつらはもう敵じゃない。全部皇帝が悪かったから王宮に行って文句言ってきたぜ。
俺のこと始祖だとか言ってそのまま、貴族の嬢ちゃんと結婚させられそうだから、逃げたんだ。ヴァリエンテのふりをして、ここまで送ってもらった」
いつもの格好に着替えてから、アニバルはトニアたちと一緒に村に戻ったよ。
「飯食ったか?」
食料の保管場所を教えていなかったから、トニアたちがごはん食べられたか心配だったよ。
「うん。お肉おいしかったよ」
「そりゃよかった」
村に戻ったらまだヴァリエンテ兵がいたよ。服を返そうとしたら差し上げます!と言われて、凄いいらないと思っていたよ。
「お前ら帰らないのか?」
一緒に来た兵から半分ほどになっていたから、残った人たちはなんだろうと思ったよ。
バルの息子が来て、アニバルに向かって最高礼をしてから訳を話したよ。
「ゲレルの村の家を壊してしまったので、直せと陛下と父に命令されました!」
「そうなのか。そういえばお前とちゃんと話せてなかったな。怪我はどうだ?」
魔力砲で肩を撃ってしまったからね。バルの息子はきょとんとしてから、人懐こい笑顔になって肩を回したよ。威嚇していたときとは態度がえらい違いだね。
「ご覧の通り、なんともありません!あのとき生意気なことをいい、申し訳ございませんでした!」
「なんともないなら、よかった。あのときのことは互様だ。気にしてねえよ」
村人たちは複雑そうな顔でヴァリエンテ兵たちを見ていたよ。家族や友だちを殺されたり、怪我させられたからね。
そんな人たちが村の復旧に手を貸してくれるから、喜んでいいのか恨んでいいのかって感じらしいよ。
アニバルも断ろうかと村長に聞くと、男手が足りないからいてもらった方がいいと言ったよ。
幼い子たちは怖がってしまっているから、ヴァリエンテたちにあまり近づくなと言っておいたよ。本人たちも加害者だと自覚しているから、村人とは距離を置いていたんだ。
「お前の名前は?」
バルの息子の名前を知らなかったよ。
「俺の名前はアルスランです!」
堂々胸を張り、ニカッとキメ顔なのはなんでかな。
「獅子っていう意味だっけか?名前負けだな」
「ゲレル、酷いではありませんか!どこが名前負けですか!」
「本物の獅子を見たことあるのかよ」
「ありません!」
ここもキメ顔だよ。ゲレルはあるのかと聞いてきたから、あると答えたよ。
「前世で剥製だが見たことある。
お前のちょっとそういう変に間抜けなのところがゾリグっぽい」
「ゾリグとは英雄ゾリグのことですか?」
「そうそう」
アルスランは褒められているのかと首を傾げるから、アニバルはからかいがいがあると楽しんでいたよ。
「げれるって、なあに?」
そばにいたトニアが聞いてきたよ。アニバルが説明しようとしたら、アルスランがずいっと前に出て語りだしたよ。
「ゲレルとは我々の先祖が使っていた言葉で、光という意味だ。千年前にレナータにおられた王の姿をされた神が、草木も生えなくなった大地に恵みの雨を降らし、先祖は救われたのだ。当時の我々の王が大地が光り輝いて見えたということと、神の名前が光りという意味だったから、ゲレルと神を呼ぶことにしたと聞いている。
そして、そのゲレルが転生してここにいらっしゃる!」
ヴァリエンテ兵たちは手を止めて喝采しているよ。アニバルは喜ぶどころかあきれ顔だけど、恥ずかしかったらしくて、耳が赤かったよ。
「完全にグチュルクのばあさんの話が伝承されちまってんな。大げさなんだよ、お前ら。手が止まってるぞ」
はい!と威勢のいい声がしてキビキビ働いてくれたよ。
「水神様は神様でしたか」
村長までも言い始めたから、アニバルは苦笑していたよ。
「ゲレルって呼んだ方がいい?」
トニアが聞くものだから、アニバルでいいからなと言ったよ。
村人たちは複雑に思いながらも、ヴァリエンテ兵も埋葬してあげていたよ。
アルスランたちは村人に感謝して遺品を引き取ったり、お墓に行ったりしていたよ。
それと、一週間ほど慣れないながらもデスペハード式の家を建てたり、畑仕事を手伝ってくれたんだ。
「冬になる前にまた来ます!」
と言いながら国に帰っていったんだ。見送る村人たちも大勢いたよ。
「怖い人たちかと思った」
トニアが言ったよ。
「あいつらいい奴だったろう?土地とか資源とか、メンツとかが争いの元になって人を変えちまう。あいつらもここの村の奴は仲間だと思えば、襲ってこない」
「みんな仲間になれたらいいのにね」
「そうだな」
アニバルは小屋に戻って、トニアたちが何を食べたか確認したよ。たくさん食べたなら狩りをしないといけないからね。でもあまり減っていなかったんだ。
「なんだ、あいつら。俺に気を使ったのか?」
それか、村にいるイバンが心配で食事をする気分ではなかったのかもしれないね。
ここまでヴァリエンテ兵は来なかったみたいで、小屋は壊れたり荒らされたあとはなかったよ。
「今日のお食事はどうされますか?」
ヴァリエンテたちがいなくなると今度はウーノたちが姿を現したよ。アニバルはこっちも何で帰らないんだろうと思ったよ。
「ウーノは当主だろう?こんなところにいていいのか?」
「私はアニバル様のお側にいて一番の護衛であり、一番の手足になるためにいるのです。ここから離れた王宮にいては意味がありません」
これでいいのかとホセたちを見ると仕方なさそうにしているよ。
初代ウーノもやたらルドの一番の家来だと主張していたから、血筋なのかと思ったよ。
「王宮には先代がおりますので」
フェデリコにはウーノの父親がついているようだよ。
ということはまた四人で暮らすってことかな?
「アニバル様がよろしければ我々の家を建てたいのですが」
定住決定だよ。アニバルは一緒に住むよりはいいかと、ウーノたちの家を建てることにしたよ。
もう一軒建てるのは狭いから、木を伐って土地を広げたよ。
ウーノたちの小さな家が出来上がると、アニバルは復旧した村を見渡して、何度か頷いたよ。
「どうされたのです?」
狩人の格好をしたホセが聞いてきたよ。アニバルのそばには三人の誰かがついていたんだ。
最初は煩わしいと思ったけれど、ルドのときも常に付き人がいたからすぐに慣れたよ。
「この村は無防備だ。魔物や敵が簡単に入っちまう。何か策をしたいが、他の村や街がしていることって何か知っているか?」
「あまり詳しくはありませんが、柵を作るだけでも力のない魔物は入らなくなると聞きます。魔物避けの魔法陣があるそうですが、俺は知りません」
ウーノたちに聞くと学院に詳しい人がいるとエクトルから聞いたそうだよ。そのエクトルは偶然翌日に来てくれたよ。
相談すると対魔物学の学者がいるそうだから、会うことにしたんだ。
「ちょっと出掛けてくる」
村長に言うと村人たちが見送ってくれたよ。
「仰々しいな、あいつら」
「みんなマエストロのことが、大好きなんだよ」
「エクトルもアニバル様のこと大好きだもんね」
カルロスがからかったけど、エクトルがあっさりそうだよって言ったからつまらなそうにしているよ。
ガルシア領の学院はこの日はお休みだから、翌日に行くことにして、領主の屋敷に行ったよ。貴族から使用人までお出迎えしたから、エクトルはいい身分だなとアニバルは思ったよ。実際にいい身分だけどね。
「いつもこうなのか?」
「そんなわけないよ。みんなマエストロに会いたいんだよ」
事前に連絡していないのに、領主の補佐をする人たちも帰らずに残っていたんだ。すでに日は沈んでいるよ。
「何だか悪いな。みんな帰りたいだろう?」
「…」
領主の宰相、ヘラルドの父親までもアニバルを黙って見ているから、怖くなってきたよ。
「俺、なんか変なこと言ったか?」
コソコソとエクトルに聞いたよ。
「みんな感動してたり緊張してるんだよ」
玄関に入り、王宮のときはいっさい気にしなかったのに、狩人の格好がその場に合わない気がしてきたよ。アニバル以外の人はみんな一つの汚れもない服を着ていたからね。
「王宮のときの服を着ればよかったか…?」
「お着替えされますか?」
年配の女の人がキラリと目を光らせたと思ったら、女性の使用人たちがアニバルを取り囲んだよ。
「まずは湯浴みを」
「それからお食事ですね」
「どのような服がよろしいでしょう?」
「紺がお似合いではないかしら」
「いえいえ。お若いのだからもっと明るい色がいいわ」
宰相は気圧されたようにそうしたまえと言うと、アニバルは浴室へ連れていかれたよ。
キレイさっぱりしてからごはんも食べて、豪華な寝室に来てあれって思ったよ。
「俺、対魔物や村の防衛について調べに来たのに」
「夜遅いから明日でいいよ」
ちゃっかり寝室にエクトルの姿があったよ。フィデルもいたけれど静かだったんだ。
「フィデルは静かじゃねえか。腹でも痛いのか?」
「違う」
「エクトルを取られて怒ってるのか?」
「違う!」
はい、図星。
アニバルは笑ってから、窓側に座っているフィデルの方に行ったよ。
「今度お前の土の兵と魔力砲で勝負しようぜ」
「やだよ、負けるもん」
「負けないように考えないと強い兵は作れないぜ?」
「強くしたいけど」
「だったら考えろ。土を盛っただけなら兵士ではないぜ。防御魔法かけたり、攻撃できるようにしたり」
「複数魔法使うと疲れるよ。ただでさえ土を形つくる魔法と、動かす魔法で大変なのに」
「お前の魔法はそれまでだな」
フィデルはムッとしたよ。
「マエストロはできるのかよ」
「当たり前だ。前世ではマエストロの称号を持っていたんだぜ」
「じゃあ、見せてよ」
「今度な」
エクトルは楽しそうに二人の様子を見ていたよ。
翌日学院に行くと、ここでもお出迎えしてもらったから、アニバルは今度はお忍びでって念を押そうと思ったよ。
対魔物学の学者が午前中に授業があったから、アニバルは図書室にいたよ。文字は相変わらず読めないから、辞書片手に時折一緒にきたウーノに手伝ってもらったよ。ウーノはここでは位が高い騎士の格好をしていたよ。
昼食はエクトルやフィデルたちと食べたよ。学食だというからアニバルはルドのときと比較して豪華だったから、ため息ついたよ。
「こんなもん毎日食ってるのかよ」
「俺らはこんな感じだけど、平民の生徒が食べるのは違ったかな」
学食から見る格差社会。苦学生たちはさぞかし、つらいだろうね。
午後から対魔物学の学者に村の防衛について対策があるか聞いてみたよ。
地形や魔物の種類、村の規模を聞かれて似たような条件の村や街の対策を教えてくれたよ。
主要な都市は魔法陣や魔法具を使うけれど、お金のない村は柵に魔法陣を彫ったものを使っているんだって。
もちろんエスコンディド村はお金がないから柵の設置だろうなと思ったよ。
「村人が魔法を使えるのなら家の周辺に魔法陣を埋めて、朝魔力を込めれば一日もちます」
「魔法は使えないが魔力があるやつは何人かいる。その魔法陣を教えてくれ」
いくつか教えてもらったよ。どれも呪文を唱えて魔力を込めないと発動しないけれど、生き物が近づくと発動して侵入を防いでくれるよ。
「ここで注意すべき点は、動くものに反応してしまうということです。家畜や鳥などにも反応するので、発動する度に魔力が使われてしまうので消費は激しいです。朝魔力を込めれば一日もつというのは理論上の話で、実際使っているところは朝と晩の二回ですね。
もちろん、魔力を込め続ければ魔法陣は発動したままになるので、有事も使えます。人の手を使えないとなれば水晶を使用するしかありません」
「水晶は高いからな…。魔力使えるやつに頑張ってもらうしかないな」
「被害が多いのであれば、領や国から補助金が出るので申請してはいかがでしょう」
アニバルはダメ元で申請してみるかと、あとでガルシア領の役所に行ったけれど、対象地域ではないと言われてしまったよ。国も同じだったんだ。
とことん国に見捨てられている村を守るには、やっぱり自分たちで村を守るしかないんだ。
対魔物避けを設置している村に行って見学をしたよ。村長の話も聞いたら、冬場は雪で埋もれて発動はしないんだって。
「冬になれば魔物も人も雪で身動きがとれなくなるから、必要なのは雪のない時期ですよ」
ということで魔石を使った魔物避けは高いし、冬場は使わないならいらないということで、学者が教えてくれた手動タイプにしたよ。
魔法陣は普通に土に書くと消えてしまうから、木や石とかに彫るよ。石の中でも魔法陣に最適なものがあるらしく、アニバルはヴァリエンテ奇襲でフェデリコからもらったお金を使って必要なものを買ったよ。
村に帰るとさっそくアニバルは、村人たちに柵の設置場所を相談したんだ。設置されたら困る場所とかあるかもしれないからね。
村長が意見を取りまとめてくれることになったから、アニバルはとりあえず魔法陣をたくさん作ったよ。ウーノたちも手伝ってくれたんだ。
自分たちでも作りたいとアニバルに声をかけてきたから、農作業の合間にみんなで作ったよ。外から来る脅威は魔物だけではないと知ったし、みんな二度と同じ思いをしたくないから一生懸命だったんだ。
魔力のありそうな人を集めて魔法のお勉強会したよ。
アニバルもたくさん勉強して、学院で借りた本を読んで覚えたよ。
たまにエクトルが来るから本を持ってきてくれたんだ。
「悪いな。使い走りみたいなことをして」
「いいよ。マエストロがやる気だから、俺応援するし」
少し前まで氷の鳥を倒して生きていく目標を失っていたからね。
エクトルもウーノも心配していたけれど、もう大丈夫みたいだよ。
村総出で魔法陣付きの柵を村の周辺に設置したよ。アニバルが魔法を教えた村人たちが交代制で発動することにしたよ。
一段落した夏真っ盛りの朝、寒くて目が覚めたよ。外に出るとひんやりと晩秋のような冷えと静けさだったんだ。
「まだ夏なのにえらく冷えるな…」
いつものように罠を確認しにいってから、村に行ったよ。村長のところにいくと年長者たちが集まっていたんだ。
「今年の冬は早くくるかもしれない」
夏の作物がやっと実り育ち始めたばかりで、収穫はまだ先だったんだ。
アニバルも村人たちも冬支度をいつもより早く始めたよ。森の草花にも異変が起きていて、秋に咲く花がもう咲いていたよ。
「始祖!」
そんな中、デスペハードの兵士の若者がぞろぞろやってきたんだ。
「始祖にろくに護衛がついていないと聞き、我々が警護致します!」
「いらない」
「い、いらないではなく、もしものことがありましたら国の一大事です」
「フェデリコがいるんだから、一大事にはならねえよ。帰れ」
勝手にテントを張り始めたから、アニバルは怒ったよ。
「そんなところに張るな!人が大勢集まれば魔物も寄ってくるんだ。それに今年は冬が早く来るから、支度をしたいんだ。お前らの面倒見きれない」
「お手間をとらすつもりはありません」
「護衛とかいらないから。もういるし」
狩人の格好をしているから、ウーノたちが護衛に見えないようだよ。
「少ないですよ」
「数が多ければいいってもんじゃない」
半日そんな攻防があって、やっと一部は帰ってくれたんだ。残った中にはエクトルの護衛できたことがある兵士もいたよ。エクトルの指示があって来たわけではないらしいよ。
「稽古をつけてください!」
使い古しているのか、型式も古い魔力砲を持っていたよ。
「…わかった。覚悟しろ」
いきなり森に入るとアニバルは走って行ってしまったよ。
五人くらい頑張ってついてきたけど、アニバルを見失ってしまったんだ。
どこだとキョロキョロしていると、一人の兵の顔に何かが掠めて後の木に小さな穴が開いたよ。魔力砲だね。
「え?始祖?」
もう一発、別の兵に中りそうになったから、これは狙われてるとみんな思ったよ。
「隠れろ!」
「防御だ!防御しろ」
「応戦するか?」
「始祖だぞ?お怪我させたらどうするんだ」
「うわ!」
足元に中った一人は慌てて身を隠したよ。
一人が構えてアニバルがいたと思われるところを狙って撃ったよ。
何も手応えがなかったから、逃げられたね。
「おい、始祖に中ったらどうするんだ!」
「覚悟しろと言われたのだから、覚悟するんだ」
近くで何か倒れた音がしたよ。
四人は集まってゆっくり近づいたら、仲間の一人が倒れていたよ。怪我はなさそうだったよ。
「生きているが…。このまま放置はまずいな」
「連れていくべきだが」
カサカサと人影が近くで動いたから警戒したよ。
「私が預かろう」
狩人姿のウーノだったよ。四人はどこかで見たことあるなと思っていたけれど、思い出せないみたいだよ。
ウーノは公の場で護衛として皇帝のそばにいたことがあるから、そこで見ているはずなんだ。
アニバルは一人回収されるのを見届けると木の上から狙いを定めたよ。
腰に下げている剣を狙って撃つと、剣が激しく揺れて兵士は身構えるよ。キラリと光るものが葉の間から見えて防御魔法を展開すると、ガンと音を立てて中ったんだ。
「始祖は俺らを殺す気か?」
「よ、弱い奴は護衛にいらないってわけだ」
「そういうことか?」
「よし、行くぞ!」
一人が気合いを入れて叫ぶけど、アニバルは撃ちまくるよ。
「始祖、魔力砲って知ってますよね?中ったら死ぬけど!」
木の陰に隠れて応戦するよ。アニバルが撃ってこなくなったから、場所を移動しているんだと思ったよ。
「かたまったら狙われるから散るか」
「いいけど、この森は深いから迷うぞ?」
相談していると木の葉がはらはらと舞っているから、上を見たよ。
木にはいないはずの男がいて、銃口がこちらに向けられていたよ。
「いつ…」
兵士は四方向に散るけれども、一人は落ちてきたアニバルの下敷きになり、一人は魔力砲で殴られ、二人は咄嗟に構えたけれどアニバルの連射に防御に回っていたよ。
「降参ならそう言えよ?」
下敷きになった兵はどっしりとアニバルに乗られてて動けないよ。
「降参します…」
下敷き兵さんと殴られ兵さんは降参したよ。残りの二人も降参したんだ。
「稽古はつけた。お前ら帰れ!」
アニバルはさっさと小屋の方へ向かうよ。
「始祖はお強い」
「しびれました。あ、乗られたときに腕がしびれたというわけではありませんよ?」
「是非うちの隊の隊長になってください!」
「どこまでもついてきます!」
「だから来るな!」
あとはウーノたちに頼んでお引き取り願ったよ。ウーノが皇帝の直属護衛部隊の元隊長だと知って、血相を変えて帰ったらしいけどね。アニバルは今度兵士が来たら、ウーノの肩書きを言おうって決めたよ。




