第2話Part.5~これが軍神の息子の力!~
「私の母を侮辱した者はどこだ!今すぐ出てこい。今すぐ打ち殺してくれる!」
「何だてめえは。」
「お主らのような輩に名乗る名など無い!」
花関索は門の外に出るなり胡金定を侮辱した者はどこだと怒声を張り上げた。盗賊は小柄な花関索1人が現れ、一丁前に罵声を飛ばすものだから嘲笑しながら返す。しかし花関索は名乗らず改めて母を侮辱した者を出せと言う。
「ハハハ。小僧、俺がそうだが素手で何ができる?」
そう花関索は素手のまま。小柄な小僧が素手で出てきてイキリ散らしているようにしか見えない盗賊たちは相も変わらずニタニタと意地の悪い笑みを浮かべたままだ。このままでは埒が明かないと花関索は「素手の私すら恐れるか盗賊。お前の得物などたちどころに奪って、それで討ってくれようぞ。」と挑発した。
盗賊は基本的に堪え性がねえ。この盗賊も例外じゃあなく、あっさり挑発に乗って偃月刀を振り上げて襲い掛かってきた。盗賊が持つにはやけに立派な偃月刀。おそらくどこかの誰かから奪ったものだろう。だが立派な武器も扱う者が大した使い手でなければナマクラと同じ。
花関索はその一撃を避けて柄を掴んで一気に引き抜いた。簡単に得物が奪われてしまい、驚愕しているところで花関索の斬撃が飛ぶ。盗賊はまるで豆腐か何かを斬るかのようにバッサリと斬り落とされてしまった。
盗賊たちはそれを見て花関索を大きく恐れた。だが多勢に無勢という言葉がある。まずは新入りたちを前に出して、花関索が疲れてきたところを倒そうとしてきた。最早恐慌状態の盗賊たち、一気に囲んでやれば殺せるという頭目たちの言葉を信じて花関索に一気に飛び掛かったが、涼しい顔でまとめて5人を惨殺する。
断続的に頭目たちは「行けーっ!殺せーっ!」と叫び花関索を攻めさせる。だが花関索と一合も打ち合うことができずに斬られるものだから、まったく花関索に疲れが見えない。
この様子は櫓から見ている胡家荘の使用人から逐一胡員外と胡金定、そして半ば人質のようになっている索員外に伝えられる。凄まじい戦いぶりを見せる花関索に胡員外は
「ま、まさか真に関羽の……。」
そう言って狼狽した。胡金定と索員外は花関索が関雲長と胡金定の息子であると信じているので涼しい顔。盗賊ごとき討って当然という表情を見せている。
それから少しして頭目たちは窮地に陥っていた。もう部下がいないのだ。全て花関索に斬り伏せられた。痩せた馬だが一応騎乗している頭目らは逃げるしかないと考えて背を向け始めた。いくら関雲長の子とはいえ、馬に追いつける俊足は無い。駆けられれば逃がしてしまう。
そんな時に屋敷から弓と矢が降ってきた。どうやら使用人がこれで頭目らを撃てと落としてくれたようだ。花関索が弓矢を拾った時には既に頭目らは馬を駆けさせた。
逃げたのは3人。花関索は弓を番えて放つ。そしてそれが敵に当たったか当たらないかでもう1発。そして3発目も連続して放った。その全てが逃げた3人の背中に突き刺さり、奴等の命を奪った。凄まじい速射だった。
こうして花関索は自らの力で母と祖父の危機を救ったって訳だ。