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第2話Part.4~胡員外疑う。「お前ホントにワシの孫か?」~

 母子の再会を果たし、そして父があの関雲長であると知って乱世を戦う父を救うことを誓ってまたその立派な志に胡金定が涙する。そんな感動の場面だったんだが、ただ1人だけ渋い顔をしている男が居た。

 それは胡金定の親父で花関索のじいさんである胡員外だ。当然胡員外も胡金定が関雲長の妻であったことを知っていたし、その息子についても認知している。だが目の前に居る若者があの関羽の息子だとはどうにも思えなかったようだ。

 容姿が随分美しいということは、母親である胡金定がそれは美貌なのでそこはともかくとして、父親である関雲長と言えば身の丈9尺はある大男。最早大男って枠すら超えたバケモノぐらいのデカさの男。だが目の前に居る若者はせいぜい7尺程度。疑いの目を向けられるのも当然っちゃ当然かもしれん。


 それにそれだけのことをされる理由も無いでは無かった。さっきも言ったが、胡員外ってのは金持ちの胡さんって意味だ。つまり金持ちなんだ胡員外は。

 そして子も娘の胡金定だけ。そうとなれば胡金定の息子を名乗って胡家荘に入り込もうとする不遜な輩を警戒するのは当然だ。

 でも花関索からすれば金などどうだってよかったし、そんなことを考えもしていない。だがたしかに花関索が胡金定の息子と認めさせられるだけの証拠は花関索は思いつかなかった。


 そんな時に外が騒がしくなってきた。そしてドタドタドタドタと廊下を誰かが駆ける音がする。そして花関索たちが居る部屋の襖を開けた。走ってきたのはさっき花関索たちを案内した胡家荘の使用人だ。

 彼は慌てふためきながら「盗賊です!盗賊が屋敷を取り囲んでおりまする!」と胡員外に言う。胡員外は顔を真っ赤にして花関索に詰め寄った。


「お主やはり我が家の財産を狙って来おったのか!」


 胡員外も慌てていた。もし胡父子が花関索を子と認めなかった時、力に訴えて無理矢理にでも認めさせようとしていると考えたのかもしれねえな。

 もちろんそんなことをする理由も意味も無い花関索は否定する。当然のことだ。だがしかし胡員外もその言葉で信じるはずもない。信じるなら最初から疑いもしねえわな。そして


「本当にあの盗賊共を知らぬと申すならば、お主の力で追い払え。関羽の息子であるお主ならば容易かろう?」


 もし盗賊とグルなら花関索は盗賊共の元に戻るだけだし、グルで無かったとしても50人は居る盗賊たちに嬲り殺されるだけ。もし今すぐに胡父子に害を与えようとするのなら続々と集まる胡家の使用人たちが相手をする。どう転んでも問題ないと胡員外は考えたわけだな。


「私は武器を持っておりません。ですので槍を一本お借りしたい。」

「よかろう。ただし門の外に出てからじゃ。」


 花関索は母との再会の為に来たので武器などは持っていなかった。それなので胡員外に槍を所望した。胡員外もそれを認めたが、すぐに持たせちゃ花関索が敵ならみすみす相手に武器を与えてしまう結果になってしまうので、屋敷の外に出た時に渡してやると言った。


「ありがとうございます。」

「フンッ。いつまでその偽善の顔ができるか見物じゃの。」


 花関索は胡員外に頭を下げて使用人の1人に連れられて門の方へ行く。その時の花関索は平然としていて人好きのする笑顔のまま。正直胡員外もつい引き込まれそうになったが、頭を振って花関索にその笑顔がいつまで続くかと言って送り出した。


 外からは盗賊の誰かが中の胡員外に向けて罵声を飛ばしていた。やれ「金品を寄こせば命だけは助けてやる。」だの「胡金定は年増だが美しいので人妻好きの曹操が高く買うかもしれない。」だのと言いたい放題だった。

 母親を貶められた花関索は内心に激しい怒りを湛えていた。表情は優し気なままだったが、体中から発する怒気はその矛先ではない使用人ですら感じ取ることができ、そして心胆から寒からしめるほどの激しさだった。


 使用人は先ほどの胡員外の花関索に対する言葉や態度を見聞きしていた。いつこちらに矛先が向くか分かったものではないと慌てて花関索を門の外に出し、槍も渡さず締め出してしまった。

 素手で盗賊50人の前に出されてしまった花関索。だがここで逃げるのは軍神関雲長の息子ではない。花関索は堂々たる態度で盗賊たちを睨みつけた!

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