第2話Part.3~花関索、アンタはアタイのモノになりな!~
対峙する花関索と王令公。王令公は彼が連れている鮑三娘には部下たちに手を出させないと約束してから轟音を立てながら戦斧を振り抜いた。部下3人に持ってこさせたこともその巨大さも全くハッタリじゃねえ、たしかにこの戦斧をまともに食らえばどんな人間も叩き潰されるだろう。
だが花関索は彼女の返しの攻撃を黄龍槍で受け止めた。王令公の表情が明らかに変わる。今まで彼女の攻撃を受け止めた者は皆無。それをいとも簡単に受けられたんだ、驚くのも無理はねえ。
「へぇ~。アンタ、中々やるねぇ。アタイの部下に欲しいくらいさ。」
「賊に与する気は毛頭ない。」
「ふふっ。ちょっとした洒落さ。頭固いねぇ。」
だが王令公は驚くのと同時に心の奥底から喜びも溢れ出てきているのも感じてたんだ。今まで戦った奴らは吹いて飛ぶような奴らばかり。だが目の前の男は自分を愉しませてくれる武勇の持ち主。それ故か花関索の頭が固いと少しからかう余裕さえ出てきた。
「ふふっ。アンタ気に入った。アタイが勝っても殺さずにいてやるよ。アンタはアタシのもんになりな!」
「なっ!花関索様は私の旦那様です!」
「あら、そうなのかい?でも関係無いねぇ。」
それどころか王令公は花関索を気に入っちまって、さっきまで殺す気満々だったのも忘れ、花関索を我が物にしようとし始めたんだ。当然それを聞いて大激怒の鮑三娘。花関索は自分の夫だと王令公に吠えた。
だが王令公はそれを聞き流す。その態度に更に怒る鮑三娘。何かいつの間にか花関索が蚊帳の外になっちまっている。
「あ、あの……続きをしないか?」
「あぁそうだねぇ。じゃあ行くよ!」
鬼のように強え花関索も女子たちの喧嘩には少し入りづらえようで遠慮気味に続きをしないかと言う。王令公からすれば愉しい力比べだが、花関索からすれば彼女らの盗賊行為をやめさせるためのものなのだ。白黒つけておかなくちゃならねえ。
そこから20合ほど打ち合う2人。だが決着の時が来た。王令公が戦斧を横薙ぎに払った。だがその際大きな隙ができちまった。体力を消耗しちまってたんだ。
彼女は怪力無双。その得物もそれに見合うものだ。並の武者は全て一撃、見極めて避けられる者も少ない。
だが花関索は並の男ではない。今まで並の相手としか戦うことがなかった彼女はこの戦斧で戦い続けることに慣れていなかった。それ故のことだった。
花関索は隙のできた彼女の戦斧の柄を上から強く打った。手に痺れが走って戦斧が手から離れる。そして花関索は槍の穂先を彼女に突きつけていた。
「ま、参った。アタイの負けさ。」




