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第1話Part.3~妹に会いたくば我らを倒せ!鮑礼・鮑義見参!~

 鮑家荘の場所は情報を集めていた時に聞いていたのですぐに見つかった。さすが名家だけあって大きい建物だ。索員外や胡員外も金持ちの家だったが、それより数段デカい。

 そして噂にあった石碑というのもしっかりと置かれていた。大きい石に鮑三娘が言った言葉とされる挑発めいた文。(ここで間違いなさそうだ。)花関索は思った。そして


「ここに見目麗しき美女が居ると聞いて参った!」


 花関索は屋敷の前で声を張り上げて中の者に聞こえるよう言った。するとわらわらと使用人が十数人、あとは身なりが良い若者が2人出てきた。だがその中に女の姿は無い。


「そちらのお二方は鮑礼殿と鮑義殿とお見受けいたす。貴方の妹君を娶りに参ったのだが。」

「フン。お前のような者に勝てるとは思えぬ。恥をかく前に帰るが良い。」


 身なりの良い2人は鮑家の鮑礼・鮑義であることを見て取った花関索は彼らに妹の鮑三娘に会わせてほしいと言ったんだが、鮑三娘の2人の兄は首を縦に振らない。

 どうやら花関索は酔狂で彼女に挑戦しようとした愚か者に見られたみたいだな。まあそれも無理はない。

 胡員外に黄龍槍の他にも駿馬と上等な鎧を貰ったんだが、過酷な旅を続けたお陰で馬は痩せて鎧は土にまみれた上に旅で一回り大きくなった肉体に合っておらず何とも不格好。槍だけは立派なものだがこれではどこかの野盗崩れのように見られても仕方がねえ。


 そうとは言ってもここまでせっかく出向いたんだから簡単に諦めるわけにはいかない。そこを何とかと鮑三娘との手合わせを所望する。鮑家の息子2人も花関索のことを気遣った部分もあったが、その忠告を全く聞きやしねえってんで少しイラついたんだろう。


「ならばまずは我らを倒してみよ。さすれば妹に会わせてやろう。」

「妹は俺たちより強い。俺たちに勝てねえんじゃ会うだけ無意味な事よ。」


 鮑礼・鮑義は吐き捨てるようにまずは自分達を倒してみろと言った。花関索はそれを快諾。あまりにもあっさり承諾してきた花関索に弟の方である鮑義が少し腹を立てていた。鮑礼が静止するも気は収まっていなさそうだった。


 更には「面倒故、2人纏めて参られよ。」と花関索に挑発されたものだから「貴様!我らを愚弄するか!」と声を張り上げ激怒する。これには静止していた方である鮑礼すら気分は悪く花関索を睨みつけている。


「貴方方を纏めて倒せない程度なら妹君に会っても無意味でしょう。それとも1人ずつ闘って負けた言い訳にでもするつもりですかな?」

「こ、殺す!」

「そこまで申すなら2人で闘おう。馬を持て!」


 更に花関索は2人を挑発する。はっきり言うと出向いてみればいきなり口汚く罵られて花関索も相当怒っていたんだ。誇り高い性格は父の関雲長にそっくり。図らずも転生した彼も似たようなもんだった。

 馬を使用人が持ってきて、2人は騎乗した。2人の馬もさすが金持ちだけあって駿馬。しかも花関索の馬と違って酷使もされていないから立派な体躯のままだ。それに比べて花関索の元駿馬は貧相なことこの上無い。


 騎乗した2人は槍を持ち花関索に攻撃を仕掛けてきた。怒ってはいるが冷静に2人で連携した攻撃を繰り出してくる。だが花関索からすれば大した速度も無い突き。まるで話にならない攻撃でしかない。

 花関索と鮑兄弟の打ち合いは2人合わせても10合に足らずにあっさりと馬から突き落とされてしまったんだ。


「貴方の強さはよく分かりました。ご無礼をお許しくだされ。」

「…………謝罪申す。」


 一瞬のことで何が起こったか、何をされたか全く分かってなかった鮑兄弟ではあったんだが、少なくとも自分たちが馬から突き落とされてしまった事だけは理解できた2人。

 鮑礼は素直に謝罪した。そして鮑義も相当嫌そうだったが謝罪の言葉を口にし、ひとまず花関索は鮑三娘に会わせて貰える事になったというわけだ。

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