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第1話~ブラつく花関索。決して方向音痴ではありません!~

『花関索と胡金定は関雲長を探して旅に出たわけだが、2人は荊州各地を巡り、更には呉に足を延ばしたりもしていた。』


【ん?随分フラフラしてんだね。さっさと関羽に会えばいいのに。】


『花関索の父親である関雲長の足跡の1つに関羽千里行って呼ばれるものがあるのは知ってるな?』


【そりゃあ有名だからねぇ。】


『関羽千里行は5つの関所を突破したと伝わっているわけだが、まずは曹操の本拠地である許昌を出て東嶺関を通って、次が洛陽だ。洛陽の次は沂水関。沂水関の次は滎陽で最後が滑州という順だと言われているが、何か分かることはあるか?』


【いや、分かんねえ。】


『凄まじくフラフラして遠回りしてるんだ。洛陽までは西に進路を取っていたのに洛陽からいきなり東に進路を取って沂水関。沂水関からまた西に進路を戻して滎陽。そして北東に進路を取って滑州に行ってから劉玄徳に合流したわけだな。』


【なんでこんなことになっちゃったんだよ……。】


『まあ関雲長が凄まじく方向音痴だったか、劉玄徳が袁紹の元に居るのは知っていたが所在が分からないので情報を集めながら進んでいたかのどっちかだな。』


【後者であってくれ……。】


『まあ何にせよ花関索は関雲長が劉備の元に居ること、劉玄徳は呉の孫権と組んで曹操を退けて、荊州に本拠を構えているということは知っているが、関雲長がどこにいるかまでは知らなかった。それで父を求めてフラフラするしか無かった訳だ。』


【でも花関索は前世の記憶持ってんだろ?】


『まあそれも含めて花関索が関雲長に出会うまでのお話を始めて行こうか。』


 花関索と胡金定は父の関雲長を探して荊州を彷徨っていた。花関索は前世の記憶を頼りに南荊州の長沙へ行ったんだが、たしかに劉玄徳の勢力圏ではあったが関雲長は居なかった。

 もしかすると赤壁の戦いが集結してからも呉に留まっているのではとも考えて呉に足を運んだこともあったが、関雲長は呉に行った事すらなく手がかりは全く掴めねえ。


 花関索の前世の世では三国志は人気の題材で様々な話が作られていた。それは大筋は同じでも細かい部分や展開が違ったりしているようだ。花関索の前世は三国志が好きだったが、それでも全てを記憶しているわけでは無い。あやふやな部分などいくらでもあり、少しアテにならないものだった。まあそれでも何も知らないよりはマシなのかもしれないが。


 旅を続けている最中に村や集落を苦しめている山賊たちを討伐したりもしていた花関索。花関索自身、困っている人間を見過ごせねえ性格。賊を見る度に胡員外から貰った黄龍槍という自慢の槍で賊を蹴散らしまくった。

 花関索に救われた民たちは花関索をまるで拝むようにして感謝した。その際に花関索は劉玄徳に仕えたいという旨の話をして、彼がどこに居るのかを民たちに尋ねたんだ。

 こうすれば劉玄徳らの情報を集められる上に「劉玄徳様を慕う武将は一介の浪人であっても強く優しい武将である。」と劉玄徳の声望を高めることにも繋がる。最早荊州での劉玄徳の声望はこれ以上上がるのかと思うくらい高いもんだが、良い評価は多くても困るということはねえからな。


 花関索は後に仕えることになるであろう劉玄徳に倣って民に優しく大切にした。花関索はさすがに民たち相手に「自分は関雲長の息子である。」とは名乗っちゃいないが、優し気な顔立ちから鬼神の如き戦いを見せるが無辜の民には優しい、劉玄徳を慕う英雄花関索様として少し知られた存在となっていった。

 花関索自身の強さは父親の関雲長譲りかもしれんが、花関索は花関索自身の力で名を上げるだけの力と知恵を持ち、それを索員外や花岳先生が見出し育て上げてくれていたんだ。

 そして花関索は非常にモテた。彼の容姿は大変優れているというのは何度か話したが、やはりその貴公子然とした顔立ちは婦女子の心を掴むには足りすぎるほど、なおかつ強くて優しいとくれば村や集落の娘たちは放っておくわけがなく、花関索を知る婦女子たちは常に黄色い歓声を飛ばしたと逸話が残っている。


 そのような子一人母一人の旅を続けていた花関索であったが、この後に運命の出会いを果たすことになる。

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