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第1話~桃園の誓い~

「我ら生まれし日、時は違えど

 兄弟の契りを結びし日より心を同じくして

 助け合い、困窮する者たちを救わん。

 上は漢に報い、下は民を安んずることを誓う。

 同年、同月、同日に生まれることを得ずとも

 同年、同月、同日に死せん事を願わん。   」


「「同年、同月、同日に生まれることを得ずとも

  同年、同月、同日に死せん事を願わん。   」」


『長兄劉備、二兄関羽、三弟張飛。この3人が艶やかな桃園で誓ったが世に言う桃園の誓いってもんだ。男なら一度は吐いてみたい台詞だねえ!これで劉関張の三兄弟は鉄よりも硬い結束で結ばれたって訳だ。だがなあ、この結束には1つ問題があったのよ。』


【なんだい?その問題ってやつは。】


『関羽と張飛には嫁が居たのさ。』


【なにか問題アンのかい?】


『大アリさ!嫁が居るとなるとこの世に未練を残しちまう。これから三兄弟は命を懸けた戦いに漕ぎ出すなら少しでも未練を残しちゃあいれねえってわけさ。』


【おっちゃん、そいつは分かったけどさ、そんなもんどうしようもねえじゃんか。離縁でもするのかい?】


『おっと。じゃあここから関羽と張飛の兄弟が世に未練を残さぬようにした方策を語って行こうかね。』



「翼徳、我らはこうして劉備殿の義兄弟となり、漢を助け、民を安んじる為戦うことを誓った。」

「おうよ兄貴!この張翼徳、力を惜しまんぞぉ!」


桃園の誓いが終わった後に関羽と張飛は2人で酒を飲みながら改めて兄劉備の目指す世のために全力を尽くすことを誓い合ってたんだが、どうにも関羽の顔が浮かない表情だった。当然張飛にだってそんなことは分かる。張飛は聞いてみたんだ。


「おい兄貴、そんな浮かない顔でどうした?」


ってな。すると関羽は何やら難しい顔を続けているのさ。だが張飛に対してはなあんにも答えやしねえ。当然喧嘩っ早い張飛のこった、顔を関羽のように真っ赤に染めて言うんだ。


「おい!俺は弟だぞ!弟に話せぬことがあるのか!」


ってな。すると関羽もやっと話す気になったみてえで口を開いてぽつりぽつりと話し出したんだ。

世は後漢末期、国中は荒れ果てている。妙ちくりんな術を使う張角って野郎が作った黄巾党って集団がアホな政治を行う漢を倒しちまおうって立ち上がったんだが、その黄巾って奴等もロクなもんじゃねえ。

誰彼構わず入れてたのか知らねえが蜂起にかこつけて民から略奪を行うってんだから世も末だ。


っとまあ歴史の授業は置いといてだ、三兄弟はその黄巾って奴等と戦う為に義勇軍として立ち上がって奴等をブチのめしてやろうって訳だな。

黄巾の奴等は中華全土に居やがる。100万、200万……ともかくイナゴみてえに湧いてるわけだ。

そんな時に気になったのがさっき話した関羽、張飛の嫁だ。


当然義勇軍に嫁を連れ歩くわけにはいかん。だから置いていくことにはなるが、この者らを残しておくとこの世に未練を残し、劉備との魂の契りを破ってしまうかもしれん。

それにここを離れている時に嫁たちが残った村が襲われるかもしれんとそちらに気を取られて集中ができんかもしれん。


そこで関羽が考えたのは、今日お互いの嫁を殺すことだった。

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