天使の声
「起きてください」
昨日とはまったく違う朝だった。目覚まし時計ではなく人の声による目覚め元パーティメンバーとの冒険を思い出すような朝だった。起き上がるといつもの敷布団の上に座る少女をソファの上から見下ろしていた。そうだ、寝る場所が無かったからソファで寝たんだった。それに目覚まし時計もつけてないし。
「ありがとう起こしてくれて。よく寝れたか?」
「はい、おかげさまで。えっとこれからよろしくお願いします。でいいんですかね?」
「いいよそんな堅苦しくなくても。これから一緒に住むんだから敬語なんて使わなくていいんだよ。」
「いえ、助けてもらったり、家に泊めてくださったり返さなければならない恩がありますから。」
「そうか。お前がいいならそのままでいいんだが。ところで気になってたんだがその翼本物なのか?」
「はい。私これでも天使なので。翼は小さいですけど。」
どうやら翼が小さいのがコンプレックスのようだ。あまり触れないでおこう。
「そう言えば名前聞いてなかったな。俺はアレンだ。」
「私はエミです。」
「エミか可愛い名前じゃねぇか。それで今からエミの日用品とか買いに行くんだが一緒に来るか?」
「行きます!」
「分かった。が、来る前にその翼をどうにかしないとなぁ。天使なんて滅多に見られるようなものじゃないし。」
俺が悩んでいるとエミが何か呪文を唱えると翼がスっと見えなくなっていった。
「すげぇな。魔法か。」
「はい。ちなみにこの魔法は天使だけしか使えないので真似しようとしても無理ですよ。」
便利だな〜と関心して少し翼があった場所を見ていた。が気持ちを切り替えて。
「よし行くか!」
「はい!」
エミは白い布を体に羽織っているだけのような格好をしていたので一応俺の上着を上から着せて行くことに。朝食を軽く済ませ、身支度が終わった。
ドアを開け、雑貨屋へ向かう。だが、流石帝都のど真ん中かなり街道が混んでいる。はぐれないようにエミの手を握っておく。人を避け、雑貨屋にやっと着いた。ここは俺もよく来るところで、日用品などもここで買い揃えている。雑貨屋に入ると、飛び込んでくるものがある。猫だ。
「にゃぁーっ」
と言って毎回ここに来る時は確実に抱きつかれる。この猫は以前、依頼で捕まえた猫なのだが、訳あって今はこの雑貨屋で飼われている。
「ごめーん!コラ、マル。ダメじゃない人に飛びついたら。」
これが俺がここに来た時に行われる恒例行事のようなものだ。
「別に構わない。もう慣れたものだからな。」
「アレンさん!と…は、まさか隠し子?!」
「違うわ!お前はほんと思い込みが激しいな。」
「冗談ですって〜で、今日はその子の日用品を買いに?」
「そうだ。適当に買い揃えてやってくれ。」
「はいは〜い」
「エミ、こいつはリリーだ。ここの雑貨屋の娘だ。」
「はっリリーさんよろしくお願いします。」
「エミちゃんって言うのね〜可愛いわぁ任せて。じゃあ色々持ってきますね〜」
待つこと数分後
「はーい持ってきましたよ〜っとえっと食器類と、その他諸々合わせて5000ベルになりま〜す。そういえば気になってたんだけどエミちゃんって下着着てるよね?」
「え?着てませんが…」
「えぇ?!」
驚きながらリリーがこちらを疑いの目で見てくる。そんな目しないでくれ。俺だって知らなかったんだ…
「エミちゃんってどこの子なの?言っとくけど嘘ついたらどうなるか分かってるでしょうね?」
凄みながら聞いてくる。こうなってしまえば仕方がないだろう。
「森で拾った。」
嘘は言ってない。嘘は。
「はぁ〜あんたがそれでいいならいいけど、ここを出て左に十軒くらい行くと下着売ってる所あるからさっさと行ってきなさい。」
「分かった。すまない。」
「いいのよ長い付き合いなんだから。」
リリーに言われた通りに店に向かう。
「ここでは下着を着るのが当たり前なんですね…気づけなくてごめんなさい…」
「いいんだ。エミが気負うことはない。」
まぁリリーが気づいてくれなかったら色々と(俺が社会的に)危なかったな。リリーに返しきれない恩ができてしまった。
「いらっしゃいませー、今日はどういったご要件でしょうか?」
「この子のサイズの下着を頼む」
「分かりました。直ぐに用意致しますので女の子だけ来ていただいてよろしいでしょうか?」
「エミ、自分で選んでこい」
「いいんですか?」
「?お前のだろう。」
そう言うとエミは嬉しそうな顔をして試着室へ行ったのだった
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