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お読みくださり、ありがとうございます。
最終章です。
僕の朝は、涼やかな妻の声で始まる。
「起きてー!ご飯よ!」
同時に、頬にキスをされ、僕は目を開ける。
妹が、パジャマ姿で僕の目の前にいる。
「お兄ちゃん、おはよう!」
妹は、朝で顔がむくんでいても、とっても可愛い。
「昨日も義弟のところに泊まったの?」
「ええ。義妹がこちらに泊まるから、弟は寂しいだろうと思って。」
寝室を別にしているので僕が妻に確認すると、妻が笑顔で答えた。
気のせいだろうか? 妻がここに泊まる日が、ほとんどない気がする。
これって、同居前とあまり変わらないような?
「お兄ちゃんは、私がお兄ちゃんのところに泊まるの、嫌?」
妹が僕を見て悲しんでいる。
「そんなわけないだろ。いつでも泊まりにおいで。」
妹が僕に抱き着いた。
妹は、やっぱり可愛い。
妹がいるのだから、問題ないか。
「二人とも、出かける準備して。」
妻が機嫌よく言う。
僕たちは結婚式を挙げなかったので、写真だけでも撮ろうと話していた。今日はその撮影の日だ。
妹と義弟は、僕たちが籍を入れる日に同時に入籍した。
二組のカップルで、同じ写真に写ろうと言い出したのは誰だったか? 確か、僕の可愛い妹が、お兄ちゃんと一緒に並びたいと言い出したんだ。
妹のウエディングドレス姿の横でタキシードを着た僕が並ぶなんて、考えてもみなかった。
同じく、位置を変えて妻と義弟が並んで写ることになるだろうけれど、深く考えないことにする。
ウエディングドレス姿の超絶可愛い妹のテンションが、異様に高い。
「はあー!サイコー!」
妹が、ウエディングドレスを着た美しい妻とタキシードを着た義弟が並んでいる姿を見て喜んでいる。
「義弟は、見た目はいいけれど、真正のシスコンだぞ? 結婚して、本当に幸せになれるのか?」
今からでも遅くない。子供ができる前に、いや、手を出される前に、離婚した方がいい! あれ? 手、出されてないよな?! 夜もほとんど僕と一緒に寝てるし。
僕が不満に思って妹に言うと、妹は目をきらきらさせて僕に言う。
「それが、いいのよ! 私の人生にこんなに素敵なことが起こるなんて!!
美形の姉弟の禁断の愛をこんなに身近で、ナマで見られていいわあ~!」
妹よ、結婚について、考え方間違ってないか?
ネタの宝庫だわ!と妹がつぶやいている。
「大丈夫よ。彼は、私に手を出さないわ。だから、私はお兄ちゃんと結婚したようなものよ!」
妹が僕の腕をとって自分の腕を絡まらせる。
義弟のシスコンぶりをばかにできないかもしれない。
僕は上機嫌で妹と腕を組んで、妻と義弟を見守った。
僕たちは似たもの同士で結婚した。お互いが世間に対するカモフラージュになっている。
おかしいと言われたらその通りだけれど、妻と妹、両方を手に入れたのだから僕は幸せだ。
結局、妻は猫と同じで、僕に完全に懐くことはない。欲しいものをもらったら、義弟のところでくつろぐのだ。それでも妻が愛おしいと思うのだから、重症だろうか?
しかし、二人のときには、彼女は愛らしく僕に甘えてくるのだ!!!
僕に完全に懐かなくたって、別にいい! 可愛いし、最近とても色っぽいし!!
妻とのこの甘い生活を、どうして捨てられよう?!
妻は僕に振り向いてくれないけれど、僕は猫を飼うように妻を飼っている。
妹は妻を美人だと誉めそやすけれど、僕にとって妻はひたすら可愛い存在だ。
そんな可愛い妻が、願い通り、義弟は例外として僕だけを見ている!
神よ! 感謝します!!
「愛してる。」
僕は毎日、彼女に愛を告げる。
僕が彼女の告白相手をしていたときに、「好き」と言われて続けてその気になったように、今度は僕が彼女を虜にするのだ。
時間はたっぷりある。彼女は離婚する気がないのだから、生涯かけて告白を続けてやろう。
今夜も彼女の脳内に僕が染み込むように、彼女の耳元で愛を告げる。
「愛してる。」
彼女が頬を染めて僕の胸に身体を預ける。
僕は安心しきった彼女を抱きしめて、キスをしようと顔を近づける。
インターフォンが鳴る。僕は無視する。また鳴る。無視しようとすると、スマホの着信音と共にインターフォンが鳴る。
仕方なしにスマホに出ると、妹からだった。
「お兄ちゃ~ん! 中に入れて~! あ、これ、卑猥だわ。ふふっ。」
妹よ、今度はなんだ?!
玄関のドアを開けると、妹が僕に抱き着いてきた。
日に日に妹は女性らしく、美しくなっていく。義弟のために自分磨きをしているかと思うと、腹立たしい。
「年上の女性に告白されて付き合うことになったのだけどね、その人、まだ好きな人がいるって言うのよ!」
え? 妹の身に、何がおこっているんだ?! 女性と付き合う? 不倫?! 二股?!
妹を家に上げて話を聞いている間に、妻はいなくなっていた。
こうして僕は、新婚生活の夜のほとんどを妹と過ごしている。
妹とやましいことは一切していない!
夫婦仲も悪くはない!
僕は妻と妹、両方と仲良くしているだけだ!
義弟からは苦情を言われていない。姉弟で仲良く過ごしているのだろうから、苦情を言うはずもない。
妻はいつかは子供を産みたいそうなので、僕は気長に構えている。
「お兄ちゃん、私の赤ちゃん、見たい?」
妹の、赤ちゃん?! 可愛いだろうなあ。
「見たい。」
「じゃあ、作ってもいい?」
え? 作る? 誰と? ・・・・・義弟しかいないだろ!
僕がイラッとすると、妹は可愛いらしく僕に擦り寄って、上目遣いで僕を見た。
「ダメ。」
まだ許せない! 妹は、僕のだー!
僕には妻がいるけれど、妹は別格なのだ!
「じゃあ、お義姉さまにも触っちゃ嫌だ!」
妹が嫉妬してる!
僕は妹の頭を撫でながら機嫌をとる。
「心配しなくても、妻に手を出していないよ。」
「お兄ちゃん、ありがとう!」
妹が僕に抱き着いた。
妹が、可愛い。
妻に手を出せなくても、妻が僕を家族として愛してくれているので、僕は満たされている。
「お兄ちゃん、幸せ?」
「幸せだよ。」
僕は少しだけ真剣な目をした妹の頭を撫でた。
僕の幸せは、妹と妻と義弟がいるから成り立っている。
僕と妹、妻と義弟の四人の気持ちが子供も持つことに意欲的にならないので、当面の間このままだろう。
場合によっては、僕たち四人は子供を持たないかも知れない。
好きな人がいるのに他の人に子供を作るのは、とても辛い行為だからだ。
今は、まだ決めなくていい。しかし、子供を産むのに適切な年齢がある以上、期限がある。
僕たちはその期限の日まで、ゆるゆると、まどろむような時間を過ごしていた。




