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振り向かない彼女を飼う方法  作者: 一会
第4章
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 お読みくださり、ありがとうございます。

 最終章です。



 僕の朝は、涼やかな妻の声で始まる。


 「起きてー!ご飯よ!」


 同時に、頬にキスをされ、僕は目を開ける。

 妹が、パジャマ姿で僕の目の前にいる。


 「お兄ちゃん、おはよう!」


 妹は、朝で顔がむくんでいても、とっても可愛い。

 

 「昨日も義弟のところに泊まったの?」

 「ええ。義妹がこちらに泊まるから、弟は寂しいだろうと思って。」


 寝室を別にしているので僕が妻に確認すると、妻が笑顔で答えた。

 気のせいだろうか? 妻がここに泊まる日が、ほとんどない気がする。

 これって、同居前とあまり変わらないような?


 「お兄ちゃんは、私がお兄ちゃんのところに泊まるの、嫌?」


 妹が僕を見て悲しんでいる。


 「そんなわけないだろ。いつでも泊まりにおいで。」


 妹が僕に抱き着いた。

 妹は、やっぱり可愛い。

 妹がいるのだから、問題ないか。


 「二人とも、出かける準備して。」


 妻が機嫌よく言う。

 僕たちは結婚式を挙げなかったので、写真だけでも撮ろうと話していた。今日はその撮影の日だ。

 


 妹と義弟(おとうと)は、僕たちが籍を入れる日に同時に入籍した。

 二組のカップルで、同じ写真に写ろうと言い出したのは誰だったか? 確か、僕の可愛い妹が、お兄ちゃんと一緒に並びたいと言い出したんだ。

 妹のウエディングドレス姿の横でタキシードを着た僕が並ぶなんて、考えてもみなかった。

 同じく、位置を変えて妻と義弟(おとうと)が並んで写ることになるだろうけれど、深く考えないことにする。



 ウエディングドレス姿の超絶可愛い妹のテンションが、異様に高い。


 「はあー!サイコー!」


 妹が、ウエディングドレスを着た美しい妻とタキシードを着た義弟(おとうと)が並んでいる姿を見て喜んでいる。


 「義弟(おとうと)は、見た目はいいけれど、真正のシスコンだぞ? 結婚して、本当に幸せになれるのか?」


 今からでも遅くない。子供ができる前に、いや、手を出される前に、離婚した方がいい! あれ? 手、出されてないよな?! 夜もほとんど僕と一緒に寝てるし。

 僕が不満に思って妹に言うと、妹は目をきらきらさせて僕に言う。


 「それが、いいのよ! 私の人生にこんなに素敵なことが起こるなんて!!

  美形の姉弟(してい)の禁断の愛をこんなに身近で、ナマで見られていいわあ~!」


 妹よ、結婚について、考え方間違ってないか?

 ネタの宝庫だわ!と妹がつぶやいている。


 「大丈夫よ。彼は、私に手を出さないわ。だから、私はお兄ちゃんと結婚したようなものよ!」


 妹が僕の腕をとって自分の腕を絡まらせる。

 義弟(おとうと)のシスコンぶりをばかにできないかもしれない。

 僕は上機嫌で妹と腕を組んで、妻と義弟(おとうと)を見守った。





 僕たちは似たもの同士で結婚した。お互いが世間に対するカモフラージュになっている。

 おかしいと言われたらその通りだけれど、妻と妹、両方を手に入れたのだから僕は幸せだ。

 結局、妻は猫と同じで、僕に完全に懐(なつ)くことはない。欲しいものをもらったら、義弟(おとうと)のところでくつろぐのだ。それでも妻が愛おしいと思うのだから、重症だろうか?

 しかし、二人のときには、彼女は愛らしく僕に甘えてくるのだ!!!

 僕に完全に懐(なつ)かなくたって、別にいい! 可愛いし、最近とても色っぽいし!!

 妻とのこの甘い生活を、どうして捨てられよう?!

 妻は僕に振り向いてくれないけれど、僕は猫を飼うように妻を飼っている。

 妹は妻を美人だと誉めそやすけれど、僕にとって妻はひたすら可愛い存在だ。

 そんな可愛い妻が、願い通り、義弟(おとうと)は例外として僕だけを見ている! 

 神よ! 感謝します!!




 「愛してる。」


 僕は毎日、彼女に愛を告げる。

 僕が彼女の告白相手をしていたときに、「好き」と言われて続けてその気になったように、今度は僕が彼女を虜(とりこ)にするのだ。

 時間はたっぷりある。彼女は離婚する気がないのだから、生涯かけて告白を続けてやろう。



 今夜も彼女の脳内に僕が染み込むように、彼女の耳元で愛を告げる。


 「愛してる。」


 彼女が頬(ほほ)を染めて僕の胸に身体を預ける。

 僕は安心しきった彼女を抱きしめて、キスをしようと顔を近づける。

 インターフォンが鳴る。僕は無視する。また鳴る。無視しようとすると、スマホの着信音と共にインターフォンが鳴る。

 仕方なしにスマホに出ると、妹からだった。


 「お兄ちゃ~ん! 中に入れて~! あ、これ、卑猥(ひわい)だわ。ふふっ。」


 妹よ、今度はなんだ?!

 玄関のドアを開けると、妹が僕に抱き着いてきた。

 日に日に妹は女性らしく、美しくなっていく。義弟(おとうと)のために自分磨きをしているかと思うと、腹立たしい。


 「年上の女性に告白されて付き合うことになったのだけどね、その人、まだ好きな人がいるって言うのよ!」


 え? 妹の身に、何がおこっているんだ?! 女性と付き合う? 不倫?! 二股?!

 妹を家に上げて話を聞いている間に、妻はいなくなっていた。




 こうして僕は、新婚生活の夜のほとんどを妹と過ごしている。

 妹とやましいことは一切していない!

 夫婦仲も悪くはない!

 僕は妻と妹、両方と仲良くしているだけだ!

 義弟(おとうと)からは苦情を言われていない。姉弟(してい)で仲良く過ごしているのだろうから、苦情を言うはずもない。

 妻はいつかは子供を産みたいそうなので、僕は気長に構えている。


 「お兄ちゃん、私の赤ちゃん、見たい?」


 妹の、赤ちゃん?! 可愛いだろうなあ。 


 「見たい。」

 「じゃあ、作ってもいい?」


 え? 作る? 誰と? ・・・・・義弟しかいないだろ!

 僕がイラッとすると、妹は可愛いらしく僕に擦り寄って、上目遣いで僕を見た。


 「ダメ。」


 まだ許せない! 妹は、僕のだー!

 僕には妻がいるけれど、妹は別格なのだ!


 「じゃあ、お義姉(ねえ)さまにも触っちゃ嫌だ!」


 妹が嫉妬(しっと)してる!

 僕は妹の頭を撫でながら機嫌をとる。


 「心配しなくても、妻に手を出していないよ。」

 「お兄ちゃん、ありがとう!」


 妹が僕に抱き着いた。 

 妹が、可愛い。 

 妻に手を出せなくても、妻が僕を家族として愛してくれているので、僕は満たされている。


 「お兄ちゃん、幸せ?」

 「幸せだよ。」


 僕は少しだけ真剣な目をした妹の頭を撫でた。




 僕の幸せは、妹と妻と義弟(おとうと)がいるから成り立っている。


 僕と妹、妻と義弟(おとうと)の四人の気持ちが子供も持つことに意欲的にならないので、当面の間このままだろう。

 場合によっては、僕たち四人は子供を持たないかも知れない。

 好きな人がいるのに他の人に子供を作るのは、とても辛い行為だからだ。


 今は、まだ決めなくていい。しかし、子供を産むのに適切な年齢がある以上、期限がある。


 僕たちはその期限の日まで、ゆるゆると、まどろむような時間を過ごしていた。



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