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振り向かない彼女を飼う方法  作者: 一会
第2章
34/81

34 姉 11



 弟は私の髪の毛がまだ乾いていないのに気づいて、以前のようにドライヤーで乾かしてくれた。

 弟がどうして怒るのか、わからない。

 連絡だってくれないし、私に落ち度はない。

 私の髪を乾かし終わって、弟がブラシでといてくれるのが気持ちよかった。

 弟は丁寧に私の髪をブラッシングして、ドライヤーとブラシをしまった。


 「姉さん、僕は迎えに行かない方がよかった?」


 弟が、私の後ろから話しかけてくる。

 私は振り向こうとして、弟に後ろから首に腕を巻かれた。


 「あなたは、連絡してこなかったわ。」


 私だって、言いたいことがあるので言ってやると、反論された。


 「姉さんのスマホに連絡を入れたけれど、姉さんと繋がらなかった。」


 私は立ち上がって、スマホをバッグから取り出した。電源が入っていない。昨夜充電を忘れたのに、朝、慌てて出かけたのを思い出した。

 スマホの充電を始め、弟に言う。


 「ごめんなさい。迎えに来てくれて、ありがとう。」



 弟は話があって私の部屋に来ているのだから、まずは話しやすい雰囲気を作らないといけない。

 私が座っていた椅子をベッドの近くに持ってきて弟に座るよう勧め、私はベッドに腰かけた。

 

 弟が、私に、話したいことがある。弟がついに私に心を開く決心をしたのだ。

 私はどきどきしてきた。

 弟は真面目な顔で椅子に座り、私に視線を合わせず、少ししてから私の顔を見て話し始めた。


 「姉さんは、僕たちの関係を、どう考えている?」

 「姉と弟。」


 私は当然のことを答えたけれど、弟には不満な答えのようだ。眉を寄せて、私にきいてくる。


 「普通の、姉と弟の関係だと思っている?」

 「少しブラコンとシスコン気味?」

 「少し?」


 私の答えに、弟が反応し、私の目をじっと見てくる。私は久しぶりに弟に見つめられて、うれしくて顔がにやけてしまう。

 弟はため息をついて、前髪をかきあげた。


 「いつまで僕とキスしたいの?」


 弟は視線を下げて私と目を合わせずに言った。私は弟を見つめながら、弟が言ったことの意味を考える。



 いつまで? 期限が必要なの?

 弟は、私とキスするのが嫌になったの? どうして?

 私ではない人としたいから、もう私とはしたくないの?

 キスしたいような、好きな人ができたの?

 私は必要ないの?

 もう()らなくなったの?



 「姉さん?」


 弟が私を呼びかける。


 私は弟に捨てられる。弟は、私のことが、要らないのだ。

 要らないから、最近私に触れないのだ。目も合わせてくれないし、時間をずらして家で私と会わないようにする。それならキスなんて、もってのほかだろう。

 そうか、弟は、私が要らないんだ。


 私は弟を見ることができなかった。


 「もう、キスしなくていいわ。今までありがとう。」


 目をそらして私は弟にお礼を言って、立ち上がった。

 涙で濡れた顔を洗いに行こうと歩き出す前に、弟が私を抱きしめた。


 「行かないで。」


 弟が私の肩に顔を乗せて耳元で言ったけれど、私は弟にとって要らない存在なのだ。私がどこに行っても、どうでもいいはずだ。

 私は淡々と主張する。


 「顔を洗いに行くだけよ。放して。」


 弟がきつく私を抱きしめる。

 私は主張したいことはもう言ったので、弟が私を放してくれるのを何もせず待った。


 気分の上下が激しいせいか、とても疲れた。考えるのも疲れるので、何も考えずただ立っていたら、弟の声が聞こえた。


 「わかったから。もう言わない。どこにも行かないで。」


 弟が懇願している。

 私は、要らない存在ではないの?

 弟の方に顔を向けようすると、弟が私の動きに気づいて顔を上げた。


 弟の目から、涙がこぼれていた。

 私はびっくりして、弟の涙を指で拭こうとしたのだけれど、弟に腕ごと抱き着かれているので弟の顔まで手が届かない。

 私は弟を落ち着かせたかった。肘から下は動くので、弟の腰に近い背中を両手で抱いて、撫でた。

 私は弟の目を見ていた。お父さん似の、意志の強い、真っすぐで、優しい目。

 私を見ていた弟が目を閉じて、私の唇に弟の唇で触れた。

 弟は、私とキスをしたくないはずだ。 

 私は手を止めた。

 

 弟は唇を離すとうつむいて、私の両肩に手を置いて自分の身体から離した。


 「姉さん、僕は弟だけど男なんだ。姉さんとキスすると、もっと姉さんに触りたくなる。

  姉さんは、こんな弟、困るだろ? だから、キスしない方がいいんだ。」


 私とキスするのが嫌ではない?


 「困らないわ。私は、あなたがいいの。」


 弟が驚いたように私を見る。

 キスをするなら、弟がいい。弟に触られても、嫌ではない。


 私が弟に触れないから、弟が私に触れるのをためらうのね!

 弟は未成年だし、家庭内で性的な関係っぽいことを強要するのはためらわれるけれど、弟が私に触りたいと思っているのだから強要ではない。


 私の肩にある弟の手首に口づけた。


 「ごめんね。お姉ちゃん、スキンシップが足りなかった。」


 私は弟の片手を私の肩から外して、両手で持って手の甲にキスした。ひっくり返して手の平にもキスをし、ぺろりと舐めた。

 弟の顔を見たけれど、反応が無い。

ーースキンシップが足りない?


 私は弟の手を放して弟の背中に腕を回し、弟にくっついた。できるだけ密着できるように、ぎゅっと抱き着く。

 弟が襟ぐりが開いた服を着ているので、素肌が見えるところに口づける。弟の、いい匂いがする。もっと触れたくて、小さくキスを繰り返して弟の胸元から首にかけて触れていく。


 弟が(あご)を上げたので、喉元(のどもと)が目についた。出っ張っている骨に手を触れて、感触を確かめる。

 硬くてごつごつしている。私の弟に、こんな部位があったのか。

 他は? 私は弟の身体を知らなさ過ぎる。

 弟の身体を、見たい。

 ちょっと脱いでもらおうか? 一人で脱ぐのは恥ずかしがるかな?


 

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