29 弟 14
僕の18歳の誕生日、姉はとても嬉しそうにしていた。
今日は受験勉強以外、何の予定も入れていない。
毎朝僕の部屋に来て、かけ布団をめくって姉は起こしてくれるけれど、この日はキスから始まった。
僕は唇を舐められた感触で、意識が浮上してきた。
夢の続きだと思い、目を閉じたままキスをしながら姉の身体を撫で、服の境目から手を入れて素肌に触った。
生々しい、温かくて柔らかな感触に興奮してさらに触り、姉の胸をまさぐった。
姉のあえぎ声が耳元でして、僕は目を開けた。
僕は姉がなまめかしい顔をして、僕にうっとりしているのをみて、失態に気づいた。
「18歳の誕生日、おめでとう。これであなたも成人ね。」
姉は僕の服を脱がせようとした。僕が服を手で押さえると、姉は自分の服を脱ぎ始めた。
姉は、一枚一枚さっさと脱いで、下着姿になった。
「愛してる。」
姉は愛おしそうに僕を見つめ、僕に身体を差し出した。
「姉さん。」
僕は、姉がこの時を待っていたことを、薄々感じていた。
自分からは手出しせず、僕に手を出させようとしていたのは、僕が未成年だったからだ。
姉は、僕をずっと欲しがっていた。僕は自分の性欲から姉を守るのに必死で、今も、誘惑に打ち勝とうとしていた。
僕たちは、血が近すぎる。二人が欲するままに、してはいけない。
僕は目を閉じて、自分の理性をかき集めた。
姉は、僕の上に身体を合わせて、僕の顔にキスし始めた。
服の上から僕の身体を触り、僕の下半身に手をのばした。
僕はここまでだ、と思い、姉を強く抱きしめた。
これ以上は、本能が勝ってしまう。
抱きしめた姉の素肌が気持ち良くて、僕は自分自身と戦った。
姉の匂いに包まれて、僕はぼんやりと、過去を思っていた。
姉はいつも僕のそばにいてくれた。僕が寂しくないように、危なくないように、手をひいて歩いてくれた。
姉はいつから僕のことを好きになったのだろう。
僕は、自分の気持ちを姉に伝えていない。
僕が姉と恋人関係になろうというのなら、ここから始めないといけない。
身体の欲に負けた後で言うのは、情けない。
「姉さん。僕は、姉さんを、愛してる。」
抱きしめたまま、姉の耳に直接ささやく。
姉が身体をかたくする。
僕は姉の耳朶を噛んだ。
優しく背中を撫でて、僕は姉を慈しんだ。
これが、僕の答えだ。
姉は身体の強張りを解かず、そのままでいた。僕は興奮がおさまったので、姉を起き上がらせて服を着せ、姉を抱擁した。
身体を離して、姉を見て言う。
「僕は成人した。一人の男として、あなたを愛するよ。」
姉はそのまま涙を流し始めた。
「ごめんなさい。」
「どうして謝るの?」
僕は理由がわからないので尋ねるのだけれど、姉は謝罪の言葉を繰り返すだけで、教えてくれない。
姉は、午後に出かけて行った。どこに行くのか僕は知りたかったけれど、「友達のところ」としか教えてくれない。
僕は姉の様子がおかしかったので、心配になってきた。
夕方になって雨が降り出した頃、姉は帰ってきたので、僕は姉を追って姉の部屋に入った。
姉は着替えているところだった。
姉は僕を見て、肌を隠すように直ぐに服を着た。
「受験に集中したいわよね。こういうこと、当分やめるね。」
姉の心境の変化についていけなかった。
ただ、ここで姉をあきらめてはいけないことだけはわかった。
僕は姉の無茶な要求に従って、思いきったことをすることにした。
僕だけの理性では心許ないので、姉の理性を信じた。僕は弟で、時には姉に頼る権利があると開き直る。
姉の要望通りにしようとしたけれど、姉に着せたキャミソールがシャワーで濡れて肌にくっつき、裸でいるよりもとてもなまめかしくて、バスタオルにしなかったことを後悔した。僕は理性を保つのにかなり苦労した。
姉は、僕の変化にかなり驚き、あきれ、最後は二人で笑った。
僕たちは姉弟の関係のままでも幸せだった。
夜遅くになって、珍しく父が僕の部屋に来た。誕生日の祝いの言葉も後で、気まずそうに、僕に忠告してきた。
「これは、かつて妻の親友に言った言葉だ。」
そう前置きして、父は神妙な顔をした。
「見たら触りたくなる。触ったらしたくなる。
姉が大切だったら、姉を守れる自分になりなさい。」
僕は父の言葉に頷いた。
姉の裸は、いつでも刺激が強すぎた。
僕はこれからも弟でいる。弟のまま、一人の男として姉を愛する。
僕は時々姉の裸を見せてもらい、慣れてしまえばいいと考えた。慣れてしまえば、僕の理性も簡単にとばないはずだ。
僕は姉にずいぶん執着しているようだ。
姉が結婚したら、僕はどうなるのだろう。
僕は姉に捨てられるのかもしれない。
辛いだろうな。かなり辛いだろうな。
僕は姉を僕から奪う男を義兄さんと呼ぶことになるんだ。
仕方がない。僕は弟だから。
せつなくて、僕は姉の部屋に行った。
寝ている姉のベッドに入って、寝ている姉の頬を指で撫でた。
少し微笑んだので、触れるように唇を合わせ、そのままじっとした。
姉さん、結婚なんて、しなくていい。
いつまでもこの家に僕と一緒にいて。
口に出したらいけない言葉を、僕は姉の口に入れ、姉の唇をなめた。
「愛してる。」
告白して、また口づけた。
どんどん口づけが深くなっていくと、姉がうっすらと目を開けた。
僕だと気づいて、微笑んだ。
姉は僕の肩に頭をのせて、目を閉じた。
僕が姉を抱き寄せて守るように腕で囲うと、姉は幸せそうな寝顔になった。
僕は姉から離れることなく、一晩中姉を腕の中で寝かせた。




