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第15章~急転直下~

 「やった、事態が動いた」

 サンガンピュールは一瞬思った。続けて、NHKアナウンサーは

 「また、同じケーブルテレビ局に所属するアナウンサー・黄前葉月さん、契約カメラマンの岩崎守さんの2人が、被害者の告別式があった6月27日を最後に連絡が取れなくなっています。警察ではこの2人が何らかの事情を知っているとみて、捜査を続けています」

 そのようにニュース原稿を続けて読んだ。

 これに対し、サンガンピュールは


 「おうまえ・・・はづき・・・?」


 軽く動揺した。黄前葉月といえばレイクタウンTVの後輩アナウンサー。事件が発生した6月23日は、朝から「おはよう茨城365」の生放送に臨んでいた。そして事件を直接目の当たりにした女性だ。ただ、サンガンピュールにとってはどんなアナウンサーなのか、全く分からない人だった。


 7月10日、木曜日。

 登校したサンガンピュールは早速クラスメイトに聞いてみた。だが時計を見ると午前8時15分。長谷川美嘉はまだ登校してきてない。そもそも彼女はギリギリで登校することで遅刻を回避することが多い。すると他の女子生徒の姿を視認した。今田愛美だ。

 「ねぇ、ねぇ」

 サンガンピュールは愛美にそう声をかけた。

 「うわ、びっくりした、おはよー!」

 「・・・えっ、何が」

 「いや、急に話しかけてくるからさ。それも塩崎さんだからさ。塩崎さんって普段私に話しかけないからさ。ちょっと驚いただけ」

 愛美は驚いた理由を説明した。普段話さない分、状況の説明が長くなってしまうのは致し方のないところだ。

 「ところで、用って何?」

 「あれ?えっと・・・」

 サンガンピュールは必死に思い出す。

 「あっ、黄前葉月っていう人、知ってる?」

 非常に断片的に質問してしまったためか、愛美も返答に時間がかかってしまった。

 「黄前葉月・・・ああ、あの人か!レイクタウンTVの!」

 「そうそう」

 「可愛い人だよ。ショートの髪もウェーブがかかってさ、素敵なんだけどね・・・。最近、行方不明になってるって聞いてるよ。例の事件で、お葬式の時以来姿が見えないんだって」

 「うん、あたしもそう聞いた」

 「そうなんだ」

 驚くほどにポンポンとコミュニケーションが進む。共通の話題を持っているとなると話は早いものだ。そこへ、

 「ゆうこちゃん、愛美ちゃん、おはよー!」

 岩本あずみが元気よく挨拶してきた。

 「あっ、おはよう、『幸せの王子』!」

 愛美がちょっかいを出す。

 「もう、それ止めてってばぁ」

 そんなことを言ってはいるが、口では笑っている。とにかくあずみはコミュニケーション能力の高い子だ。

 「ところで、何の話をしてたの?」

 あずみが質問した。

 「黄前葉月の話!あの人、行方不明になっちゃったじゃん」

 サンガンピュールが答えた。


 「ああ、あの人ね。・・・これは急激に怪しくなったね・・・」

 あずみは急激に声のトーンが低くなった。

 「・・・どうしたの?」

 愛美が気になって質問した。


 「あたしね、ひょっとして、黄前さんが犯人じゃないかって思ってんの」

 あずみが衝撃の予想を立てた。


 「「・・・へ!?」」

 サンガンピュールと愛美は驚きの声を挙げた。まさかそんなことがあるだろうか。

 「ねぇ、ねぇ、どうして、どうして!?」

 サンガンピュールは自分の両腕を使い、あずみの身体を思いっきり揺さぶった。とにかく詳しい理由が聞きたかった。これに対して、

 「いや、詳しいことは分からないんだけど・・・、本当に後ろめたいことがないのなら、お葬式の後でも普通に出勤すればいいのにさ。それがお葬式の後に急にいなくなっちゃったんだもん。多分、黄前さんは殺されたか、自分が犯人だとバレるのを恐れて逃げたか、のどっちかだと思うの」

 昨日から驚かされっぱなしだ。

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