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おっさんテイマーは、はばからない!〜ソロテイマーだったのに、気が付いたら最強組織を作ってました〜  作者: 琥宮 千孝(くみや ちたか)
第三章 (覇王覚醒編)

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王都奪還作戦!(4)

激戦はまだまだ続く!

「私は魔将バロバロス。これまで歯向かって生きていられた者はいないぞ?さあ、苦しみと共に死ぬがいい!」


 魔法の詠唱も無く、あたりに無数の魔法陣を呼び出すバルバロス。

 自分で言うだけあり、かなりの実力者のようだ。


 リンは、相手の攻撃が始まる前に既に動いていた。

 煌めく剣閃が相手を捉える。


「ただの剣技で私に傷を付けれると思っているのか?」


 見えない障壁に阻まれ、全て弾き返される。

 さらに待機していた魔法が狙ったかのように発動した。

 魔法で作られた黒い槍が無数に飛び出してくる。


「ぐうっ!」


 なんとか回避をしてみせるも、数発が体を掠めた。

 たったそれだけでHPの1/3が失われる。


「リン!?…グレーターヒール!」


 すぐさまレーナが回復魔法でリンを治療する。

 HPはすぐに回復するが、痛みや奪われた血が戻るわけではない。


 何度も食らえばいつかは力尽きてしまう。


「私が前に出るよ!リンちゃん、レーナちゃん攻撃をお願い!」


 壁役タンクとして、前に出るアーヤ。

 盾スキルが高い彼女の防御は、魔法ですらも防ぐことが出来る。


「ふむ、その程度を貫けないとでも思っているのか?」


 バルバロスは手を重ねて集中し、魔力を一点に集めていく。

 先ほどまでは詠唱すらしなかったのに、今度は詠唱付きだ。


「嫌な予感がする。二人とも私の後ろに!〈ダブルガード〉!」


 半透明の大きな二重の盾が、アーヤの目の前に作られる。

 そこにバロバロスの魔法が撃ち込まれた。


「全てを貫け悪魔の鉾。デビルスピアー!」


 魔法で作られた一本の黒い槍。

 見た目に大きな威力を感じさせないが、それが逆に恐怖を醸し出す。


 フィィィィィィィン!と高周波の音を発しながら飛んできた槍は、アーヤがスキルで作った盾を簡単に打ち砕く。

 更に2本目、3本目と次々に発動させて、アーヤのガードを打ち破った。


「あああああああぅっ!」


 スキルどころか、手に持っていた大きな盾すら破壊され、ついにはアーヤの右腕が魔法で貫かれてしまった。


「アーヤ!…直ぐに治すわ!グレーターヒー…」

「吹き飛べ、ダークネスバースト!」

「あああああああっ!」


 治療するために魔法を使おうとした瞬間に、バロバロスの魔法で吹き飛ばされるレーナ。

 あっという間に二人ともHPが半分以下になっている。


「レーナ!アーヤ!…ドルガーさん、二人にポーションを!」

「嬢ちゃん、一人じゃ無理だ!」

「大丈夫、一人じゃないからっ!」


 そういうと、リンはピーっと口笛を吹きながら壁を走っていく。

 すると、ぬるりと影から何かが出てきた。


『呼ンダカ?』


 それは、いざという為に護衛に付けられていたクロであった。


「クロ!アイツを倒すのを手伝って!」

『承知シタ』


 壁を蹴って、クロに飛び乗るとリンはカタナを片手に集中力を高めた。

 クロはリンを乗せたまま、口から黒いブレスを吐きだす。


「ち、そんなブレスで・・・なっ!?なんだこれは?」


 その黒い炎は、単なる炎ではない。

 そう、カルマが使っていた〈黒炎〉のブレスバージョンだ。

 纏わりつく炎が徐々に体力を奪う。


 カルマからいくつかのスキルを継承されることで、使えるようになっていた。


 それだけではない、クロもまた無詠唱で中級までとはいえ魔法を撃てるようになっていた。

 バロバロスを3つの魔法陣が取り囲み、そこからダークブラストが発動。

 バロバロスは直撃を受けて、一瞬よろめくが。


「鬱陶しい犬め!しかし、この程度ならかすり傷よ」

「じゃ、これならどう?」


 一瞬の隙を突いて、目の前に躍り出たリン。

 射程圏内に飛び出ると、"奥義"を発動した。

 

「”紅鈴の舞(こうりんのまい)”!」


 下段に回転しつつ2連撃、そこから上に真一文字で一閃しつつジャンプして斜め回転しながらの上段、中段、下段の3連撃のアクロバティックな攻撃を一瞬で打ち込んだ。


「が、はっ。なんだと…!たかが人間の分際で私に傷を付けるとは生意気な!」


 一気に頭に血を上らせたバルバロスは、腰に差していた剣を抜いてリンに斬りかかった。


「ドルガーさん!」

「任せろっ!」


 ギイイイィン!とバロバロスの剣を弾くと、その勢いを使って後ろに下がる。

 そしてレーナ達の治療を終えたドルガーが前に出て、その大きな戦槌でバロバロスを吹き飛ばす。


 流石Sランクなだけはある。

 流石のバロバロスも、体勢を崩した状態からでは防げず、避難所入口に張ってある結界に突っ込んだ。


「がががっがっがあああああああっ!!!?」


 いくら生命力の高い魔族でも、その結界に触れれば大ダメージは免れない。

 背中から黒い煙を上げつつ、なんとか起き上がるバロバロス。


「くそっくそっくそっ!下等生物が舐めた真似を!!」


 完全に下に見ていたニンゲン達にいいようにされ、怒り狂うバロバロス。


 そこに、追い打ちをかけるように復帰したレーナとアーヤが追撃を仕掛ける。


「「聖なる鎖よ、悪しき彼の者に罰を与えよ!〈聖鎖ホーリーチェイン〉!」」


 二重詠唱により、高度な神聖魔法を発現する二人。

 輝く鎖に囚われて、バロバロスは身動きが取れなくなるばかりか、聖属性の継続ダメージをうけもがき苦しんだ。


「その状態じゃ、格上も何もねーだろう? 地獄で後悔しな!〈グランドインパクト〉!!!」


 ドルガーが威力を一点集中した槌スキルをバロバロスに繰り出した。


「や、やめろおおおおお!!! グ、ガハアアアッッ!!」


 ドガアアアアアアアアアアン!!と、まるで岩を破壊したかのような音が鳴り響いた。

 その攻撃でバロバロスは跡形もなく吹き飛び、灰となって消えるのだった。


「はぁはぁ、この歳で本気の戦闘は堪えるぜ…」


 ドルガーのその言葉を合図に、兵士やギルド冒険者たちから歓声があがった。


「さすがギルドマスターね!」

「うんうん、封じ込めてたとはいえ一撃で倒しちゃうだなんて!」


 レーナとアーヤもひとしきりはしゃいだあと、まだ任務中だった事を思い出し伐が悪そうな顔をした。


「はっはっは、嬢ちゃんたちもやるじゃないか。流石は、聖騎士だな。見事な神聖魔法だった」

「ありがとうございます、ドルガーさん!」


 褒められて照れながらも、嬉しそうなレーナ。

 アーヤもまんざらでもなさそうだ。


 リンは一人、さっきまでそこにいた魔族に一人手を合わせるのだった。

 ユートは言っていた。

 魔族が敵なんかじゃない、彼等も生きているのだと。


 街に攻めてきて、人々を害する彼らを許せるわけではない。

 だがユートを見ていると、命を奪うという事に慣れないようにしないといけないと思うリンであった。


「さあ、街の人々の避難を手伝いましょう。後方の魔物も退治出来たようですし、早く戻らないと」

「そうだな。またすぐに違うのが流れ込んでくるかもしれん。さっさと大教会へ連れて行くとしよう」


 リンの言葉にうむと頷きながら、ドルガーも賛成のようだ。

 ギルド職員に手配せをして、結界の解除を行わせる。


 数分後、結界が解除された。

 入口の門を開けつつ、入口を護衛するために数人の冒険者達は残った。


 ドルガー達はリン達を引き連れて、避難所の居住区へと進むのだった。


 ─── その頃。


 大教会の周りにいる魔物達を綺麗に討伐したカイト達は、大教会の前に戻ってきていた。

 リン達が連れてくるであろう住民たちを安全に避難させるためにだ。


「まとめて切裂け!剣技〈七星〉!!」


 カイトが言うと同時に横薙ぎ一閃したあと、追ってくるかのようにさらに剣閃6つ煌めいて敵を切り裂いていく。


「全てを凍り付かせよ、ブリザード!」


 ミラが氷魔法で辺りの魔物達を凍り付かせて、その命を削り取る。


「打ち砕く!〈スパイラルチャージ〉!」


 ダンがその槍で凍り付いた魔物達を砕き、その命を終わらせた。


「彼のものを癒せ!アークヒール!」


 ザインが傷ついた冒険者達をまとめて回復した。


 その横で、アイナは一人づつ治療アイテムの"包帯"で怪我が酷い冒険者達の傷を瞬く間に治療する。

 

 先ほどまで防戦一方だった冒険者たちも、再び息を吹き返したように活気づいた。


「あの英雄カイト達がいるなら百人力だぜ!」

「さすがSランクのプリースト、折れた腕が直ったぞ!」

「あんな敵を一発だとは、さすが英雄様だ!


 冒険者達は口々にカイト達を褒めたたえた。

 それを苦笑いしながらも、カイト達も声援に応えるかのように魔物達を次々に倒していった。


 数分もしない内に、大教会の前に集まっていた魔物が再び一掃された。


 実際のところ、ユートよりもカイトの方が人気がある。

 なぜならば、今も自分たちを苦しめている魔物を扱う職業のユートより、ドラゴンを操り剣で戦うカイトの方が好感を持てるからだ。


 本当はユートも生身で戦っているのだが、それを見れた者は少ないのでどうしても偏見を持たれるのだった。


「ふふふ、相変わらず人気のようですねカイト殿。ユート殿よりも人気のようね」

「揶揄わないでください、アリアネル様。ユートさんの凄さをあなたは知っているでしょう?」

「そうですね。でも、実際に戦っている姿はまだ見れてないんですよ。そういう意味では他の人と大差ない認識かも知れないですね」


 実際はアリアネルはユートが戦ったところを見ているのだが、どうしても仲間ペット達が目立ってしまう為、ユート自身の強さは計りかねていた。


 当然、SSランクのクエストを達成しているのだから個人の能力が無いわけがないのを知っているのだが、分かりやすい強さを持った戦士とは違い、その凄さが伝わりづらいのだった。


 そういう意味ではカイトの強さは分かりやすいし、評価されやすいのも納得だと改めて実感してしまう。

 これもテイマー職の弊害なのねと自分で納得するアリアネル。


 テイマーを忌避していない自分でこれなのだ、他の人なら尚更なんだろうなと。

 せめて、その雄姿を近くで拝見出来たならと、少女の様なことを思うアリアネルだった。


「では、街の人々を迎えにいったドルガー殿を支援するために行ってきます。ここまでの安全ルートを確保しないと」

「そうですね、頼みました。ご武運をお祈りしております」

「ありがとうございます。では行ってきます」


 そういうとカイト達はすぐに出発していった。

 

 王都でギルド登録した時は、Aランクだというのに非常に頼りなさげだったのに、今では皆からも頼られるリーダーに成長したようだ。

 それも、ユートのおかげなんだろうと思い、クスっと笑いが出てしまうアリアネルだった。


 ─── 一方ユート達は。


「主、あれは不味いんじゃないか?」

「あー、結構な…」


 カルマが指摘しているのは港にウジャウジャ集まっている魔物達だ。

 どこからそんなに集めてきたのか分からないが、ざっとみて数百。

 いくら雑魚でも、これだけいるとかなり危険だ。


「主は単体との戦闘に特化している。なので、ここは我らがやろう」

『そうですね、あれだけの数だと纏めて攻撃しないと終わらないでしょうね。主様は乗ったまま我らに指揮をお願いします。精霊の目で、状況を教えてくださいませ』

「分かった。まずはカルマの重力魔法で中心に引き付けよう。その後、ニケのブレスと魔法で一網打尽にした方がいいな」

「承知しました。では、参りましょうか」


 双子達が南門を抑えている間に、ここを制圧する必要がある。

 向こうももう少しした殲滅出来るだろうが、合流をまつ時間がもったいない。


 ここは一気に片を付けるべきだ。


「いくぞ、突撃!」

「はっ!」

『承知しました!』


 魔物達がひしめく港の中心部に、大きな魔法陣が現れる。

 魔力感知能力が高い魔物が退避しようと動こうとするも、魔物が集まりすぎて思う様に動けない状況だ。


 そして、それを指揮する魔族達も同様だった。


「な、何事だ!ええい、そこをどくのだ!」


 そういい、魔物達をかき分けて魔法陣から抜けようとするも時すでに遅し。

 次の瞬間、辺りを黒いドームが包み込む。


 そして…


「ぐおあおおおおおおおおおおおおおあああっ!?」


 グギャアアアアアアア!!

 グオオオオン!

 ヒギャアアアアアア!


 と様々な呻き声や悲鳴が上がる。

 どれも魔物達の声だ。


 あたり一帯に重量魔法"グラビティフィールド"が発動し、中にいる魔物や魔族達を押しつぶしていく。

 さらに近くに居た者達もどんどん吸い寄せられて、まるで磁石に集まる砂鉄かのごとく中心に集められていた。


「よし、ニケ!〈ライトニングカノン〉!」

『承知しました。くらいなさい!』


 ビィィィィィィィィっと雷属性の光線が、ドームの外側を縦横無尽に撃ち込まれた。

 その一撃で命を落とすものや、吹き飛ばされてドームに吸い寄せられるものなど様々だが、その結果はどれも一緒だった。

 すなわち、無慈悲なる攻撃による死。


 中心から遠い位置にいる魔物達がたったの一撃を見ただけで、その結果を理解し逃げまどう。

 しかし、それを許すユート達ではない。


「逃がすかっ!〈錬気乱射撃オーラガトリング〉!」


 普段使う〈錬気射撃オーラショット〉よりも、小粒のオーラが弾丸かの如く辺りに散りばめられて撃ち出される。

 これは、範囲攻撃をするために編み出したオーラ系スキルの一つだ。

 このようにオーラ系のスキルはある程度は自分の意志で形を変える事が出来るのが特徴でもある。


 港にいる魔物達が見る見るうちに数を減らしていく。

 更に、カルマが召喚した魔法陣が徐々に大きくなり、生き残っている魔物と魔族の殆どをその領域に飲み込んでいった。


「さらばだ。潰れろ、グラビティフォール!…お前たちの命は、我がすべて吸い尽くしてやろう。〈魂喰ソールイーター〉!」


 潰され絶命した者たち、かろうじて生き残っていた者たち、フィールド内にいるすべて等しく魂を吸収されていった。


「いつ見てもえげつないスキルだな。…しかし、これで港の安全を確保できそうだな。」


 ユートが地面に降り立つと、カルマの魔法から僅かに生き残っている者達が襲い掛かってきた。

 しかし、その程度の敵はもはやユートの敵では無かった。

 双剣で切り裂き、命を終わられていく。


 ニケも、ユートを降ろした後はブレスや強靭な脚による攻撃で残党狩りをしていった。


 その後、十数分で辺りに魔族も魔物も生きている者はなかった。


「おおーーい!ユート~~!俺らも来たぞおおおおおおお!」


 【サウスサリス】からの援軍の船が待っていたかのように接岸してきた。


 船から亜人の大男が降りてきた。

 この遠征支援軍のリーダーの様だ。


「いいタイミングだったな。」

「ああ、助かったぜ。港を埋め尽くす魔物を見たときは絶望したよ。お前がここに居るってことはまだ王都は無事なのか?」

「無事ではないな。だが生存者がかなりいる。なのでその住民の護衛を頼みたい。彼らの安全を確保したら俺らは王宮に乗り込む」

「分かった!すぐに行こう! おい、お前たち!ユートの案内に従って移動するぞ!」


 総勢100名ほどの冒険者がおおう!と地鳴りが起こったような声で雄たけびを上げて、ユートに引き連れられて大教会前に向かうのだった。



 

いつもご覧になって頂いている方々、本当に有難うございます。


日々、評価やブックマークが増えていき、皆様に応援されているようでとっても励みになっています。

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是非よろしくお願いします。


次回も楽しみつつ書かせて頂きますので、一緒にお楽しみ頂ければと思います。

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