ウィンクルム遠征計画!南の大陸【サウサリス】へ行こう!
カミオ達を勧誘するユート。
その意図とは…。
「あと2週間くらいで屋敷の修繕が終わる。そしたら住み込みで働かないか?」
俺はカミオ達にそう話を持ちかけた。
これから俺達は冒険クエストだけではなく、商業でも稼ごうと考えてる事を打ち明けた。
通常、北の大陸に行くには王都の港から船を出して渡ることになるが、今は封鎖されていて一般人は使えない。
そのため、飛竜などの飛行生物に乗って渡るしかないのが現状だ。
ただそうなると、海を越える前にハーピー族が襲ってきてしまう為、普通の冒険者では渡る前に落とされるらしい。
俺は運良くハーピー族の長から通行書代わりの角笛を貰っているため、安全に渡ることが出来る。(戦っても勝てる自信はあるけど。)
そのため上位テイマーが少ないこの世界なら、飛行生物を使っての搬送は専売特許といっても過言ではない。
ドラゴンライダーは見かけたことがあるが、貴重な戦力としての飛竜を荷物運びに使う人間はまず居ないだろう。
今の俺は、飛行できる仲間ペットが7匹(魔獣2匹、ドラゴン3匹、小竜2匹)は居るのだ。
俺の強みであるこの利点は使わない手は無いだろう。
さらに、レア霊獣のゲンブまでいるので、本気を出せば数十tの荷物を運ぶことが出来るだろう。
そこで重要となってくるのは買い付けだ。
沢山運べるとしても、買い付け出来なれば単なる無駄足になるからだ。
そのためには、人手もかなり必要になってくだろう。
ウィンクルムが商会としてやっていけるように各地に人を送り込むことも必要になってくだろう。
現地の人間の確保も重要になってくるが、その人物とのやりとりするのにライ一人では全然足りない。
そんな説明をしつつ、やはり道中は危険な場合もあるので冒険者である方が対処がうまくいくだろうと付け加えた。
「中々壮大な計画ですね。いいんですか?俺らのような今日あったばかりの人間にそんな大きな計画を話してしまって。」
「話して問題になるやつは、そんな事を聞き返してこないさ。それにな、今言った通りにこれは簡単に真似できる内容じゃないからな。聞いていても、まず飛行出来るペット揃えるだけで、普通の人たちなら数年かかるだろうさ。」
「あー、確かにそうでしょうね。飛竜なんかは、捕まえた奴では懐かないから卵を捕獲してきて育てるらしいですからね。」
「え、そうだったのか。俺、最近一頭捕まえたけど、とても懐いて可愛いぞ?」
俺のランクで飛竜だと弱すぎて移動用にしか使わないが、ルベルは俺に懐いていて結構頑張る姿を見せようと必死になっているので、愛着が湧いて結構可愛がっている。
色が珍しい赤でカッコいいし、この先の戦いで使えるようにいい肉を与えて鍛えているところだ。
「え?!うーん、そんな簡単に懐かせれるなら、飛竜捕まえて売るだけでもかなりの儲けになるんでは?王国騎士のほとんどが飛竜に乗るって話ですよ?」
「へ~、そうだったんだ。なるほど、だからカイトは英雄視されるんだな。アイツが有名になれば王国の象徴として扱いやすいんだろうなぁ。あ、話が逸れてしまったね。どうだ?そういうのも含めて興味が湧いてきたんじゃないか?」
そう言うと、すこし考えるカミオ。
そして思い切ったという顔をして俺に質問してきた。
「でも、どうして俺らなんですか?たまたま知り合ったとはいえ、この町には若い冒険者なんて沢山いるののに。それにもっとランクの高い冒険者もいますよ?」
「そうだなー。1つはお前が仲間を助けるのに命を投げ出す覚悟を見せた事だ。あれは中々できる奴はいない。そして、何でもするって言っただろ?」
「え?あ…、そうでした!自分は何でもすると、言いましたね…。」
「そう!だから、君たちうちで働くのは確定だからね?そのうえで、目指したい目標に沿った仕事をしてもらいたいとは思っているんだ。」
いやいややっても、いい仕事は出来ないからね。
どうせならやりたい事に近いことのほうが成果は出るだろう。
「そういう事でしたら、自分はこのまま冒険者としてもっと上を目指したいと思っています。他のメンバーは違うかも知れないですが。」
「うん、私はその商売の方を手伝いたい。戦闘は苦手だけど、いろんな種族の人とお話をするのが夢だったのよ!」
ミリンダは、俺の提案を受ける形で交易の手伝いに賛同した。
「私は、カミオの手伝いを続けたいわ。」
レオナはカミオを一人にはさせれないと冒険者の手伝いを願い出た。
レオナの方がかなり年下だが、しっかり者のようだ。
アイナと話が合うかもしれないな。
バーナーは、
「おら大工のスキルを持っているだ。だから、それを活かした仕事がやりたいだ」
と言ってたので、修繕の手伝い兼ガントの助手を任せる事にした。
素材集めの際には戦闘もすることを想定して、戦闘の方ももっと修行してもらう。
デュークも同じく、カミオと一緒にやりたいと申し出てきた。
ただ、彼の場合は元々ナイトなので護衛に適していると思ったので保留にする。
どちらにしろ、そもそもの実力がまだ足りないので修繕が終わるまでは他の冒険者と同じく手伝って貰う事にして、その間にセツナに修行を付けて貰う事にした。
そのあとは、ライの部下としてそれぞれの仕事につくように指示した。
5人は概ねそれで了承して、その場でユニオン加盟の手続きをライとする。
ライは、あすには彼らのユニオン加盟をギルドに報告するという事でもう一度明日カミオ達とライ達で今後の方針決めをすると伝えられた。
そのあと、帰還祝いで俺が皆の食事をおごってその日はお開きとした。
─── 翌日。
俺は、一旦王国に戻ってきた。
夕方にはサニアに戻ってくるとリンとセツナに伝えている。
二人だけで移動すれば、かなり早いので夕方になるまでにサニアに帰ってこれるだろう。
「カイトはいるか?」
「あ、ユートさん!おかえりなさい。早かったんですね、あちらはどうですか?」
「おう、順調に修繕が進んでいるよ。このままなら再来週には出来あがるらしよ。」
「それは嬉しいですね!俺もあの屋敷が一番住みやすいですし、落ち着きますので早く帰りたいです。」
「『帰りたい』か。なんか嬉しい言葉だな。あそこはもう俺達全員の家になってるんだよなぁ。」
「あたり前じゃないですか。あそこ以外に帰るところは無いですよ!」
「ま、そうだったな。」
物質的にも、精神的にもあそこあが俺らの家なのだ。
皆もそういう風に言ってますよ、とカイトには付け加えられた。
「それはそうとさ、ちょっと交易するために南の大陸に行こうと思っているんだけど、お前たちもくるか?」
「ええ!?【サウサリス】に行くんですか?もちろん、行きます!すぐに準備しておきますね。」
「いや、今日じゃない。1週間後にしよう。皆にも伝えておいてくれ。1週間後に迎えに来るから準備しておくようにと。」
「分かりました。ゼフさんとメイアさんにも伝えておきますね。」
「もう、ご了承済みです。カイト様」
いつのまにか現れたゼフが探しに行こうとするカイトを止めた。
「急に戻ってこられたのは、あちらで何かあったからですか?」
「ああ、実はな…」
サニアで冒険者を救ったことと、ライの計画が進んでいる事を話をした。
「なるほど、ライ様とサナティ様は元々お勉強の出来る方だったようですよ。町では有名なお二人らしく冒険者になる時は皆さんに反対されたらしいですからね。」
と、町で聞いていた話を教えてくれた。
そうか、結構有名だったんだな。
「そういう事でしたら、お任せ下さい。せっかく【サウサリス】へ行かれるんでしたら、観光もしていらしたら良いでしょう。メイアに準備させておきますので、一週間後に王国の門のところで待ち合わせましょう。」
「分かった、宜しく頼んだよ。メンバー全員連れて行くから伝えておいてくれ。その間の留守番は頼むな。」
「承知しました、私共がしっかり留守を守りますのでご安心を。」
その後、ガントに会って素材集めの状況を確認した。
今回南大陸に行くのは、ガントのランクアップの素材集めの為でもある。
「おう、ユート。フィアとゲンブのコンビのお陰でかなり素材集め進んでるぜ。今週中には大体集まるぜ?あとは、ここでは採れない鉱石なんだか…」
「ああ、丁度その話をしに来た。来週に【サウサリス】へ向かう。そうすれば揃うだろ?」
「まじかっ!?すげー助かるよ!」
「俺としても、早くもっと上の素材を使えるようになって貰いたいからな。それにだ…」
「ん?それに…」
「あそこは、温泉地だろ?療養に最適だろう?」
「?!おん、せん、だとっ…?!」
お、案外食い付いてきたな。
やはり日本人たるもの、温泉に惹かれない訳がない。
「そんな訳だから、楽しみにしてろよ?」
「お、おう!」
若干、反応が怪しいがまぁ大丈夫だろう。
ガントと別れたあと、シュウとマイニャにも会ってきた。
二人とも丁度厩舎に居たので、ちょうど良かった。
「おう、シュウ、マイニャ。」
「あ、ユートさんお帰りなさい!」
「おかえりなさい旦那様。」
シュウは元気よく挨拶を返す。
マイニャはすっかり従業員らしくなって、丁寧にお辞儀した。
…なんかちょっとさみしい気もする。
「シュウどうだ?シロとの訓練は。」
「うん、バッチリだよ!シロも前より強くなったし、俺も乗りながら戦うの慣れてきたよ!」
今なら、壁を走りながら戦うのが出来るらしい。
お前達はニンジャかっ!と心の中でツッコんでおいた。
当のシロはマイニャに手入れをされていたようで、俺を見つけるなりダッシュで飛び付きじゃれて来た。
よーしよし。もふもふもふ。
よーしよしよしよし。もふもふもふもふ。
いっぱい撫でてやったら、もっと撫でてと仰向けになって甘えてきた。
これを見る限りは、でっかい白い犬だ。
前まではセントバーナードくらいの大きさだったのだが、最近更に大きくなってライオンくらいの大きさがあるので迫力が出てきたな。
どうやら、マイニャの訓練が功を奏しているようだ。
「シロのトレーニングは順調のようだな。」
「はい、旦那様のお持ちくださるお肉で肉体が強化されていくのも大きいです。それに凄く訓練を頑張ってくれてかなり強くなっていますよ。」
ちなみに、マイニャには俺がランクアップした時に『動物調教師』スキルを継承済みだ。
これにより、彼女は訓練師であり、調教師でもあるのでペット育成の専門家と言える。
スキル上限いったらランクも上げたいので、1つでもカンストしたら教えてもらうようにしている。
今からその時が楽しみだ。
「君のトレーニングセンスはいいな。来週に皆で南大陸の【サウスサリス】へ行くから付いてきてくれ。あっちでも色々トレーニングをやって貰いたい。」
「えっ!そうなの?俺も行けるの?」
「うん、シュウももちろん一緒だよ。…温泉に入りにいくぞ!」
「わーっ!本当!?嬉しいなぁ。俺、今まで温泉とか2回くらいしか行ったことないよ~!」
シュウが思ったよりも嬉しそうで何よりだ。
マイニャの方はいまいちピンと来ていないようだったが。
「温泉ですか…。話には聞いた事ありますが、そんなにいいものなんですか?」
「ああ、入るだけで癒されるし、何よりもお風呂よりも広い湯に浸かれるんだ。俺らがいた世界では、それは贅沢な事だったんだよ。」
「なるほど、そうなんですね。しかし、従業員の私がそんな贅沢なんて許されるんでしょうか?」
「気にするな!というより、日ごろの感謝も含めてみんなを連れていきたいんだ。本当は、使用人全員を連れていきたいが、ここを全部空けておくわけにもいかないから、今回はメンバー全員とメイアとマイニャだけって感じだ。それまでに向こうでも訓練出来るように準備しておいてくれ。」
「はい、わかりました旦那様!お任せください。」
そう言うと、シロを呼び戻してブラッシングを再開させるのだった。
去り際に少し寂し気にしていたが、頑張ったら次は連れてってやるからなと言ったら、しっぽをピーンとさせてやる気をアピールしていた。
あれ、シロも言葉分かるんだろうか?
まぁ何があっても不思議じゃない世界だからな、気にしないでおこう。
そのあと、カルマとディアナ、ヘカティアにも話をして来週の事に話をしておいた。
ディアナとヘカティアは温泉に行けるのをかなり喜んでいた。
「ふふふ、温泉よディアナ!私は初めて入るからとても楽しみね!」
「あら私だって初めてよ。楽しみねヘカティア。あちらの特産の食べ物もあるらしいわよ。」
とウキウキで話を弾ませていた。
「そういえば、ピューイとルベル、セリオンはお前たちが鍛えてるんだろう?成果はどうだ?」
「うん、ピューイはもうちょっとでAランクの壁を超えれるんじゃないかな?そうしたら、成竜になる筈だよ。」
おお、ピューイが大人になるのか。
嬉しいような、残念の様な複雑な気分だな。
「ルベルがまだまだ鍛えないとダメだね。あの子のポテンシャルはそこそこあるんだけど、成長度が低いみたい。だから、気長にやるしかないかなぁ。」
”ワイバーン”はそもそも竜族の中では低位種なので、まだポテンシャルあるだけマシというものだ。
今後の成長に期待というところだな。
「あとは、セリオンはすっごいよ。最初は新しい体に慣れてなくて魔力操作が上手くいってなかったけど、最近は慣れてきたから出会った頃の数倍は強くなっているよ。私とタイマンしても引けを取らなくなったもの。」
ヘカティアと同格までいったか。
彼の望み通り順調に力を付けているようだな。
伸びしろが期待できる分、そのうち双子より強くなるのかもしれないな。
「あ、だからって私達もまだ負けないからねマスター!マスターに会ってから私達だって強くなっているんだからね。あとから来た子に負けないんだから!」
「うん、そうねヘカティア。最強の竜の座は私達のモノよ!」
ディアナもやる気を出しているのは、いいのか悪いのか。
でも、そのまま切磋琢磨してくれればいつかまた戦う事になりそうな魔族幹部にも対抗出来るようになるし、損はないな。
「そうか、二人にも期待しているぞ。」
「うん、任せてマスター!ね、ディアナ!」
「ええ、期待に添うように尽力します。頑張りましょうねヘカティア。」
そのあと、そんなに鍛えたいなら我がやってやろうかとカルマが提案していたが、全力で拒否していたのを見てちょっと笑ってしまったのは内緒だ。
「じゃあ、1週間後に王都の外で全員集合な。それまで各自の準備を終わらせておいてくれ。」
「承知しました。」
じゃあと言って、俺はニケに乗ってそのままサニアに戻っていくのだった。
──────それから一週間後。
「よーし、全員揃っているな。」
ライとカミオ達はここには来ていない。
商売を始めるためにいろいろな方面に手続きをしなければならないとかで、残るという事だった。
カミオ達もライの手伝いをするということで全員残るという事だった。
なんだかんだでうまくやってくれているみたいなので、ちょっと安心した。
サナティには外の世界をもっと色々見てきて欲しいので連れて行ってあげて欲しいとライから頼まれたので連れていくことになっている。
レーナ達は、さすが日本人なだけあって、絶対行くと言ってきたのでセツナを保護者として同行させることにして、今回一緒に行く事になった。
なので今回の遠征のメンバーは、
俺とガントとリンとシュウとサナティの5人。
カイトとそのチームメンバーの5人。
レーナとそのチームとセツナで6人。
それから使用人達の中からマイニャとメイアとアイの3人が同行することになった。
19人とかなりの大所帯である。
今回の行き先は大陸を越えるので、そのまま仲間ペット達の背中というわけにはいかない。
そのため、ガントが面白い物を作ってくれた。
「ガントこれは?」
「おう、大所帯になるのは分かっていたからな。作ってみたんだよ。これはな”ゴンドラ”っていうので、中に人や物を乗せて運ぶものさ。」
「もしかして、これってあれか?実装されてたんだな。」
「おう、俺も驚いたぜ。スキルが上がったらレシピが浮かんだんだからな。」
"ゴンドラ"は"空の馬車"と言われていて、飛竜やドラゴン等の飛行生物が引く事が出来る空専用のカーゴである。
ネットで流れていたLBOのイメージ映像では"ペガサス"がこのゴンドラを引いていた。
魔法具を取り付けて浮くようにしてあるらしいが、起動に魔力が必要である。
魔力を注がないと引っ張るペットに過大な負荷が掛かるので、魔力を注げるペットか、ゴンドラ側から供給する必要があるので注意だ。
「一先ず、十人用を3つ作ったから交代しつつ引いてもらえばかなり早く着くと思うぜ。」
「なるほどな。そうなるとあとは誰に引かせるかだけど、一番力の無いピューイとルベルが引けるか試してみるか。大丈夫なら誰でも引けることになるしな。」
2匹にそれぞれ専用の手綱を括り付けてから飛んで見る。
手綱を握って魔力を込める、するとカーゴがフワッと浮き上がっていく。
結果は大成功だ。
ルベル×リンでも問題なく浮かび上がって、そのまま飛ぶ事が出来た。
ちなみに3つのうち1つはペット用のゴンドラなので、そっちにはマイニャとメイアが同乗する事になった。
手綱はメイアが握ることになる。
これで準備は整った。
最初の引き手は、セリオン、ディアナ、へカティアの3ドラゴンになった。
その日飛び立つ3等のドラゴンとそれに引かれる謎の空飛ぶ箱を見た城下の人々は、その光景に唖然としたという。
これが【ウィンクルム】空輸団の初始動となったのだった。
いつもご覧になって頂き、本当に有難うございます。
日々評価やブックマークが増えて、皆様に応援されていると感じることが出来ています。
執筆の励みになっています、本当に有難うございます!!
これからも、楽しく書いていきますので、
是非一緒に楽しんでいただければと思います。
次回は、平日投稿予定です。
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