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おっさんテイマーは、はばからない!〜ソロテイマーだったのに、気が付いたら最強組織を作ってました〜  作者: 琥宮 千孝(くみや ちたか)
第三章 (覇王覚醒編)

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地獄の沙汰も覚悟次第。

レーナ達を連れて地獄の塔に来たユートは…。

 前回来たときは救出の為だったので、ニケとカルマで全てを吹き飛ばしたが今回は急ぐ理由が無いので普通に戦闘していく事にした。


 最初は雑魚しか出ないが、騎乗しての戦闘は思いの外難しいので慣れさせるために乗ったまま戦わせた。


 リンとレーナとアーヤはスキル持ちの為、思った以上に戦えるようだが男子達がぼろぼろだ。


 武器を振ったり魔法を唱えるだけでバランスを崩してしまう。


「もっと、重心を安定させて攻撃しなさい!ほら!また崩れてる!」


 今回は教官としてセツナを真ん中に置いて、俺とニケは殿を務めている。

 たまに奇襲を仕掛けて真後ろから攻撃してくる魔物がいるが、『攻撃予測』を持っているのでバレバレだ。


 ただの裏拳一撃でもれなく仕留めている。


「おじ様、流石ですわ。伊達にSSランクに到達してないわ。」

「パパは、このユニオンで1番強いってSランクのカイトお兄ちゃんも言ってたよ。」


 そんな雑談しながらも、確実に一撃で仕留めているリンもなかなかの腕前だ。

 よそ見しているようで、しっかりと敵を捉えているようだ。


 いくら雑魚でも、全てを一撃に仕留めていくのは高度な技術がいる。

 しばらく見ない間に相当鍛えたんだなぁ。


 そんなふうに感心させるほど、美しい剣さばきだった。


「おゃあ!とお!」

「そこだね…はぁっ!」

「ファイアボール!」


 男子達もそこそこ慣れてきたようだ。

 ショウタが若干力まかせだが、そのうち慣れていくだろう。


 ユウマはなかなかのセンスだな。

 最初こそ馬上からの射撃に慣れてないので狙いがブレまくってたが今では外さなくなってきた。


 ダイキはMP温存の為に低級魔法を選んで撃ってるが、逆に仕留めきれなくて焦ってしまうことがあるようだ。

 相手の強さに合わせて魔法も選ばないと、かえって燃費が悪くなるからなと教えてやった。


「そういえば、ユートさんてテイマーだけど戦える人なんですよね?あのフウマさん相手に勝ったらしいし、何使って戦うんですか?」


 アーヤが俺の戦闘スタイルについて聞いてきた。

 フウマが戦闘特化型のニンジャなのに本来サポート職であるテイマーに負けたとなれば気にもなるのだろう。


「んー、基本は双剣かな。あとは弓かな。状況によって魔法も使うし、スキルでステータス上げたりもするし、回復とかに回るときもあるよ。最近は、素手でも戦えるスキルと覚えたから、戦闘ならどこのポジションもいけるよ?」


 普通に考えれば、どれにも特化しないスキル構成はただのネタキャラか器用貧乏になるはずだが、様々な要素が絡みあった結果で俺にはそんな心配は無用だった。


「そんなに色々出来るものなの?」

「ランク上がればスキル増やせるからな。でも、たまたまそうなっただけだよ。欲しいスキル覚えるために色々やってたらこの組み合わせになっただけだからな。」


 そう、そもそもはペット蘇生が目的で取るスキルを決めていた。

 それに合わせて、ランクアップしやすいように戦闘スキルを構成したのが今の状態だ。


「あぁ、そうそう。『蘇生術リザレクション』を持っているから、万が一のときも心配いらないぞ?」

「なんで、そんなレアなスキルを持っているんだ?」


 セツナが呆れた顔で聞いてきた。

 そうか、みんな意外と知らないんだな、上位テイマーなら誰でも取ろうとするこのスキルを。


「これは、テイマーがペット達を蘇生するのに必要なスキルなんだ。だから上位テイマーならみんな持っていると思うぞ。」

「いや、そもそも上位テイマーなんて殆どいないから、知らないわよ。」


 あ、そういやそうだったね。

 ほとんどの人が挫折して、LBOのテイマー率はかなり低かった。


「しかし、蘇生にはスキルダウンのデメリットがあるからね。出来るだけ使わないに越したことはないと思うわ。」

「それはセツナの言う通りだな。まぁ、万が一ってだけだから。回復も出来るし、みんなガンガン戦え~!」


 おー!と威勢よく男子が返事する。

 レーナとアーヤは微妙な顔をしていた。


 そんな中、リンはというと。


「大丈夫。パパが大丈夫って言ったら、本当に大丈夫なんだよ。」


 と笑顔で言うだけだった。


「リンもあれから強くなったんだ。2か月間の成果をここで見せてくれよ?」

「うん、分かったよパパ。あの時は自信過剰になってただけだけど、今ならちゃんとした自信をもってここなら大丈夫って言えるよ。」


 リンは誇らしげに笑うと、馬上で剣を構えて中に斬り込んでいった。

 それを見た男子も、続け~!とばかりに追っかけて中に入っていく。


「俺は、殿しんがりやるからセツナはあの子らをしっかり指導してやってくれな。」

「分かったわ。じゃあ、私も行ってくるわ。」


 セツナも馬を走らせて、更に奥に進んでいった。


 俺はのんびりニケに乗りながら辺りを見て回りながらついて行った。

 倒すことに夢中になっている子供たちの代わりに、素材や肉を回収していく。


 下層は大した敵は出ないので、殆ど動物と変わらないワイルドウルフなどが出てくる。

 Cランク相当なので子供たちでも一撃で仕留めていったようで、どれも真っ二つだ。


 力が更に上がったので、皮を剥いだり肉を切り出すのも前よりも早くなった。

 肉の一部をニケの口に放り込みつつ、皮はストレージに仕舞っていく。


「こんなもんかなぁ?」


 ウガ?


 あ、お前に言ったんじゃないよ?さよなら。

 バシュンッ!


 たまたま出てきたオーガが呼んだみたいな顔してたので、げんこつ一撃で仕留めておく。

 可哀そうだが、ダンジョン内は弱肉強食なのだ。


 オーガの肉をニケに食べさせようとしたが、


『この肉は、美味しそうな匂いがしません。』


 と言って、プイっと横向かれた。

 最近いいものばかり食べさせてるから、舌が肥えて来たようだな。


 あとでヘルキャットおびき寄せるのにでも使うか。


 しばらくすると上に行く階段に行きついた。

 戦闘した跡が残っているので、この先にいるのだろう。


 さっきから雑魚が現れては襲撃してくるが、低ランク過ぎて相手の力量を図れないらしい。

 遠慮なしに襲ってきて、ちょっとうざかった。


『主様、私が排除しますか?』

「いや、たまには体を動かしておかないとなまっちまう。運動がてらに俺が戦うよ。」


 階段前の横道からオーガが4体出てきた。

 

 この世界のユートから引き継いだスキル『錬気術オーラ』の練習にもってこいだな。


 実はあのスキル、ただ魔力をオーラに変えて戦うスキルじゃないと先日正式に継承して判明した。


 どうやら、イメージした場所にオーラを発生させて攻撃力に変換できるみたいだ。

 簡単に言うと、矢が無くなったら矢をイメージすればオーラで矢を作ることが出来る。


 しかも魔力で作る為、魔法扱いとなるが物理ダメージも乗るという不思議なスキルだ。

 そういう意味では、カルマの闘気とはちょっと性質が違うみたいだな。


 というわけで、今回イメージするのは円形の良く切れるブーメラン。

 くだんの円月輪みたいなのだ。


 それを手の平の上にイメージして作成する。

 出来上がったら、ヒョイっと投げれば…。


 ギャアアアアアアオオオオオオオオオオオ!!?


 と断末魔と共にオーガたちが横に真っ二つになった。

 切れ味は問題なしと。


 また奥からオーガファイターが出てきたので、今度は投げやりをイメージする。

 良く使うジャベリン系の魔法と同じ形をイメージする。


 それがオーガファイターの頭上に出来るようにし、そこから落としてみた。


 ザクッ!と頭から串刺して一撃で絶命させた。

 あまりの不意をついた攻撃に、声も出なかったようだ。


「だいたいイメージ通りだな。これは慣れれば本数増やしたり、大きさを変えたり出来そうだ。」

『今までと使い方を変えたんですか?面白いスキルですね。』


 そう言い、ニケも感心していた。

 覇王の資格とやらは全く要らないが、このスキルに関しては本当に有り難い。

 この世界のユートに冥福を祈ると共に感謝の念を送る。


「ニケ達の闘気は形を固定したり出来るのか?」

『いいえ?カルマもそのまま纏う形でしか使っていませんね。私に出来るのか分からないです。』

「そっかー、カルマの場合はそんな工夫とかいらないかもだけどなぁ。」


 そんな事を考えながら先に進んでいくと、リン達が大きめの部屋に入っていった。

 あそこは確か…。


 ギニャーーーーーーー!!

 グルガアアアアアアア!!


 中から魔物の鳴き声というか、悲鳴が聞こえる。

 良かった、わかってて入ったんだな。


 部屋の入り口にたどり着くと中では子供たちが大暴れしてる。


「煌めく高速剣、〈シューティング・スター〉!」


 ショウタが光り輝く剣技で高速にヘルキャットの首を刎ねていく。


「吹きとばせ!〈コメットブラスター〉!」


 ユウマがスキルによる衝撃波を纏った弓矢でヘルキャットを吹き飛ばす!


「全てよ凍てつけ!ブリザード!!」


 ダイキが高位氷魔法で相手を凍らせていく!!


 ヘルキャット達が戸惑っている間にアーヤとリンが斬り込んで行く。

 そして、その部屋の中心から何かを拾って帰ってくる。


 ふと、入り口に馬から降りているレーナを見掛けた。

 ?…誰かいる!?


 俺は慌ててそこに駆け付けた。


 その男はあちこち噛みつかれた跡があり、顔も半分焼け爛れている。

 ここのヘルキャットにやられた様だな。


 レーナが一生懸命回復魔法で回復しているが、効果が薄い様だな。


「レーナ、代わろう。俺がやるよ。」


 ストレージから高級ポーションを取り出し、迷わす男に振りかける。

 それと同時に精霊魔法を唱える。


「水の精霊よ、この者に治癒の加護を…アクア・ヒール!」


 詠唱句は何でも良いが、結果をイメージ出来るものが好ましい。


 なので女神の様に相手を慈しみ、優しい微笑み浮かべて治療を行うサナティをイメージし同じ詠唱句を使った。


 男の体が青い光りに包まれてみるみる傷が塞がっていく。

 信じられない様に自分の体を確かめつつ、俺の方を見据える。


「有り難う、助かったよ!頼みがあるんだ!仲間がこの部屋の奥に突っ込んで行ってしまったんだ。助けてくれないか?出来る礼なら何でもする!」


 男は縋り付くように俺の足を掴み懇願してきた。

 だがきっと大丈夫だろう。


 なるほど、あの子達がなぜ全力行動していたか理由がいまやっと分かった。


 はっちゃけてるだけと思ったけど、まだまだ俺も見えて無いようだなぁ。


 数分もしないで、中心に固まっていたヘルキャット達が全て斃された。

 端の方に散った個体はショウタ達が掃討しに掛かっている。


 リンがこちらを見ている。


「パパッ!パパーッ!こっちに来て!」


 悲壮な顔をしているリン達を見て大体予想が付く。


 男を連れて、彼の仲間らしい男女数人が折り重なって倒れている場所に連れて行った。


「ああっ…ああああぁっ!!バーナー!デューク!レオナ!ミリンダ!くそうっ!くそうっ!!」


 ボロボロになった彼らの遺体を前に号泣しながら、地面に拳を打ち付ける男。

 きっといま心の中で後悔と自分自身の弱さに対しての怨嗟が込み上げてきて居るところだろう。


「お前、名前は?」

「俺…ですか?ぐ、うっ、俺はカミオです。」

「そうかカミオ、()()()()()()()な。」

「運がいい?!何を言っているんだ、仲間が全員死んで俺だけが生き残ってて。」

「そう、お前が生き残った。そのおかげでお前は選択をすることが出来る。選べ、お前はこの四人の復活を望むのか?」

「え?何を言って…、あんた、もしかして高位の魔導師なのか?!も、もちろんだ!生き返してくれるなら、なんでもする!頼む!お願いします!!」


 先程、俺に助けてくれと言った時と同じく縋り付きながら懇願するカミオ。

 だが、代償は払ってもらわないといけない。

 本当の覚悟と言う名の代償を。


「お前は、この仲間のために自分の命を差し出せと言ったら、俺に差し出すことが出来るか?」


 俺にそう言われて一瞬固まるカミオ。

 しかし、すぐに真剣な目で俺を見据えて頷いた。


「そうか…ならば契約成立だ。このナイフで自分の首を刺して自刃しろ。そしたら仲間を蘇生してやる。」

「…分かった。仲間を頼みます。みんな、守ってやれなくて済まない。俺が先に逝くから皆はもっと生きてくれ!ふーっ、うおおおおおおっ!!」


 俺が差し出したナイフを受け取ると、迷いなく自分の自分の首にナイフを深々と差し込んだ…

 が、ソレは首を押しただけで刺さらずにふっと霧となって消えてしまった。


「え?これは一体…!?」

「よし、お前の覚悟を見せてもらったよ。カミオよ、約束を果たそう!…彷徨える魂よ、我の願いに応え己の身体に戻れ!〈蘇生術リザレクション〉!!」


 倒れている四人の下に魔法陣が浮かび上がる。

 そして、それぞれの遺体が光り輝く。


 更に、ニケが人化してから精霊魔法を使った。


「癒やしの風よ、この者たちの傷を癒やし命を活性させよ!〈アークヒールウインド〉!!」


 風の大精霊が癒やしのスキルで彼等の傷を瞬く間に消していった。


 俺はそれを見てさらにスキルを使った。


神聖術セイクリッド発動!『祝光』!」


 4人がムクッと起き上がった。

 ややぼやっとしているが正常の様だな。


「ここは…あれ、オラなんでここで?」

「あれ、猫たちはどこいった?」

「!!?えっ?まだ生きてるよ!生きてる!」

「私は死んだのでは無かったのでしょうか?」


 よし、4人とも無事に戻ってこれたようだ。


「ああっ!お前達!済まない、良かった!良かったあぁぁぁっ!」


 カミオは仲間達を抱きしめながら号泣し、ひたすら謝るのだった。

 

いつもご覧になって頂き、本当に有難うございます。


日々評価やブックマークが増えて、皆様に応援されていると感じることが出来ています。


執筆の励みになっています、本当に有難うございます!!


これからも、楽しく書いていきますので、

是非一緒に楽しんでいただければと思います。


次回は、土日投稿予定です。


よろしくお願いします。

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