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おっさんテイマーは、はばからない!〜ソロテイマーだったのに、気が付いたら最強組織を作ってました〜  作者: 琥宮 千孝(くみや ちたか)
第二章 (ランクアップ編)

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氷の大精霊と冒険者。

悲痛な声を聴いたユート達は、祭壇で見たものは…。

 ・・・助けて・・・・


 ・・死んで・・・・


 ・・・痛い・・・苦しい・・・


 祭壇の奥から哀しそうな、それでいて悲鳴を上げているような声が聞こえて来る。

 祭壇の周りに、亡霊の様な顔をした何かが飛び回っている。


 どうやら、あれが氷の大精霊の成れの果ての様だ。


「依り代を失っただけで、ああもなるものなのか?」

「いえ、あれは魂の残滓のようなものですね。きっと倒された時に魂の欠片がここに残ったのでしょう。まずは、散らばった精霊の力を集めないといけませんね」


 なるほど、それであちこちから声が聞こえてくるのか。

 大小様々な魂の残滓が飛び回っているという状況のようだ。


 しかし、集めると言ってもどうやったら?

 その答えは、ニケが答えてくれる。


「主様、私とカルマで集めていきます。それを主様の『神聖術セイクリッド』で浄化してください」


 なるほど、〈聖なる祝福(セイクリッドブレス)〉で浄化させる手があるか。

 邪悪に染まり過ぎてたら消滅するが、今の状態なら元の性質を取り戻す筈だ。


「分かった、それでいこう。じゃあ、頼んだぞ?」


 【天使の灰】などの触媒があれば威力を高める事が出来るが、手持ちに天使の灰は無いので地面に魔法陣を描く事にした。

 そうすることで、触媒がなくても広範囲に発動することが可能となるのだ。


「我が名は風の大精霊ニケ。我の求めに応じ氷の精霊達よ、氷の大精霊の魂をここに集め賜え」

「我、闇の大精霊カルマが命じる。邪悪に染まりし氷の大精霊よ、我の元に集まりその姿を見せよ!」


 ニケとカルマが自らの大精霊の力を使って氷の大精霊の魂を集めて具現化していく。

 そこに俺が大きな魔法陣を描いていく。


 丁度、魔法陣が完成する頃には、ほとんどの魂が集結していた。

 

 ・・・助けて・・・・死ぇえ・・・・体が痛ぃぃ・・・ああ苦しぃ・・・ 


 そこには、およそ精霊とは思えない姿の悍≪おぞ≫ましいモノが現れた。

 大きな氷塊のような物のゴツゴツした表面に、呻く顔が浮かんでは消えてを繰り返している。


「今、その苦しみから解き放ってやるからな。 …天より降り注ぐ光の御子よ、彼の者達に清らかなる祝福をもたらせ!〈聖なる祝福(セイクリッドブレス)〉!!」


 詠唱と共に、魔法陣が光り出す。

 幾重にも重なる光の帯が大精霊の亡霊を照らし、浄化していく。


 ・・・・ああ・・・・ありがとう・・・・


 氷塊のような物から黒い靄が出て、それがスキルにより浄化されて消えた。


 バリィーーーンッ!


 それと同時に氷塊のようなものが豪快な音を立てて砕け散った。

 そして中から、一人の精霊が現れた。


『人の子よ。そして我が同胞の大精霊よ。我が魂を助けてくれてありがとう。感謝する』

「氷の大精霊よ、私は風と雷を司る大精霊のニケです。何があったのか教えてくれますか?」


 ニケは、意識を取り戻した氷の精霊にどうしてこうなったのか訳を聞いた。


『あの日、多くの人間の冒険者たちが我が神殿を訪れました。最初は、力がある人間だったので勇者の候補かと期待したのです。ですが、実際は違いました。彼らが求めているのは、我が依り代である【永久氷晶】だけだったのです』


 ここまでは、ニケが精霊達から聞いた話と一緒だな。


『最初は、我が力の加護は要らないのかと聞いたのですが、「そんなものは必要ない」と断ってきたので、では早々に立ち去りなさいと告げたところ、「その氷の棺に用があるんだ」と言って攻撃してきたのです。 曲がりなりにも大精霊たる我に挑むとは愚かなと思っておりましたが、凄まじい力で攻撃してきたので対抗しきれずに依り代を破壊されてしまったのです』


 氷の精霊は、5大精霊である火・水・風・土・星の内、水の精霊から派生した精霊であるが、それでも大精霊ともなればSSランク相当の力を有している。

 それを容易く倒せる冒険者ということは、最低でもSSランク冒険者が一人以上いることになる。

 仲間もSランクなものが数人いるのだろう。


 そんな奴らが彷徨うろついているだけでも恐ろしいが、目的が分からないな。

 どっちかというと加護を受けた方がいい気がするが。


「なぁ、なんでそいつらは【永久氷晶】を欲しがったんだろう?何か思い当たる節はあるかい?」

『我が依り代にしていた【永久氷晶】は、我が魔力が宿っているために持っているだけで氷属性魔法を使えるようになると思います。また、氷属性魔法を防ぐ力も持つはずです。それは砕いても効果は変わらないので、それを狙ったのかも知れません』


 なるほど、そういう事ならわかる気がする。

 魔法を持たない戦士系が氷属性が扱えるようになるだけじゃなく、氷属性が効きにくくなるわけだ。

 王国の支援を受けない彼らが戦力を増強するのには手っ取り早い手段だったわけか。


「それはそうと、なぜ暴走を?依り代を失っただけでは、そこまではならない筈でしょう?」


 ニケがそう尋ねた。

 俺もそこが疑問だった。

 さっき浄化したときに、あからさまに精霊とは違うものが混ざっていた。

 どっちかというと、怨霊みたいなものだったのだ。


『それは、…多分ですが呪霊スキルを受けたようです。禍々しい魔法を受けた後は殆ど意識がありませんでした』

降霊術ネクロマンシーか。随分と厄介なやつらだな」

「持っている主がそれを言うか?」

「俺は…いいんだよ!目的が違うし。それにお陰でゼフ達が仲間になったわけだし。それは置いといて、そんな呪いのようなスキルは俺も習得していないから、かなり高位の降霊術師ネクロマンサーだぞ?LBOではかなり不人気な職業だったのに、それを極めてるとはかなりのキワモノだな」

「テイマーもなかなか不人気でしたけどね…」


 ウォッホン!とわざとらしく咳ばらいをしてカルマをスルーしつつ、今後の事を考える。


 相手は別に犯罪者というわけではない。

 王国でも横暴を働く程度だったので、追放された程度だ。


 氷の大精霊には悪いが、今助ける以外は何もしてあげる気はなかった。


「話は分かった。今後俺らも注意を払っておこう。さて、そのままじゃこの地を治めることが出来ないだろう?セリオン、この祭壇に置いてくれ」

『主殿、了承いたした』


 セリオンが永久氷晶を祭壇に置き、氷のブレスで固定してあげる。

 ちなみに微調整はカルマの重力魔法で行った。

 折角の依代が斜めとか嫌だよね。


「オッケー、これで真っ直ぐだな。固定もしっかりしたし、あとは氷の大精霊が宿れば元通りだな」

『これを我の為に持ってきたのか?なんと…!』

「まぁ、そんなとこかな。あなたが暴れると困る奴がいっぱいいるんだ。早く外の猛吹雪を止めてくれ」


 それを聞いて氷の大精霊は微笑みながら頷いた。

 設置された永久氷晶に手を当てると、眩い光が溢れ出した。


 氷の大精霊はそのまま、すうっ中に吸い込まれていった。

 永久氷晶の中に、美しい精霊の姿が浮かび上がった。


『有難うございます、人の子よ。この恩には報いなければならないでしょう。まずは、荒れ狂う吹雪を収めます』


 そう言うと、あたりの吹雪がピタッと止んだ。

 外も収まっただろうか? 


 そう思った瞬間、部屋の外から凄まじい量の魔力が流れ込んできた。


『外に溢れ出た我が魔力を集めました。これで外で荒れ狂っていた吹雪も収まるはずです。さて、自己紹介が未だでしたね。我は氷の大精霊のイグニスと言います。今後はイグニスとお呼びください』

「宜しくな、イグニス。俺の名前はユート。見ての通り、ただの調教師テイマーだ」

『ふふ、大精霊と竜姫と幻獣、そして我が眷属の氷竜まで…、なんとも凄まじい調教師テイマーがいたものですね。…なるほど、貴方は既に資格を持つ者なのですか、であれば納得もすると言うものです』

「なんだ、資格って?」


 テイマーって、何か資格があるのか?

 もしかして、ランク上がるとテイマーの上位職になるとかっ!?


『それはですね…。おっと、まだ器が出来上がっていないのですね。今はまだ、我が余計なことを言ってはいけないようです。詳しくはそこの二人に聞くと良いでしょう。 しかし、その状態でここまでとは…。先が楽しみですね。それはそうと、貴方は()()()()()()()()()()()()()()()。さあ、受け取りなさい!』


 そう言うと、問答無用とばかりに儀式が始まる。

 祭壇が光を放ち、俺らを包み込んだ。

 その瞬間に力が湧いてくる感覚がした。


『これで、貴方は【氷の加護】を受けました。これにより氷属性による効果が増幅されました。さらに、我が眷属にも効果が発揮されます』


 おお、これでセリオンが更にパワーアップか。

 今日だけで、かなり強くなってないか?


 俺の魔法や属性攻撃も強くなるようだから、思った以上に恩恵は受けれそうだ。

 ステータスを見ると、『攻撃予測』と同じく覚醒スキル欄に『氷の加護』というのが増えていた。


「イグニスありがとう。君の加護でセリオンも更に強化されたよ。次からは、暴走しないようにもっと防御固めてくれよな?」

『面目ないと思う。あのクラスのバケモノが早々くるとは思わないが、もう少し対策を練るとします」 


 例の冒険者が来るたびに暴走するんじゃ、商売とかやってられない。

 とりあえずは、しばらくは入口の門を開かないで様子を見るという事だった。


 用がある場合は、外にいる氷の精霊に言えば情報は伝わるので、俺等は入るのには困らないという事だった。


「では、行きましょうか主様」

「ああ、これでやっと家に帰れるな」

「あ、その前にヒョウの所へ一度寄っていかないとですね。彼にもう大丈夫だと伝えないと」

「ああ、そうだったな。そのうち集落に人も戻ってくるだろうし、あいつも喜ぶだろう」


 ひとまず洞窟の外に出る事にした俺らは、イグニスと別れて神殿の入口まで戻ってきた。

 外に出ると確かに吹雪は止んで、静かに雪が降っているだけだった。


 高速移動するため、ニケとカルマも魔獣の姿に戻っている。

 俺はカルマに乗り、双子はニケに乗っていた。


 セリオンは、その後ろを低空飛行しつつ付いてきていた。

 小型化していなければ、中を飛ぶとか出来なっただろうなぁ。


「普段は、こんなに穏やかなんだな。ここから比べたら、さっきまでのは異常事態っていうのが良く分かるよ」

「そうだな主。…しかし、気が付いているか?」

「ん?何がだ?…なんか、居るのか?」

「正解だ。人間がここを取り囲んでいる。主、錬気障壁≪オーラバリア≫を展開しておくといい」


 そう言って、俺と双子を降ろしてカルマとニケが先頭に出る。

 ディアナとヘカティアは俺の両サイドに、そして後方にはセリオンがついた。


「おやー?もう気が付いたのか?随分とイイ索敵能力もっているやつがいるようだなぁ」


 髭を生やした、30代前半くらいの男が出てきた。

 肩には、大きな斧を抱えている。

 

 その男が手を振りかざすと、隠れていた他のメンバー達も姿を現した。

 その数、15名程だ。

 弓矢やら杖やらをこちらに向けて威嚇しているようだ。


「はっはっは。斥候を置いといて正解だったぜ。こんなに早く獲物が引っかかるなんてな」

「…お前は、王国を追い出された冒険者か?」

「おや?俺の事を知っているのか?」

「詳しくは知らないが、噂くらいは聞いている。それでこんな不毛の地で盗賊稼業とは泣けてくるね」


 まさか、こんなところで遭遇するとは思ってもいなかった。

 てっきり、違う場所へ移動していると思っていた。

 斥候を置いといたとはいえ、全員がすぐに集まれるあたり、近くの地域にいたのは分かるが何か連絡方法があるんだろうか?


「はっ、言ってろ。俺らは単に好きにやりたかったのによぉ、やれ格式だの、マナーだの煩いんだよ。あんなのには付き合ってられないさ。しかし、珍しいヤツに出会ったもんだ。あんたユートだろ?奇人テイマーのユート。まさかこんなところにいるとはなぁ」

「!?俺を知っているのか。やはり、お前たちもそうなのか?」


 その名称で俺の事を知っているという事は、イコールあっちの世界の人間ということだ。

 しかし、そんな名称で知られているとか不本意極まりないな。


 う、ディアナとヘカティアの俺を見る目が痛い…。

 

「おう、そうだよ。()()()()()()()()()()()()。ああ、メンバー全員じゃないぜ?数人は、こっちきてからのメンバーだ。なんせ、俺はランクSSの戦士だからな。付いてきたいっていう人間は多いのさ」


 やはり、予想通りか。

 LBO出身者である以上、かなりの戦闘経験を積んでいるはず。

 それもSSランクとなれば、かなりの上級者だ。

 色々と知り尽くしていて当然と思っておかねば。


「俺は、グラムと言うんだ。向こうでは『ブラッティフランキスカ』っていう対人戦もやってたクランのリーダーやってたんだが、まさかこんな世界に放り込まれるとは思ってなかったよ。でも、これはこれで楽しいと思わないか?」

「俺は生き残るのに精いっぱいで、まだ楽しんでいる余裕はないけどな」


 まぁ、ぶっちゃけ最近は好き放題出来るようになってきたので、楽しんでいる事の方が多いが、まだまだこれからだなというのが本音だ。


「それは、お前が弱っちいからだよ。さて、悪いことは言わないから持っているアイテムをすべて置いていけ。おっと、金もだぞ?そしたら命くらいは助けてやるよ。テイマーなんだ、結構稼いでるだろ?」


 テイマーは自分が戦わない分、武器や防具の消耗が少ないためコストが低いと思われている。

 高ランクテイマーなら、その狩りの相手も高位のモンスターなので一般的にお金持ちと思われている。


 まー、あながち間違いではないけどね。

 

「んー、止めといた方がいいぞ?俺の事を知っているなら、俺がどういうテイマーか知っているだろう?」

「はん、たかだかSランクのテイマーだろ?その相棒もSランクのレア魔獣って聞いてるが、こちとらSSランクが3人、Sランクが5人だ。他もほとんどがAランクだぜ?お前に勝ち目はねーよ。同じ同郷の好だ、優しく聞いている内に、出すものだしなっ!」


 やはりか。

 王都の連中、どうやってこんな奴らを追い出したんだか。

 下手したら、暴動起こされたうえに王都占拠されてたんじゃないのか!?


 しかし、昔の俺の情報しか持っていないのか。

 まぁ、まだこっちに来て1か月ちょいだし、当たり前か。


「俺がSランクなんて昔の話だ。もうランクも上がっているし、仲間ペット達もSSランクだよ?お前らも只では済まないぞ?」


 一部に本当を混ぜて、嘘を言う。

 これは交渉の基本だな。

 だがしかし…


「あっはっは。嘘言うなよ。おい、どうだ?」

「ああ、グラムさん。ユートはSランクのままだよ」

「だとよ?」


 あら、〈生物鑑定〉使えるのがいるのか?

 だが丁度いい、仲間ペット達を見て驚く事になるだろうさ。


「だけど…、あの前にいるやつらランクがSSですね。しかも、後ろの竜もSSランクですよ?…横の女の子たちはSランクだよ」

「なんだと?!ち、面倒なのを連れてきているな。だが、SSランク3匹か。上等じゃねーか。どっちにしろお前さえやっちまえば終わりなんだ。さあ、覚悟は決まったか?」


 手加減出来る程弱い相手ではない。

 しかし、本気でやれば間違いなく死人をだすだろうな。

 さて、どうしたもんか…。


「グラム、分かっているのか?ここは死んだら終わりの世界なんだぞ?もうゲームの世界じゃないんだぞ。死ぬのは怖くないのか?」

「あん?そんなのはとっくに分かってるよ。だからこそ、楽しいんじゃないか。それに、俺らは俺らであってあの世界の俺らじゃないって、もうお前も分かっているんじゃないか?」


 !?まかさ…。

 グラムは、カルマが俺に言っていた事をもっと詳細に分かっているんだろうか。


「どう足掻いても【地球】には帰れないんだ。だったら、こっちで死ぬまで好きな事やった方がいいだろう?俺はこの先、魔族領側に行こうと思っている。そこで、俺らの国を作って好きにやらせてもらうのさ」


 そんな時だった。

 カルマが急に動き出した。


「下等生物がべらべらと余計な事をっ…!貴様はまだ本当の恐怖を知らない様だな。だったら我が教えてやろう!!」


 言うが早いか、カルマが真の姿に変貌する。

 しかも、魔力を全開に放出しているようだ。


 俺でもプレッシャーを感じるカルマは初めて見る。

 やはり、相手を強敵と認識しているようだな。


「なんだ!?人型になっただと!?全員、戦闘態勢!全力でアレを撃ち落とせ!?」


 グラムがそう言うと、一斉にカルマに目掛けて魔法と弓矢が降り注ぐ。


「ニケは、主を守るのだぞ?我が奴らを仕留める!」

『分かりましたカルマ。やり過ぎないようにね?』


 そう言うと、ニケも大精霊の姿へ変わった。

 それと同時に、魔力障壁を展開する。


「わわっ!ここは私達も行かないと損だよね!ディアナ!」

「そうですね。マスターをお守りするには、あの周りの雑魚を大人しくするのがいいですね。行きましょう!」


 ヘカティアとディアナはそう言うと、ドラゴンロードの姿に変化した。

 その場に美しい金と銀の竜が現れる。


 グラム陣営側から、『ドラゴンロードが出現したぞっー?!』と混乱する声が聞こえてくる。

 突如現れた事により対処しきれていない様だった。


『我も行こう。ユートの意図は分かった。なるべく意識を奪うだけで良いな?』

「ああ、頼む。あいつらからもっと情報を取り出したい」


 『承知した』と言って、飛び出していった。


「俺も援護しないとだな。〈アニマブーストⅣ〉!、〈ビーストコマンダーⅤ〉、〈スピリチュアルコマンダーⅣ〉!〈天啓〉!」


 補助スキルを一気に使う。

 MPとSPがガガガっと一気に減るが気にしないで使った。

 すぐにSP回復ポーションを使って回復する。

 MPは腕輪で回復するので、気にしないでおく。


「恐怖をその身に刻め、〈ホラーナイト〉!」


 グラムの部下たちをカルマが放った恐ろしい形相の影たちがグルグル回りつつ、鋭い牙で喰らいついていく。

 ランクの低い冒険者たちはそれだけで、ぐああーっと呻き声をあげて地に伏した。

 耐えた者たちも、恐怖を植え付けられて足をガクガクと震えさせて額に大量の汗を浮かべていた。


『さーて、獲物はどいつかなー?」

『とりあえず、近場からやっていきましょう?』


 楽しそうな思念波が届いてくるが、現場は悲惨な状態だ。

 ブレスで焼かれ、鋭い爪で切り裂かれ、尻尾で吹き飛ばされる者たちが見える。


 たった数分で、グラム陣営は既に半壊している。


『貴様は、今の我に丁度良さそうな相手だな。我と勝負して貰うぞ!』


 セリオンは、これだけ混乱している中で冷静に立ち回っている女戦士を見つけて強襲した。

 相手は、槍使いのようだ。


「グラムのやり口は好きじゃないけど、今殺されるのは困るのよ。だから、大人しくしてちょーだい白いドラゴンさんっ!煌めけ、〈サザンクロス〉!」


 女槍使いは、奥義を初っ端から使った。

 出し惜しみしておける相手ではないと、最初から冷静に判断していたようだ。


 だがしかし、セリオンはすべてを回避してみせた。

 遠目で見ている限り、格段に動きが良くなっているな。

 まだ一日経っていないのにすごい成長度だ。


 そんなとき、ふとグラムがいなくなっている事に気が付いた。

 どこにいったんだ?逃げるとは思えないし。


 そう思った時だった。


「チェックメイトだっ!」


 真後ろからグラムと一緒に黒づくめの男が現れて、攻撃してきた。


「うおっっと、いつのまに!?」


 咄嗟に展開した〈錬気障壁(オーラバリア)〉を一撃で砕かれてしまう。

 だが、俺をガードしているのは最強の相棒のひとりニケだ。


「ライトニングボルト!」


 眩い電光とともに、二人を撃ち抜く。

 と思いきや、ゆらっと二人は陽炎のように消えた。


 幻術の一種か?

 それならば…。


「現れよ”幻龍”!!」


 竜玉を掲げると、光を放ち半透明な龍が現れた。


『おや、同化ではなく召喚とは珍しい』

「イドラ。幻術を使っているやつがいるみたいだ。そいつの場所を教えてくれ」

『なるほど、承知した』


 そう言うと、イドラは自身の体を霧のように霧散させていく。

 それに合わせて、俺は闇の精霊もあたりにばら撒いた。


 これでレーダーはばっちりだ。

 あとは掛かるのを待つだけだ。


 グラムとの本当の勝負は、ここから始まるのだった。

いつもご覧になって頂いている方、本当に有難うございます。

評価やブックマークが増えていくと、皆様に応援されているようでとっても励みになっています。


本当に有難うございます。


これからも、楽しく書いていきますので、是非一緒に楽しんでいただければと思います。


次回更新は、年内予定です。


宜しくお願いします。

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