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おっさんテイマーは、はばからない!〜ソロテイマーだったのに、気が付いたら最強組織を作ってました〜  作者: 琥宮 千孝(くみや ちたか)
第二章 (ランクアップ編)

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達成の証。

”幻龍”のテイムに成功したユート。

その成功した筈のイドラの姿が戻っていく…。

 それまで人型だったイドラから煙のように霧状の立ち上がり龍を象っていく。

 逆に人型だったものはどんどん薄くなっていった。


 そこに現れたのは、紛れもない"幻龍"だった。


 テイムが成功したと思ったら、幻龍が人型から龍の姿になった。


「元の姿に戻った?」


 まさか、今度は龍の姿の状態でテイムしろと言うわけじゃないだろうな?

 流石にそれは辛いぞ。


『人の子よ…見事に我の試練を突破してみせたな。素直に称賛しよう。ただ…まさか我を従える者が現れるとは思いもしなかったが』

「まぁ、テイマーだからな。その為に来たんだ。嫌だと言っても連れて帰るからな!」


 まあ、断るっていう選択肢が出来ないのがテイマーとの契約なんだが。

 これで断れたら、もはやテイマーの存在が危ぶまれる。

 兎に角成功した様で一安心だよ。


『フハハハ。既に契約されたのだ。嫌も何もあるまいよ。しかしお主しか見ておらんかったが、お主の仲間達は異常な者ばかりだな。我と同格以上の化け物揃いでは無いか。…一応聞くぞ?我は要るか?』


 確かに、戦力的には既に申し分ないのでこれ以上要らないと言えば要らないな。

 多くて困る事は無いんだけどね。


「あははは…、いやーどうしてもって程じゃないけどさ、これも縁だしこれから宜しく頼むよ!」

『むー、コレでもこの森の守り神と言われた我が、オマケ扱いとは…。このメンツでは致し方無いがのう…。ならば、我は違った形で助力しよう。主殿ぬしどの、【竜玉】を出すのだ』


 ちょっと拗ねたみたいだが、さすがに一緒に来て貰わないとギルドに証明する際に困るので機嫌は直して欲しい。

  

 それはそうと、違った形での助力とはなんだろうか。

 取り敢えず、俺は言われた通りに懐から竜玉を取り出した。

 なぜか淡く光っている。


『通常であれば、我を倒したものにその竜玉を通してチカラを授けるんだが、我は主殿に仕える身になった故、その竜玉に宿る事にするぞ』

「へえ、竜玉に宿ったらどうなるんだ?」


 ディアナとヘカティアの話では竜族を従えるのに使えると聞いていたが、それ以外にも利用方法があるって事みたいだな。


 双子の方を見ると、驚いたような顔をしてお互いを見合っている。

 いや、自分たちが渡したのに知らないとかどうなんだ?


『我が宿った竜玉を使えばな、我が力が使えるようになるのだ!素晴らしいだろう?』

「ふーん、それは凄いなぁ」

『いまいち反応が鈍いようだのぅ。まぁ、使ってみれば分かるだろうて。ではやるぞ?…我は今より主殿のチカラとなりてその身を尽くさん!』


 そうイドラが言うと竜玉が眩く光り、その光の中にイドラが吸い込まれていった。

 しばらくすると頭の中からイドラの声が聞こえる。


『うむ、うまくいったようだの。主殿、スキル『幻体龍神げんたいりゅうじん』というのが出ているであろう?それを使ってみよ』


 ステータスのスキル欄を確認すると、確かにその名が刻まれていた。

 スキルの詳細を確認してみると。


 『幻体龍神』:幻龍の力を開放し、その身に宿す事で大幅にステータスアップし、〈幻惑術イリュージョン〉、〈転送術テレポート〉、〈闘神マルス〉が覚醒する。


「おお、なんか凄いスキルだな…。よしやってみるか。スキル発動〈幻体龍神げんたいりゅうじん〉!!」


 竜玉を掲げて、スキルを発動させてみた。

 竜玉からイドラが現れかと思うと俺と重なった。


 その瞬間、体の底から力が湧き上がる。


 瞳が金色に変わり、体からは闘気が溢れ出ており、その闘気の形は幻龍を思わせる龍の形を象って蠢いていた。


「翔べ!!」


 そうイメージして口に出しただけで、5メートル先に瞬間移動した。

 マジで飛んだよ!

 いい歳のおっさんになったけどもコレはマジで感動するわ。


「現われよ!我が分身!」


 今度は〈幻惑術イリュージョン〉を発動する。

 すると俺の姿をした幻が現れた。


 これの凄いところは…


 ドガァァーン!

 と、大音響を立てて木が砕け散った。


 そう、それをやったは俺の"幻体"だ。

 このスキルは、実体が無いのに物理攻撃が出来るという反則的なスキルなのだ。


 しかもHP以外のステータスは、ほぼ一緒のようだった。

 

「これは、思わぬ副産物を手に入れたもんだ。『幻体龍神』か、これからガンガン使わせてもらうぞ」

『喜んでいただけたなら僥倖。しかし主殿、発動中はSPが常に消費されていくからな。枯渇して倒れないようにするんだぞ?』

「えっ!あ、…本当だ。たった5分で1/3減ってる…。うーん、効果は申し分ないし、SP回復薬でもしこたま調達しとくか…?」


 消費SPの消費量が馬鹿高いのを差引いても、かなり有用なスキルなので使い所はいくらでも有りそうだな。

 普段は、カルマ達がいれば戦う必要さえ無いから使わないだろうが、魔王幹部とかがまたいつやってくるか分からないし、鍛えておいた方がいいだろうな。


 これなら俺ひとりの時の切り札として使えるな。

 

『では、我は呼び出されるまでは竜玉で眠りにつく。必要な時は、今みたいに呼び出すと良いぞ』


 そう言うと竜玉から光が消え、イドラの気配も消えていった。


「竜玉って、そんな機能あったかな?知ってる、ディアナ?」

「私も、今初めて知ったわ、へカティア。じゃあ、私達もこの中に入れるのかしら?」

「実体を元々持ってるから、ダメじゃない?イドラはけむりみたいなヤツだったし?」

「あー、そうなのね。まぁ、外に居る方が美味しい物食べれるしいいのだけどねぇ」


 双子が俺らの様子を見たあとに益体無いことを話していた。

 やっぱ、本当に知らんかったのかっ!


 そんな事を話している二人を横目にクエストが達成されているかクエストが記載されているプレートを確認する。


 見てみると、『clear』と記載されていた。

 よし、間違いなくクエストは達成したようだ。


「あぁ、これで帰れるなー。結構ぶっ通しで来たからな。この後村に戻って宿を取ろう。今夜はアーカニアの酒場で飯食って宿で休んで、明日は北の大陸へ向かうぞ」

「主様、やはり氷の精霊を鎮めに行くんですね」


 北の大陸は、まだ氷の精霊が暴れまわっているだろう。

 なんせ本体が依り代を失ったせいで、正気を失っているらしいのだ。


 犯人の意図は分からないけど、おかげで助ければヒョウ達雪人族との交易をすることが出来るようになるのでやらない手は無い。

 

 ただ、王都でランクアップ儀式とかあるので、さっさと終わらせたいな。


「ああ、そうだ。セリオンから【永久氷晶】を貰ってこないとな。溶けはしないけど、氷の神殿を襲ったやつに倒されてたら目も当てられないしな」

「今のところは大丈夫そうですか?」

「…うん、やられたりはしていないようだな。まだ、ステータス上は生存になっている」


 セリオンはパーティーペットとして登録している。

 どこにいても生きているかどうか判断出来るのだ。


 厩舎に預けたり、フレンド登録者に貸与するとパーティーから外れるが、それ以外の状態であれば仲間ペット達の状態は分かるようになっている。

 これも『調教師テイマー』スキルの一つだ。


 とりあえず、異常がないことを確認しつつ結界の外に出た。



 外に出ると、ガガノア達が待っていた。

 俺らを見つけると皆一斉に立ち上がり、集まってきた。


「ユート!どうだった!?」


 昨日の惨敗を見せてしまったので、かなり心配掛けたようだ。


「見ての通り、上手くいったよ!出てこい、イドラ!」


 竜玉を取り出して、俺が呼びかけるとそこから幻龍が現れた。


「おお、まさしく幻龍だ。すげーな、伝説の魔獣を捕らえちまうなんて」

「今じゃ、俺に力を与えてくれる仲間だ。このイドラのお陰で俺は冒険者としても一皮向けるかも知れないよ」

「そうか!やっぱ、昨日声を掛けて正解だったよ!俺は凄いやつに、出会ったのかも知れないな」


 ガガノアは手放しに俺の勝利を喜んでくれた。

 やっぱ、こいつはいい奴だ。


「それで、この後はどうするんだ?」

「ああ、お前の集落に寄ってからアーカニアに戻ろうと考えてるんだ。今日はゆっくりして、明日は北の大陸に戻るつもりだ」

「なるほど、忙しないな。というかあっちから渡ってきたか!?よくあんな所を…いや、ユート達なら何でもありな気がしてきたぜ。兎に角、上手く行って良かった。おめでとう!!」


 ガガノアはそう言うと、握手を差出した。

 俺も応じて、素直に有り難うと伝えた。


 まだ、実感は沸かないが、念願でもある最終ランクアップだ。

 きっと後で沸々と喜びが湧いてくるんだろうなぁ…。


 その後はガガノアの案内の元で集落に立ち寄って、森リザードマンの長にイドラを見せた。


「これで幻龍様は現れないんですか?」

『我がこの世に存在している限りは、二代目は生まれぬ。安心するが良い。その間、森の守りは他の幻獣達がやるだろう。奴等の方が取締は厳しいからな、気をつけるのだぞ?』


 【幻夢の森】には、やってはいけない事や入ってはいけない場所があるらしく、そのルールを破ると容赦無く排除されるらしい。

 

 後で聞いたが、幻龍は悪食の為に見回りの際の()()()()()が酷く、そのせいで被害が大きかったらしい。

 それから比べたら他の幻獣たちの取り締まりなど大したことじゃないらしい。

 なので、本当に感謝していますと長に言われた。


「じゃあ、今度は品物を買いに来るから色々用意しておいてくれ」

「我らを助けて頂いたのです、優先して提供させて頂きますよ。本来なら色々と物を献上したいところなのですが、今は何分生活するだけで精一杯しかない状態でして…」

「ああ、そこは気にしないでくれ。これから長い間付き合っていける関係になれればそれだけで十分さ」


 それでもと、少しばかり特産品である”幻惑草”と”パニックマッシュルーム”をいくつか持たせてくれた。

 ガガノアがアーカニアで言ってたやつだな。

 これは主に調合や錬金に使うものらしいが、現物が少しでも手に入ったのはラッキーだったな。

 

 ここらでしか採れないので、外国では高価らしいと稀に来る人間が教えてくれたらしい。

 なるほど、戻ったら王都でどのくらいで売れるか確かめてみよう。


「ありがとう、必ずまた来る。それまで生き延びてくれよ?まぁ、ガガノアがなんとかするんだろうけど」

「はは、厳しい激励だなユート。もちろんさ!一番の憂いが無くなったんだ、すぐに元の生活に戻れるよ。じゃあ、アーカニアに送っていこう」

「おう、よろしく頼むよ」


 ”幻龍”であるイドラを仲間にしたことで、【幻夢の森】とその周りの地形は分かるようになっていたが、折角の好意を無下にする必要はない。

 それに、そうすることで彼らの安全も確保出来るのでその方がいいと思った。



 ───

 リザードマンの集落から小一時間ほどでアーカニアに着いて、俺等はそこで別れた。

 中には、泣きながらあんたらは俺らの救世主だって感謝を伝えてきたヤツもいてちょっと困惑したが、本当に困っていた様子を知っていたので悪い気はしなかった。


 その後酒場では例の仮面を着けながら、食事をとり村唯一の宿で一番大きな部屋を取って全員で泊まることにした。

 もちろん、イドラは竜玉の中のままだ。


 次の日、朝食を取りに酒場に向かった。

 朝食を取ったらすぐに北の大陸に戻るつもりだったので、宿もその時に引き払いいつでも出発可能だ。


 仮面があるのでもう俺が話しても大丈夫ということで、俺がすべて注文したら獣人の店員にすこし変な顔をされたが、チップを渡してあげたら上機嫌になって対応が各段に良くなった。


「マスター、またあの雪山に向かうの?寒いの苦手~」

「こら、ヘカティア。私も同じですが、口に出して言うとカルマに叱られますよ?」


 ドラゴンの癖に寒さが苦手とか、弛んでるとしか言いようがないが、温室育ちの彼女らは本当に苦手らしい。

 そのせいか、冷気の耐性が一番低いらしい。


「クエスト終わったし、置いて行ってもいいけど?」


 と俺が冗談で言ったら、


「単なる冗談であります!」

「右に同じであります!」


 と敬礼しながら変な口調で弁解していた。

 どこで覚えて来たんだそんな喋り方…。


 朝食を存分に味わい、また来るよとさっきの獣人の店員に声を掛けてから出ると、必ずですよ!と念を押されたので、どうやら俺らを上客だと認識したらしく苦笑いするしかなかった。


 外に出ると、何やら騒いでいる声が聞こえてくる。

 なんか、騎士風の戦士がわらわらと集まってこちらに向かってくる。


「いたぞ!アイツらだ!絶対逃がすな、俺のメンツを丸潰れにした事をあの世で後悔させてやる!」


 俺らを見つけるなり、騎士たちが取り囲んできた。

 

 …ああ、あの時の黒騎士か。

 どれ、価値があるように見えないが一応視ておくか。

 

 黒騎士バルバトス ランクS 種族:悪魔族

 HP:2800/2800 MP:1100/1100 SP:800/800 属性:闇 耐性:無し

 特性:闇属性耐性 闇属性攻撃増幅 精神異常耐性

 STR(力):580 MAG(魔):400 VIT(耐):380 INT(知):200 SPD(速):200

 

 うーん、スキルまでは視えないから何とも言えないけど、ハッキリ言って雑魚だな。

 この先も付きまとわれては困るし、ここは俺がやるか。


 そう思って、俺は黒騎士の前に立った。


「なんだ貴様。従者が我に敵うと思っているのか?雑魚は引っ込め。俺はあの女と男に用があるんだ!!」


 そう言って、片手で俺を薙ぎ払おうとしてきたので、そのままパシッと受け止めてみた。

 え?って顔をするので、ついでに蹴りもいれておく。


「ぐほぅっ、な、なんだ貴様ぁ!?」

「なんだ?それくらいもまともに受け止めれないのか?雑魚はお前だろ?」


 わざとらしく挑発をしてみる。

 これで乗るなら本当の雑魚だ。


「ほう、どうやら死にたいようだな?ならば望みどおりにしてやろう!シャドウジャベリン!<連鎖チェイン><バーストストライク>!」


 闇魔法からの槍スキルでの連携技か。

 ノークールで繋げて隙を見せない高度なスキルだな、さすがSランクなだけはある。


 しかし、相手が悪かったな。


 俺は、純粋に<幻体龍神>のスキルだけの力でどのくらいパワーアップするのか試したかったので、丁度いいと思っていた。

 カルマ達もそれが分かっているようで、何もせずにただ見ているだけだった。


「発動、<幻体龍神>!」


 竜玉が煌めきを放つ。

 俺の瞳が金色に代わり、龍を象るオーラが俺を包み込んだ。

 

 俺は発動と同時に〈転送術テレポート〉を使う。


 さっきまで俺がいた場所に魔法とスキルが炸裂し、轟音が鳴り響く。

 喰らってたら、それなりのダメージがあっただろうな。


 バルバトスの後ろにテレポートした俺は、〈闘神マルス〉を発動し渾身の一撃をその背中に叩き込んだ。


 ドゴオオオオオオオオン!!と爆発でもしたんじゃないかという轟音が響き、素手のパンチが黒騎士の鎧を砕き貫通した。


「ゴボァッ!!な、なんだ貴様…、素手でその威力とは…まさか”龍人族ドラゴニア”か!?」


 さすが魔族。

 背中に穴を空けながらもすぐに退避して距離を取り、自分に回復魔法を使っている。


 なかなか万能なヤツみたいだな。

 取り巻きの騎士たちは、何が起こっているのか分からないのか、事態について行けずにおたおたしている。


「はははっ!まさか。俺はな…『人間』だよ」

「莫迦な。素手で俺の鎧を砕ける人間など、居るわけがないだろうっ!」

「今、目の前にいるよ?」


 わざと挑発するように、手を止めて話しかける。

 さらに、仮面を取って素顔を晒した。


 周りからはどよめきが起こる。

 住民たちも黒騎士を応援する気は無かったようだが、相手が人間となるとどう反応して良いか分からないようだ。

 

「ふん、『人間』に化けれるとは高位の幻魔か何かか?ならばその力も納得いくか。しかし、油断させるために姑息な手を使うとはな。だがそれが分かった以上、ここからは本気で行かせてもらうぞ!」


 どうしても、俺を人間だと思いたくない、というか信じらないようで、幻魔(幻覚魔法や変化魔法が得意な魔族)だと思い込んで油断という隙を消してきた。


「まぁ、どう思おうとお前の勝手だけどな。じゃあ、俺ももうちょっと本気だすよ?」


 〈闘神マルス〉のスキルを昨日使ったとき、錬気術オーラとの相性がいいと思ったのだ。

 両方ともSP消費するから濫用は出来ないけど、トドメの一撃には相応しい威力が期待できる。


 さらに、光属性なら良く効きそうなので神秘術ミスティックで光と爆発を付与する。


「くたばれ幻魔よ!〈悪魔の竜巻(デモニックトルネード)〉!〈連鎖チェイン〉〈イビルフレイム〉!!」


 おどろおどろしい魔力を溢れさせ、それを竜巻の形して俺に撃ち出し、さらにその竜巻に地獄の業火を()()()()()()()

 正真正銘、これがバルバトスの切り札だろう。


 相手をする俺は〈攻撃予測〉を発動し、安全なルートを確認してから〈瞬間移動テレポート〉を使って後ろを取った。

 しかも〈幻惑術イリュージョン〉で自分を透明化しているので、相手からは見えない。


「さよなら黒騎士。〈錬気砲オーラキャノン〉!」


 男子なら一度はやったことがあるだろう某戦闘民族の必殺技の構えをして、本当に撃ち放った。

 コレ一度やってみたかったんだよね。


 ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!という音と共に、直径1Mほどの青いオーラを撃ち出した。

 バルバトスはまたしても背中から直撃を喰らう。


 当たった瞬間にあちこちが爆発し、その姿形が失われていった。


 青いオーラが消えた後には、バルバトスの装備の一部がカランと音を立てて転がるのみだった。


「な、なんと!バルバトス様が消し飛ばされた!!??」

「おー、あのにーちゃんすげーな。あのいけ好かないバルバトスをやっちまった!!」


 人間じゃないという言葉を信じてる村人は、ただ気に入らない黒騎士が負けて消えた事を大喜びしていた。


「ざまーねーぜ!魔王様の威光を笠に着て威張り散らした罰が下ったんだ!」


 そんな言葉に、そうだ!そうだ!と周りの村人や冒険者たちも呼応する。


 部下の騎士たちはその光景を見て、次は自分たちの番かと怖気ついていた。


「おい、お前たち。命が惜しかったら二度とこの村に来るな。俺はここを気に入ったんだ。もし次来た時にまだお前たちがいたなら、こうなると思えよ?」


 そう言って、バルバトスがいた場所を見る。

 その視線を追って、何を示唆したか分かったバルバトスの部下達は、慌てて村の外へと走り去っていった。


「はぁー、スッキリした。前回ニケに取った態度が結構ムカついてたんだよね。自業自得だよ」


 そう言いながら〈幻体龍神〉を解いて、仮面を着けなおす。

 それと同時に村人や冒険者達や店員たちが俺に元に集まってきて、やるなあんちゃん!とか、素敵です!とか囃し立ててきた。


 あれ、ちょっと派手にやり過ぎたかな?


「主よ、さすがです。見事な技でしたね」

「ええ、私も見惚れてしまいました。さすが我が主様」


 カルマとニケまでべた褒めしてくる。

 この二人にまで褒められると、嬉しいけど凄く照れくさいっ!


「アレやったマスターって、ヤバイね。タイマンしたら負けるかも」

「今でアレですからね。これからランク上がるんですよ?まず無理でしょうね…」


 双子も、何か言っていたが周りがうるさくて聞こえないくらいの歓声が村中に響き渡ったのだった。


「ふぉっふぉっふぉ。貴方様がこのパーティーの本当のリーダーでしたか。なるほどなるほど、そんな気がしてたのですよ。何にせよ、アヤツらは村に来てから横暴ばかりだったので目の上のタンコブでしたので、とても助かりました。お名前を聞いても?」


 人だかりの中から、一人の見覚えのある老人がこちらにやってきて話しかけてきた。


「俺はユートだ。訳あってここに立ち寄っただけだが、結果的に助力出来たようで何よりだ。…そうそう、次来る時は商売の話もしたいと思っているんだが、村長許可出してくれないか?」


 村長のシャールも騒ぎを聞いて来ていたようで、村人を代表してお礼の述べに来た。

 バルバトスは中々な横暴ぶりでかなり困っていた様だ。

 特に女性が酷い目に遭っていたようで、とても感謝された。


 今後ここで買い付けもしたいと言ったら、シャールは是非ともとすぐに認可印をくれた。 

 これを持っていれば、この村の誰と取引しても大丈夫という事らしい。


「ありがとう、遠慮なく受け取っておくよ。今後ともよろしくな村長」

「こちらこそです。今後何か頼むかもしれませんよ?ふぉっふぉっふぉ。何にせよ、貴方はこの村の恩人だ。いつでも来てください。歓迎しますよ」


 こうして、この村の恩人として友好関係を結ぶ事が出来たのだった。


いつもご覧になって頂いている方、本当に有難うございます。


評価やブックマークが増えて、皆様に応援されているようでとっても励みになっています。

本当に有難うございます。


これからも、楽しく書いていきますので、是非一緒に楽しんでいただければと思います。



次回更新は、平日予定です。


宜しくお願いします。

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