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亜人の村のアーカニア。

東の大陸【イーガス】に着いたユート達は…。

「なるほど、バイス様ですか。こんな辺鄙な村にようこそお越しくださいました。荒くれ者たちが多いので、突っかかるものがいますでしょうが、寛大な対応をおねがいしますね。フォッフォッフォ。」


 シャールは、そう言うと宿屋を紹介してくれた。

 おかげで、俺はそこでゆっくり休むことが出来たわけだ。


 ここはアーカニアという村らしく、幻夢の森に一番近い村だ。

 魔物も多く生息しているため、素材を求めて来ている亜人の冒険者が多く集まる村と言う事だった。


 ユートが眠っている間に、ニケとカルマと双子で村での情報収集と夜までの余った時間で狩りをすることになった。


 ここらの森では、”レッサードラゴン”が良く現れるらしく、狩りには丁度いい。

 肉も良質だし、鱗も皮もいい値段で売れる。


 そのため、数日分の滞在費を稼ぐために誰が一番仕留めれるか競争ということになった。

 

 ちなみに、レッサードラゴンと言ってもAランクの強さがあるので、魔族たちでもそんなにポンポン狩れる相手ではない。

 なので、通常は数人でチームを組んで討伐に出掛けて、日に2~3頭倒せれば良い方だという事だった。


 カルマ達は、あんなに一杯飛んでいるのになぜそれだけしか倒せないのかが疑問だったが。


「まずは、情報収集が先だ。約2時間ほど経ったら村の中心にある広場に集合しよう。我は北側、ニケは南、ディアナは東、ヘカティアは西側の聞き込みをしよう。では、解散!」


 そう言って、それぞれ素早く調査に入った。



 ───それから2時間後。

「各自、収穫はあったか?」

「はい、ディアナです!”幻龍”の噂は、この村で最近盛んに話をされているそうで、もうすぐ出現するらしいとのことです。」

「はい、ヘカティアです!ここ数日で濃霧が出現する確率が高くなっているらしいです。季節とは関係ない現象なので、これも”幻龍”の出現のせいじゃないかということです!」


 ディアナとへカティアは敬礼をしながらカルマに答えた。

 兵隊ごっこでもしているようだ。


「ニケはどうだ?」

「はい、色々と話を聞いてみましたが、なかなか有力な情報は出てきませんでした。ただ、”幻龍”が現れるのはやはり夕方か朝方の霧が出やすい時間帯みたいです。」


 それぞれ集めてきた情報を確認し、カルマはユートを夕方には起こさないといけないと考えた。


「我が聞いた所によると、幻夢の森には霧が掛かると現れる祭壇があるらしい。そこを守護するのが幻龍と言う事だ。なので、夕方にその神殿を探すのが得策だな。それまでは、狩りレースだな。」


 カルマがそう言うと、全員にピリピリとした空気が流れる。

 この勝負は、結果的にいかに主人の役に立つかを証明するものだ。


 たかが数日の生活だが、それ次第でユートの生活の快適さご変わるのだ。


「勝負は日が落ちるまで。じゃ、スタートだ!」


 合図と共に、暴風の様に走り去った4人は各々の探知スキルを駆使して、レッサードラゴンを探して狩るのだった。



 それから日が落ちる頃、ユートはベットの上で大あくびをかく。

 約一日で大陸一つを横断するという、弾丸ツアーのおかげか結構な疲労が蓄積していた。


 ふわわわと、あくびを再びしながら周りを見渡すと日が落ちて来ているようだ。

 仲間達はまだ戻っていないようだった。


「あいつら、どこに行ったんだ?もう、帰ってきてもいい頃だけどな。」


 素早く着替えを済ましてから、顔を隠すローブを羽織る。

 バレたら、カルマが主人と言う事にして合流する事にしているが、そこそこ魔族の冒険者が居るおかげでバレる様子は無かった。


 一先ずお腹が空いたので、下の食堂へ向かう。

 食べれない物だとどうしようかと思っていたが、意外に普通の食べ物が出てきた。

 しかも結構美味しいから、不思議な気分だ。

 

 この村は、亜人の中でも獣人やホビットの様な人型に近い種族が多いようだな。

 店員なんかは、たれ犬の耳生やした半獣人だし。

 あっちには猫耳の生やした猫の半獣人がいる。


「ここにおりましたか、主。」


 店をぼんやり眺めながら飯を食べていたら、カルマ達が帰ってきた。

 手には結構な量の魔族の金貨を持っていた。


「随分稼いできたんだな。」

「私達も結構頑張ったんだよ!ね、ディアナ!」

「ええ、でもまさかニケに負けるなんて…。」

「ふふふ、私も結構強くなりましたからね、カルマにだって負けませんよ。」


 なんだか、全員で稼ぎを競い合ってたようだな。

 にしても、金貨百枚くらいあるんじゃないかこれ。


「一体、何をして稼いでいたんだ?これは凄いな。」

「ここらにレッサードラゴンの巣窟がありまして、それを全員で狩りしてたんです。我が1番倒せると思っていましたが、…ニケにしてやられましたよ。」


 カルマが珍しく悔しそうにしている。

 他の3人が思ったよりも狩りがうまくて驚いているようだ。


 ゲーム感覚だったのだろうけど、やはり負けるのは悔しいようだ。


 しかし相手がいくらレッサードラゴンとはいえ、相手はAランクモンスターだ。

 それなのに、こいつらだと遊び相手程度のようだな。

 

 でも、そのおかげで滞在中の路銀には困らなくなったので大助かりだ。


「そうか、みんな有難うな!正直助かるよ。あ、そうだ。お前たちもここで飯を食っておけ。これから探索するからな。」


 LBOの時は、”幻龍”と言えば霧と共に現れるレアのエリアボスで有名だった。

 霧は、朝方か夕方に出やすいので今からの時間がねらい目だ。


「わーい、やったー!ディアナ何食べよっか!」

「私はやはりお肉がいいですね。さっきのお肉は全部換金してしまったし。」


 双子は見た目に反してかなりの量を食べる。

 ニケとカルマと違って、ちゃんと食事をしないとダメらしい(本人談)。


「私もお肉がいいです、主様。」

「我もそうしよう。あとは、ワインもいただきますよ、主。」


 ニケとカルマは、魔獣の時の名残りで肉を食べる事が多い。

 一応食べるときに、食事からも魔力を吸収出来るらしいので無駄ではないらしいけど。

 どっちかというと、美味しい物を食べたいってだけのようだ。


 それぞれ大量の肉と飲み物を頼んだので、いつもより豪勢な食事がテーブルいっぱいに並んだ。

 周りにいた冒険者らしい亜人たちが羨ましそうにこちらを見ている。


「カル…バイス、周りの皆に奢ってやれ。協力ししてくれないまでも、邪魔したりはしなくなるだろう。」

「なるほど、それは良い考えですね。…おい、そこの猫女よ。これで足りるだけ、ここにいる全員に酒と肉を振る舞ってやれ。」


 そう言うと金貨十枚を店員に渡す。

 あまりの大金に、猫耳娘の店員の尻尾がピィーーンと立っていた。


「み、皆さん!こちらの、御仁のご厚意で今日は食べのみ放題ですよ!さあっどんどん食べてくださいっ!」


 あたりから、ウオオオオッと怒号のような歓声が沸き立つ。

 そんな中から、一人のトカゲ男が近づいてきた。


「そこのイケメン、名前はなんて言うんだ?オレは、森リザードのリーダーやってるガガノアって言うんだ。ここらの冒険者の代わりに礼を言うぜ!」

「ほう…、この中ではそこそこやるようだな。我はバイスと名乗っている。遊びで手に入れた金だ、遠慮せずに堪能するがいい。」


 こっそり<生物鑑定>してみると、言うだけあってそこそこ強いようだ。


 森の英雄ガガノア ランク:A+ 種族:リザードロード HP:3800


 HPが高いなぁ、俺の倍以上ある。

 てか、森の英雄ってすごい冠名ついているな。


 亜人や悪魔達は、人間よりも遥かにタフだ。

 同じランクだからといって、舐めてかかると大抵死ぬのは人間の方なのだ。


「バイスって言うのか。あんた等が何か困れば俺等が手を貸してやるよ、覚えておいてくれ!」


 そう言うだけ言って、ひゃっほー良い肉は久々だっ!とか言って肉を貪りに戻っていった。


 自分のテーブルに戻っても、あそこのバイスさんが奢ってくれたみたいだぞ!皆、感謝しよーぜっ!と言っていた。

 結構気のいい奴みたいだな。


 これで、しばらくは絡まれる心配は無さそうだな。

 こういうのは、絡まれる前にやっとくのが正解だ。


 店中がどんちゃん騒ぎになり、聞きつけた他の亜人たちも合流して宴状態だ。

 そんな中に、一人の()()()()が入ってきた。


「ん?なんだ、この騒ぎは…。」


 いつもと違い、祭りのような盛り上がりを見せる酒場に驚いた、黒い鎧を着た騎士風の男が入ってきた。 

 何事かと先程の猫耳娘に聞いているようだ。


「ほう、そんな事が…。あいつらだな、どれ俺様が挨拶をしてやろう。」


 なにやら偉そうな態度の黒騎士がこちらを目掛けて歩いてきた。

 俺達は面倒くさそうなので放っておこうとするが…。


「そこのイケメン、貴様も悪魔族か?なにやら羽振りがいい上にイイ女を連れているな。俺様は、バルバトスだ。この村に滞在するなら俺様に顔を売っておいた方がいいぞ?どうだそこの女。俺様とあっちで楽しまないか?」


 何処に行っても勘違い野郎はいるものだ。

 だが、俺らは無視すると決めたからには無視だ!


「…貴様、俺様が話し掛けているんだぞ?!答えぬか!」


 俺等に無視され、怒り出す騎士が拳を振り上げてテーブルを殴りつけようとした。


「ちょっと、煩いわっ!ご飯が不味くなるじゃないっ!」

「暫くそこでお眠りくださいね。」


 ドゴンッ!バキンッ!という轟音がしたと思ったら、騎士が床にめり込んでた。

 騎士はどうでもいいけど、店を壊すなよ…。


「お、おいっ。あのバルバトスをのしちまったぞ。」

「まじかっ!あいつ、Sランクだぞ!?」


 店の中が別な意味でザワザワしだした。

 見た目がまだ少女の二人にパンチのみで轟沈させられたのだ。


 見た目と実力が伴わない魔族たちにとっても、あんまりな光景だったみたいだ。


「あーあ、床に穴が空いちゃったじゃないか。カル…バイス。修理代を追加で払っておいてくれ。」

「分かりました。おい、そこの娘。金貨一枚で足りるか?」


 カルマに呼ばれて駆けつけた店員は、金貨一枚を受け取りコクコクと頷いた。

 ただ、埋まっている相手を見て、顔から血の気が引いているみたいだ。


 そっか、こんなに埋まってたら修理も出来ないか。

 しょうがないな…。


「ニケ、ソレを引き上げて外にポイしてきてくれないか?」

「…触るのもおぞましいですが、しょうが無いですね。少しお待ちを。」


 そう言うと、片手で右足の足首を掴んでグイッと持ち上げて宙吊りにした。

 顔はよく見えないが、反応ないところを見ると完全に気を失っているようだった。


 ニケはそのまま店の入口まで運んでから、ぽいっと投げ捨ててきた。


「さて…、さっさと食べて行きましょうか。また、何が来るか分かったものではないですし。」


 そう言って、どうやって食べているのか分からないくらいに高速に肉を食べ出したニケ。

 口に運んだと思うと、一瞬で吸い込まれて消えていく。

 どんな大道芸だよ…、というか、もっと味わって食べなさい。


 そんなニケを見て、慌ててへカティアとディアナも取り合いながら肉を食べていた。


 カルマと俺は、何事もなかったかのように酒を飲み始めて、それを眺めながらため息をつくのだった。


「こりゃ、今日は現地の確認だけで終わりかな〜。」

「そうですね。あ、そうでした。今日の聞き込みの結果をお伝えします。……」


 その後は、カルマから今日の調査結果の報告を受けた。


 ここ最近の目撃情報が多いので、今は良く出る時期らしい。

 それを考えると明日には見つかりそうだな。


 カルマが目星をつけている場所を回って、移動ルートを確認はしてこよう。

 それで、明日には本格的にクエストにチャレンジしようと思う。


 そんなことも含めて、カルマと色々打ち合わせをした。

 カルマは、すっかり俺の参謀役になっているな。


 色んな知識を持っているので、いつも助かる。

 ニケも賢いのだが、意外と感情的な考え方をするのでこういうのはカルマの方が適任だ。


 双子はまだ付き合いも浅いし、そういう話にはあまり乗ってこない。

 頭がいいだけにちょっともったいない残念な子達だ。


 テーブルに乗った肉も食べきり、そろそろ出ようかという事で店から出た。

 床に穴開けたことを謝ると、それ以上に支払っていただいているので逆に感謝された。


 外に出ると先ほどの黒騎士はもうそこにはいなかった。

 近くの獣人に聞いてみたら、仲間の騎士が治療院に連れて行ったとのことだった。


 外から来たのに偉そうな顔して、いい気味だぜと言っていたのでこの村でも評判は悪いみたいだな。


「よう、さっきは馳走してくれてありがとうな。これから狩りかい?」


 店を出てすぐに、先ほどのガガノアが話しかけてきた。

 仲間のリザードマン達も一緒だ。


 一瞬、追い剥ぎかと思って身構えたがそうではなかった。


「そんなに警戒するなって。こんな時間から外に出るという事は、あんたらも”幻龍”か?」

()って事は、ガガノアも探しに行くのかい?」

「ああ、そんなとこさ。まぁ、俺等じゃ倒せないから被害が出ない様に警邏する為だけどね。」


 そうか、俺らにとっては獲物でも普通の住人にとっては驚異でしか無い。

 運悪く遭遇すれば命の危険もあるもんな。


「それはそうと…、フードのあんた、もしかしてヒューマンじゃ無いのか?」


 な!ばれてた?!今ここで騒がれると不味いぞ。


 俺が警戒したのを察したカルマとニケが俺の前に立ち、リザードマン達の前に立ちはだかるのであった。

いつもご覧になって頂いている方々、本当に有難うございます。

評価やブックマークが増えていくと、皆様に応援されているようでとっても励みになっています。

本当に有難うございます。


これからも、楽しく書いていきますので、是非一緒に楽しんでいただければと思います。


早速人間とバレてしまったユート達はどうなるのか。

この先も一緒に楽しんでください!


次回更新は、土日予定です。

宜しくお願いします。

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