表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/122

王城の舞踏会。

ユートが北の大陸に向かっていた頃、カイト達は…。

 カイト達はランクアップ儀式を終えた後、そのままギルド本部に連れられてきた。

 

 そのまま何処かに行かれてパーティーをすっぽかされたらカイト達が処刑されるだけでは済まない。


 職員たちは自分達の立場と、命を守るためにもカイト達を逃がすわけにはいかなかった。


 そんな事を知ってか知らずか、カイト達も大人しく付いて来ている。


「はぁ…、あの目がギラギラしている貴族の大人達に見られると思うと、背筋に悪寒が走るのです。」


 ミラは、ため息を吐きながらそんな愚痴を溢していた。

 まだ、あの儀式の後の貴族達の舐めるように見る目線が忘れられずにいた。


 軽くトラウマになっていたミラだったが、そこにさらなる追い打ちが掛かる。


「お待たせしました。お着替えの用意が整いましたので男性はこちらの職員に、女性は私達について来てください。」


 一同は、その言葉を聞いて固まった。

 え?着替えって何?という顔だ。


「このままじゃ駄目なんですか?」

 アイナは恐る恐る聞いてみる。


「そんな無骨な格好で、踊るつもりですか?!そんな格好でパーティーに出席させたら、我々の首が飛びます。お身体も綺麗にしますので、すぐ来てください。」


 来た職員に促されて、一同はそれぞれ別の部屋に連れてこられた。


 各自、装備掛けに自分の外された装備品が掛けられるのを見送りながら、半裸状態にされて体中を綺麗に拭われた。


 唯一の救いは、拭ってくれたのが女性だった事だろう。


 さすがに男性に肌を触れられるのはカイト達でも嫌だった。


 全員着替えが終わって、1つの応接間で待たされる。

 この後は、馬車に乗って王城へ向かうらしい。


「俺こんなの初めて着たわー。」

「俺もだよ。」


 ダンとザインは、そんな事を言いながら自分たちの姿を鏡で見ていた。

 カツラこそ付けていないが、中世の世界にいる貴族の様だ。


「なんか、恥ずかしいな。」


 思わず呟いたカイトにつられて、全員顔が強張って赤くなる。

 内心で言わないでいたのに、言うなよって思った。


 

「お待たせしました、行きましょう。」


 暫くして、案内係兼同行者のマーズがやって来た。


 グランドマスターは、先に城へ行っているらしくマーズさんが案内してくれるとのこと。


 外に出ると豪奢な2頭立ての馬車が待っている。

 テレビでしか見たことが無いような、白塗りに金の装飾がされているやつだ。


「すごいね!こんなのに乗れるなんて、お姫様になった気分。」

「そうなのです。こんなのアッチにいた頃なら想像すらしないです。」


 女子二人は、綺麗な刺繍が施されたドレスを着ている。


 アイナはシャンパンゴールドのドレスで、ミラはエメラルドグリーン色だ。


 普段は装備品に隠されている女性らしい体のラインがハッキリ出て強調されて、よりそれぞれの良さを際立たせていた。


 普段は見せることの無い胸元が、空いている事でより強調されており、ドレス着た二人に男性陣は目線を向けれなかった。


 ミラは、アイナと自分を見比べてため息をついていたが、決して無いわけではなく、平均的というだけだ。


 その為、本人が思っている以上に男性にはウケがいいようだった。


「ミ、ミラのドレス姿凄く似合ってるよ。」


 そう、どもりながらもザインが褒めていた。


「ええっ、そ、そんなこと無いですよぅ。…でも、お世辞でも言ってもらえて嬉しいです。」


 褒められて顔を赤くしながらも、珍しく笑顔で答えるのだった。

 その笑顔を見て、ザインの方も顔を赤くする。


 いや、純情かっ!?と、ユートがその場にいたなら言っていたことだろう。


「さぁ、早く乗ってくださいね。」


 カイト達は、マーズに催促されて乗り込んでいくのだった。


 馬車が発車し、大通りに出ると歓声に包まれた。


 何事かとカイト達は外を見渡して見ると、埋め尽くさんばかりの街の人々が新たな英雄が生まれたと言って、カイト達に声援を送っている。


 中には黄色い声援も混ざっている。

 1番の人気は、やはりカイトだ。


 リーダーと言うのもあるが、中々なイケメンでもあるので女性人気がとてと高い。


 そんな声を聞いて少し頬が緩んだカイトを見つけ、拗ねたようにアイナが腕をつねり上げた。


「いててっ、何するんだよ!?」

「さぁ?何の事ですか?」

「急に、余所余所しくしないでくれよ。そっちだって、男たちから熱烈な声援を受けてるじゃないかっ!」

「私はそんな事で顔は緩みませんけど?」

「うくっ、…ご、ゴメンナサイ。」


 既に尻に敷かれているカイトを見て、皆は爆笑するのだった。


 その後は、希望を与えるのも冒険者の務めですよとマーズに催促され、ぎこち無い笑顔を作りつつも、全員で街の人達に手を振り返した。


 そんな調子でずっと愛想を振りまいたカイト達は、城に着く頃にはすっかり疲れ果てていた。


 城の中で馬車から降りると、今度は城の侍女達に案内されて控室に入った。


 すぐにパーティーと言う事だが、パーティーの主賓として呼ばれているので、お呼びが掛かるまでそこで待てという事だった。


「色々と段取りが多くて、面倒だなぁ…。」

「バカダン!こんな城の中で言わないでっ。皆思ってても口にしない理由分かるでしょ?」

「はいはい、アイナ様の言うとおりです。」


 余計な事を口走るダンに注意するも、軽口と共に流されてしまう。

 しかし、いつもの事なのでアイナも苦笑いするだけでそれ以上は言わなかった。


 それから暫くして、先程の侍女達に先導されてパーティー開場に連れてこられた。


「本日の主賓である、竜騎士カイト、聖騎士ダン、魔導師ミラ、祭司アイナ、僧正ザインである。」


 王より5人がそう紹介されて入場した。


 職業ジョブ名で呼ばれるのはなかなか無いので、少し戸惑っていたが分かりやすく紹介する為だなと気がつく。


 五人は来賓として呼ばれている貴族に向かって、教えられたとおりに男性は胸に手を当てる敬礼し、女性はスカートの裾を摘んで上げる優雅な挨拶をした。


 そうすると、貴族達からも大きな拍手が湧き上がった。

 どこからともなく、新しい英雄の誕生に祝福を!とか賛辞があちこちから飛び交うのだった。


 その後は、王からカイトへ勲章を授与される。

 これは5人同時にランクアップを果たした功績を称えてと言う事になっているらしい。


 星勲章スターエムブレムと言うもので、とても栄誉あるものだ。


 本来は、ここで同時に騎士ナイトの爵位を与えられるが事前に辞退を伝えてある。


 理由は、ユニオンの盟主を差し置いて爵位を貰うわけにはいかないと、尤もらしい事を言っておいたが、純粋に貴族の仲間入りにはなりたくないだけだ。


「ところでカイト、我が娘の婿になる気はないか?器量が良いのだが未だに嫁ぐ相手が見つからないのだ。」

「王様…。大変名誉な事だと存じあげますが、既に心に決めた人がいるので辞退致します。ご期待に添えず、申し訳ございません。」


 カイトは、いつも以上に気を使いつつ王に返答する。

 こんな事でゴタゴタに巻き込まれたくない。


「そうか。ん、もしやアイナ殿か?」

「はい、その通りです。王女様がとても素晴らしい方なのは存じ上げていますが、私の目には彼女以外に素晴らしい女性はいません。」


 丁寧に、そしてキッパリと言い切ったカイト。

 それってほぼプロポーズじゃね?とダンとザインは思ったが口には出さなかった。


 言われたアイナは、顔を真っ赤にしなざらも耐えていた。


「はっはっはっ、流石は英雄の一員なだけはあるか。相手がアイナ殿では仕方あるまい。今の事は忘れてくれて良い。今日は沢山の馳走を用意させた。皆の者、新しき英雄達の誕生を大いに祝おう!」

 

 王がそう言うと、盛大な歓声と拍手が巻き起こり、飲み物が運び込まれてパーティーが始まった。


 パーティーは立食になっており、侍女達がある程度盛り付けてくれた食事を食べつつ、様々な貴族に挨拶されるというのが延々続いた。


 ダンなんかは途中から食べるのに集中していたが、果敢にアタックしてくる貴族子女に囲まれ冒険譚をせがまれてタジタジになっていた。



 やがて日も落ちた頃、会場ではダンスパーティーが始まった。

 貴族や王族が豪奢なドレスを纏い、優雅にダンスを踊っていた。


 カイトも、もう既に何度目になるか分からないお誘いを受けて踊っていた。

 最初は踊れないのですと断ったのだが、合わせていただくだけで大丈夫ですと言われては断ることも出来なかった。

 そのおかげで、少し上達してきた。


 そんな時、会場に降りてくる一人の女性がいた。

 その女性が現れた瞬間に感嘆の声や歓声があがる。


 聖女であり、第一王女のアリアネル・ハイセリアだ。

 ダンス用のドレスに着替えて来たようだ。


「皆の者、盛り上がっているようですね。折角ですから、私も踊ります。…カイト、私をエスコートしなさい。」


 周りでは、私めがお相手をと多数の声が上がっていた中でカイトが指名された途端に声が止んだ。

 様々な種類の視線がカイトの突き刺さるが、断るという選択肢は最初から用意されていない。


「はい、喜んで承ります。聖女様。」


 そう言って、アリアネルの手を引きフロアの中央までエスコートしてからダンスが始まる。

 二人に合わせて演奏家達が優雅な音楽を奏でた。


 二人と一緒に踊りたいと思った貴族たちも続々とダンスを始めて、さながら舞踏会のようだった。


「ほう、少しは様になってきたではないか。やはり、アイナ殿には勿体ないな。考え直さぬか?」

「そう言っていただけるのは大変恐悦ですが、僕と貴女では釣り合いませんし、王族となんて考えただけでも目眩がします。アイナの事が無くてもお断りしていますよ。」

「ふふふっ、正直なやつよな。…まぁ、残念だが仕方あるまい。妾も1度くらい選んだ男と付き合ってみたかったのだがな。」

「僕よりもイイ男なんていっぱいいるでしょう?」

「それがな、この国の貴族連中は結婚が早くてな、気に入った頃にはもう結婚している。しかも、相手が15歳とかだぞ?本当にどうかしている。…」


 そこからは、周りからは仲良さげにダンスしている様に見えていたが、ずっと愚痴を聞かされ続けるカイトだった。


 良かったのはそのおかげで、それ程気を使わないでも良くなった事だ。


 ダンスが終わったあとも、ワインを飲みながら愚痴や昔話をされて途中から話に参加してきたアイナやミラが一緒になって、最後にはカイトのダメ出し合戦になっていた。


 カイトの心がかなり抉られて、ダンとザインに慰められていたが、その二人にも飛び火して炎上していた。


 そんな事があったが、聖女と打ち解けた五人は最後は楽しむ余裕が出てきた。


 夕食は、会食となるため王族とカイト達だけ王家のダイニングルームへ招かれて、他の貴族たちとは別の部屋での食事となった。


 今夜は、そのまま城の客室で泊まることになるらしい。


「今夜は良い日となった。若き英雄達よ、これからの活躍を期待しているぞ。」


 そんな言葉を贈られて、頑張りますとしか言えなかった。


 軽い世間話をしながら食事をするカイト達。

 緊張で半分も味わえなかったが、見た目も豪華で高級な事だけは分かった。


 正直、屋敷の料理の方が美味しいかもとは、口が裂けても言えない。


 皆が食べ終わる頃に、アリアネルが思い出したように聞いてきた。


「そう言えば…、貴方達のユニオンの盟主が今ランクアップクエストを受けていると聞いてるのだけど、本当?」


 既に打ち解けたアリアネルは、口調を崩して聞いてきた。

 結構年上かと思ったら、24歳と少し上という感じだった。


「ええ、本当ですよ。ユートさんはテイマー職なのに、戦闘も回復もこなすオールラウンダーなんですよ。きっと直ぐにクリアして帰ってきます。」


 カイトはお酒が回っているのもあって、少し口が軽くなっている様だった。

 

「へぇー、面白いわね。普通そんなに手を伸ばすと器用貧乏になるものだけど。」

「それが、いくら俺がまだAランクだったとはいえ、俺よりも段違いに強かったんですよ。もちろん仲間ペットも凄い強かったけど、それとは違う強さも感じるんだよなぁ。」


 その話を聞いて、アリアネルはユートにとても興味を持ったようだった。


 この年頃でこれだけの力と名声を得たならば、大抵は自分より上とは言わない者が多い。

 なのに、素直に称賛されるそのテイマーは何者なのかと。


「面白い話を聞けたわ。本当にクリアして帰ってくれば会えるし楽しみにしてるわ。」


 そう言うと、今日はここらでお開きねと言い残して去っていった。

 王達も、そのままお休みになられると言う事で、一緒に退室していった。


「テイマーのユートか。どんな人か、楽しみに待ってるわ。」


 そう一人呟き、楽しそうに笑うのだった。


いつもご覧になって頂いている方、本当に有難うございます。

評価やブックマークが増えていくと、皆様に応援されているようでとっても励みになっています。

本当に有難うございます。


これからも、楽しく書いていきますので、是非一緒に楽しんでいただければと思います。


次回は、ユート達とフロストドラゴンの話に戻ります。


次回も気合入れて書くのでお楽しみにしてください。


では、宜しくでお願いします。


次は、土日に更新の予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ