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おっさんテイマーは、はばからない!〜ソロテイマーだったのに、気が付いたら最強組織を作ってました〜  作者: 琥宮 千孝(くみや ちたか)
第二章 (ランクアップ編)

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35/122

王都往訪、そして出発。

ついに王都へ到着。

ユート達とカイト達はギルド本部へ向かう。

 王都から少し離れた場所に降り立ち、そこからはカルマの眷属となったナイトメア2頭に四人を乗せて、カルマに人型に戻った双子を乗せて入り口まで来た。


 カルマも翼を隠して普通のナイトメアに偽装していたが、そもそもナイトメアが3頭ともなれば、王都の警備兵も警戒するのは当たり前だ。


 俺がSランクテイマーでサニアのギルド推薦状を持っていたので、カルマとニケ以外は中に入る事が許された。

 ナイトメア達は、召喚を解いているので、中に入れたペットはグランだけだった。


「流石に王都は警備が厳しいですね。1チームで1頭しかペットを持ち込めないなんて。」

「まぁな、ペットとはいえ一般人からしたら凶悪な魔獣だ。警戒するに越したことはないんだろう。ましてや、王のおひざ元だ。神経質にもなるだろうさ。」


 そんな真面目な話をしている横でのんきな二人がいた。


「わぁ、ディアナ。ここが人間の王都らしいよ。アッチと違って明るくて綺麗だね。」

「本当だね、ヘカティア。人の表情も明るいし、戦争している国には見えないね。」


 会話が聞く人が聞いたらアウトだが、素性を知らない人々は気にする様子も無かった。

 そもそも周りが騒がしくて、聞こえもしないだろうが。


 ここ【王都ハイセリア】は、人間の王都だ。

 南の大陸と、ここ西の大陸が人間領だが、南の大陸は気温が高すぎて住める土地が少ない。

 必然とこの西大陸が人間の中心地になる。

 その中でも、ここ王都には多くの人間が集まっている。

 

 王都だけあって、かなり広くなっているが、城に近い土地は貴族たちが独占している。

 そのため、それらを取り囲んで円環状に城下町が出来ている。


 まずは、サニアのギルドに紹介された、ギルド本部へ向かう。

 ギルド本部は、王城の南側に位置する場所にある。

 その隣には、教会があって儀式をするならそこでやるということだった。


 カランカランと音がなる扉を開けて、中に入った。

 ギルド本部は、サニアと違ってかなり綺麗な作りだ。

 床一面に大理石のような高そうな石が敷き詰めてあって、正直滑らないか心配だった。


 まずは、クエスト受付カウンターへ向かった。


「はい、ギルド本部へようこそ。初めて見る顔ですね。紹介状はありますか?」


 眼鏡をかけた真面目そうなギルド職員がこちらを値踏みするかのように見てきた。

 一般のクエストなどは、もう一か所にある支部の方でも受けれるので、ここには上級冒険者か貴族から紹介された冒険者しか来ないらしい。

 そのため、一見普通の俺の顔を見て、勘違いしたおっさんが来たようだと思い込んだみたいだった。


「これがサニアギルドから渡された紹介状だ。ちなみにこれが俺のプレート。あと、新設したユニオンの代表もやっているものだ。」

「なるほど。拝見いたしますね…って、Sランク冒険者!?その歳まで王都に知られていない冒険者なんて…。内容を確認しました。すぐにグランドマスターをお呼びします。奥の部屋にお通ししますので、こちらにお越しください。」


 どうやら、本物と分かって驚いたようだった。

 ここでも、Sランクであることの恩恵を受けれて何よりだ。

 やはり、ゼオスに紹介状書いて貰っておいて正解だったな。


 そのまま、ギルド職員に応接間に通されて俺はグランドマスターなる人を待っていた。

 俺の後ろには、カイト達が立って控えていて、なぜかヘカティアとディアナが一緒にソファーに座っている。

 いや、お姫様だし、ランクも高いけども…それはどうなんだ!?


 しばらくすると、扉がノックされて秘書らしき人物と一緒に、いかつい顔をした壮年のおっさんが入ってきた。

 ただし、なかなか威厳がありそうな顔だ。


「待たせたな。失礼するぞ。」

 そう言って、グランドマスターらしき男は向かい側のソファーに座った。


「俺が、このギルドの最高責任者のグランドマスターである、ドルガーだ。覚えてくれ。」


入ってくるなり握手を求めてきたので、握り返しながら挨拶する。


「初めまして、俺はユニオン『ウィンクルム』の代表のユートだ。今日は、紹介状にある通りメンバーのランクアップクエストを受けさせるために、サニアからはるばるやってきた。早急に手続きをお願いしたい。」

 

 俺は簡潔に要件を伝えた。

 だがしかし、紹介状を見たドルガーは片眉をあげて質問してきた。


「ん?この紹介状にはお前もランクアップすると書いてあるが?」

「ああ、俺のランクアップは後だ。先にメンバーのを受けておきたい。」

「何か理由はあるか?」

「俺はやる事あるんでね、先にそっちを済ませてから受けようと思っている。今日は先に顔合わせをしとこうと思って一緒に来たんだ。」

「ふん、あのぜオスに紹介状書かせたんだ、信用はするさ。では手配は掛けておこう。後は職員にクエスト発行させるから、準備が出来たら話し掛けろ。じゃあ、健闘を祈る。」


 ドルガーはそのまま去っていった。

 秘書の女性が、彼はいつもこうですからと苦笑いしていた。


 その後、カイト達はギルドカウンターでクエスト発行の手続きをした。

 いつもの羊皮紙ではなく、金色のプレートに刻まれた小さなプレートを渡されたようだ。


「こんなのもあるんですね。初めて見ましたよ。」

「俺もこっち来てからはまだランクアップ受けてないから知らなかったよ。Sランクだからか?」


 とある理由で、見る機会を失っているのだが、それを知る由はない。

 初めてみるそれを眺めて、随分年季の入ったものだなと思った。


「じゃあ、俺らはこのまま北にある嵐の神殿に行く。カルマがいるから大丈夫だと思うけど、あまり無茶なやり方はするなよ?慎重にな。」

「分かりました。あの時で懲りましたので、準備万端にして一人づつクリアしていきますよ。」

「ああ、それがいい。アイナとザイン。しっかりセーブするんだぞ?」

「はい、お任せください。」

「承知しました。2度と危険な橋は渡らせません。」


 カイトは苦笑いしていたが、アイナとザインがしっかりと返事してくれたので問題はないだろう。


「それじゃ、終わったらこの街で落ち合おう。じゃあ、しっかりなー。」

「ユートさんもお気をつけて!」

「行ってらっしゃいなのです!」

 

 全員に手を振り見送られて、俺とディアナ、へカティアはニケが待っている街の外へ向かった。



 ───

「さてと、クエストの確認をしようか。俺はやっぱりと言うか、あのアークデーモンの討伐だな。」


 カイトのクエストは、次の通り。


 <ランクアップ条件>

 場所:【旧王都の王城】

 依頼対象:Sランク 悪魔アークデーモンを2体(証明のための素材を2個)

 条件:一人で討伐すること。

 報酬:金貨10枚

 期限:なし


「あ、俺も一緒だわ。場所も数も一緒だな。」


 ダンもカイトと同じクエストだった。

 まとめてやれる分いくらか楽だ。

 問題は場所だ。


「行くまでが問題だな。あそこの敵はかなり多いよな。」

「今回人が少ない分、それまでの過程が大変だろうな。」


 二人は既に攻略の手順を考えていた。

 一度行った場所ではあるが、後から聞いた話あの時はニケとカルマが上空の敵を()()()()()()()おかげで、あれでも少なかったのだ。

 それを考えると今回はもっと厳しいものになる。


 ミラのランクアップクエストは、次の通り。


 <ランクアップ条件>

 場所:【迷宮ラビリンス

 依頼対象:Sランク 死霊リッチロードを1体(証明のための素材を1個)

 条件:一人で討伐すること。

 報酬:金貨5枚

 期限:なし


「あわわ、リッチロードってあの時の上位版ですよ!あの時はユートさん達が倒してくれたけど…。」


 ミラがあの時の事を思い出して震えた。

 普通のリッチですら苦戦していたのに、上位版となれば更に絶望感が増す。

 しかも、リッチ系は魔法だけじゃ無く近接攻撃も強い。

 一人で相手にはしたくない相手だった。


「ランクアップは試練ですからね、簡単な相手では無いでしょう。」

「そういうザインは?」


 自分のはこれです。


<ランクアップ条件>

 場所:なし

 依頼対象:Sランク以上

 条件:上位回復術を連続で10回成功させる事。

 報酬:なし

 期限:なし

 現在の連続成功回数:00/10 回


「あ、私と一緒だね。連続成功ってかなり難しいねぇ。」

「ええー!?見た感じだと簡単に見えるけど。」

「何言ってるの。これをミラで例えたら、近距離で攻撃されて10回全部躱すのと同じ難易度だからね!」

「そ、それは自信が無いのです…。」

「そうでしょう?自分の場合、被弾しないで回復し続けて成功するのは80%くらいです。」

「うんうん、被弾した場合だと50%くらいだから、うまくやっても半日掛かるかもだね。」


 相手がSランク限定なのもあり、三人が終わってからとなるだろう。

 しかも、回復するにはHPを減らす必要があるため延々と戦ってダメージを受けてもらわないといけない。


 お互い、拷問のような苦行だ。

 しかし、Sランクになるにはやるしかないのだ。


 全員のクエストを確認したカインは、まず王都から出て【旧王都の廃墟】へ向かうことにした。

 街の外で待っていたカルマと合流し、目的地を告げた。


「なるほど、またあそこか。まぁ、王城に入るまでは手伝ってやろう。中に入ったら余程の事が無い限り手出しはしないからな、肝に命じておけよ。」


 カルマはそう言うと眷属のナイトメアを召喚した。


「すぐに行くぞ。主より先に終わらせて、お待ちするのだ。」

「ありがとう。君の協力が得られるのは有り難いよ。ユートさんには感謝しか無い。」


 カイトは、仲間にナイトメアに乗るように指示を出しながらも、カルマに感謝を伝える。

 

「本当だね。これでクリア出来なかったら、会わせる顔が無いわ。」

「全くだな。より、気を引き締めていこう。」


 アイナとダンも、ユートからもたらされている幸運に感謝しつつクエストを達成させるため気を引き締め直した。


 ナイトメア達にはダンとザインが乗り、カルマにはアイナとミラが乗った。

 カイトは当然グランに乗っている。


「じゃあ、行こう。ここからは半日の距離だし、急がないと夜になってしまう。」

「我が一人なら、3時間もあればつくのだがな。…遅れないで着いて来るのだぞ?」


 カルマは、そうカイトを見ながら言った。


「俺もグランもユートさんにかなり鍛えられたんで、大丈夫…と言いたいとこですけど、他のナイトメアと同じ速度で頼みます。」


 今のカルマの速度だと誰も追い付けないので、眷属のナイトメアの速度で依頼した。

 そもそもそうしないとナイトメアも付いてこれない。


「そういえば、簡単に馬をナイトメアに換えてたけど、人間も出来るのかい?」

「相手の意思がなければ出来る。馬の場合は、野生の本能で強きものに従うので、抵抗すら無い。やろうと思えば貴様でも、出来るが主がそれを望んでないのでやらないだけだ。」


 カルマが恐ろしい事を言ってきた。

 完全に格上のカルマなら有りあるとは思っていたカイトだったが、まさかそう簡単に出来ると言われるとは思ってもいなかった。

 その分、その回答は衝撃的だった。


「ユートさんが味方で本当に良かった。しかも、良識ある善良な冒険者にで無かったら自分達は意識無いままに操られていた事になるね。」

「そんな人間であれば我等に選ばれないだろうよ。」


 カルマの言っている()()()()()は理解してなかったが、カイトには信頼する主人というのは、ペットからも見られているのだなと思うだけだった。


「さて、ここからそれなりの道程がある。のんびりしてないでさっさと行こう。」


 そう言われて一行は、無心に目的地へ向かうのだった。



 ───その頃のユート達。


 街の外へ向かった筈だが、何故か屋台に来ていた。

 理由は簡単。

 へカティアとディアナが途中であれ食べたいこれ食べたいと、色んな人間の食べ物に興味を持ったからである。

 

 最初は、ディアナがマスターの用事が優先です、行きますよとへカティアを宥めていたが、途中で"クリーム巻き"というクレープに似た食べ物を見つけ、甘い匂いに負けて一緒になってねだってきたのだった。


「リンとか、これ見たら食い付くだろうなぁ。」


 とか独り言をいいつつ、自分も食べていた。

 ちなみに、結構美味い。

 クリームと果物を混ぜたものを小麦粉を溶かして焼いたもので巻いているだけのシンプルな物だが、その分に素材を活かしていた。


「ん〜〜!人間ズルい!ズルいよね、ディアナっ!」

「本当に、そう思うわ。これは屋敷のルガーさんに頼んで作ってもらいましょう、へカティア。」


 ふたりはクリーム巻きを食べて、口の端にクリームをくっつけながら談議していた。

 

 俺は半分ほど食べてから、二人にも食べながらでいいから向うよと言って外へ向かった。

 残した半分をニケにも食べさせてあげて、3人ともニケに乗って出発するのだった。



 ───あれから5時間。


 まさか、休憩挟まないとは思わなかったが、5時間ぶっ通しで移動し続けて、【旧王都の廃墟】のたどり着いた。

 着いた瞬間に、倒れ込むようにナイトメア達は影に消えていった。

 グランも初めての長距離移動で、ぐったりと地面に伏していた。


「グ、グラン大丈夫か?」


 心配して声を掛けるも、力無くクルァァァ…と鳴くのみだった。

 よーしよし、頑張ったな偉いぞと声を掛け撫でつつ水を飲ませた。


「ふむ、中に入る前に休憩を取ったほうが良さそうだな。一度休憩を取るがいい。我は辺りを偵察してくる。」


 そう言って翼を広げて、飛び立った。

 その後、小一時間ほど休憩を取り出発する事になった。


「まず、王城に辿り着くまでが大変だ。壁は俺がやるから、カイトは空から、ミラは後方から支援してくれ。ザインは、こぼれた敵へ打撃攻撃頼んだ!」

「「「了解!」」」


 カルマは上空から5人を眺めていた。

 ここは、彼にとっては庭のようなもの。

 やろうと思えば、全ての悪魔の動きを封じることも可能だ。


 だが、そんなことをしたらせっかくの成長のチャンスを奪う事になるのでそっと見守る事にしている。

 どれだけ連携して抜けれるか楽しみだなとカルマは愉快そうに笑うのだった。


「前方から3体!デーモンとガーゴイル!」

「「「了解!」」」


 カイトが中空から索敵をして、仲間達に敵の存在を報せる。

 教えられた仲間達は、すぐに攻撃態勢に移る。


「穿け!アイスエッジ!」

 ミラがガーゴイルの翼を穿つらぬき、一体を落とした。


「うおあお!いくぞ!〈剛打〉!」

 次にザインがメイスで渾身の一撃を繰り出した。

 ガーゴイルわ仕留めた。


「はああああっ!〈チャージ〉!」


 隙を与えずに、次はデーモンを狙う。

 ダンの繰り出した槍スキルが命中した。


 グガアッ!と吹き飛ぶデーモンを見ながら、アイナは神聖魔法を唱えていた。


「…敵を浄化せよっ!アークレイ!」


 一条の聖なる光に貫かれデーモンも力尽きた。

 残るは一匹。

 油断せずに、身構える。


「すぐ終わらせる!〈炎月〉!」


 剣から炎が噴き上がり、そのままデーモンに放たれた。

 さすが、エルダーデーモンを倒せるだけあって一撃でデーモンを倒した。

 塵になったデーモンを見ながら、仲間も誇らしげに眺めている。


「なんだかんだで、ユートさんたちと一緒に冒険するようになってから、強くなっているんだな俺たち。」

「ああ、間違いないな。これからもっと成長させられていくんだろうさ。」

 

 みなが頷きながら、王城へと向かうのだった。


 ─── その頃のユート達。


 やっと、嵐の神殿についた。

 ニケに三人も載せているで、少し遅めの移動となった。


 途中、ヘカティアとディアナがお尻いたいだとか、のど乾いただとか言いだすので、予定しているよりも遅くに到着した。

 また、カイト達は5人分のランクアップクエストをクリアしないといけないし、数日はかかるだろう。

 なので、俺も特に急がせるわけでもなくここまできた。


 正確には、風と雷の神殿らしいが、嵐の神殿と言われるようになってからはそちらの言い方が一般的になったらしい。


『さて、主様。参りましょうか。同朋より手荒い歓迎があるかもしれないですが、主様なら問題ないでしょう。』


 何か嫌な予感しかしないが、仕方ないので中に入っていった。



 ───旧王城へ到着。


 カイト達は奮戦しながら、小一時間ほどで旧王城前に到着した。

 討伐対象の”アークデーモン”と同格の”エルダーデーモンを”何体か倒す羽目になったが、問題なく突破してきた。


「ここからが本番だな。俺とダンはソロで戦う。周りの雑魚の対処を頼む。」

「いいけど、同時にやらない方がいいんじゃない?」


 カイトはやる気の様だったが、アイナは同時にやることに異を唱えた。

 同時にやることが決して効率的とは思えない。

 不測の事態に備えるのにも、出来るなら一人づつ対処したほうが安全だ。


「俺も同意見だな。ここで腕前を披露したいと思わないでもないけど、今回は全員のクエストを達成しないといけない。それにユートさんにも無茶をするなと言われているだろう?」

「う、そうだったな。気を急いてたようだ。すまん。」

「いや、やる気になってるのはいいと思う。カイト先にチャレンジしてくれ。お前が一番確実だし、終わってくれたら幾分か気が楽だ。」

「分かった、ありがとう。じゃあ、中に入ったらアークデーモンを引き付ける。その間に雑魚は任せたぞ?」

「「「了解!」」」


 中に入ると、前と同じく”アークデーモン”が指揮を執っている。

 まずは、雑魚の”デーモン”達を倒す必要性がある。


「まずは、デーモンを片付けるぞ!奥のが集まってくる前に一気にやろう!」

「「「了解!」」


 カイト達は一糸乱れぬ連携で、デーモン達を屠っていく。

 魔法と物理攻撃の連携もかなりスムーズだ。

 ここに入ってからは、アイナも回復に専念し、ザインは逆に物理攻撃に専念している。

 MPの温存もあるが、良く使うスキルは一緒だが得意としている戦闘スタイルは別ということだろう。


 カイトとダンは、ここに入る前に既に武技アーツを発動させていて、力と速度の底上げをしている。

 そのため、道中よりもさらに洗練された動きになっていた。


「ダン、そっちにいったぞ!」

「任せろ!<チャージ>!」


 カイトの攻撃をスルリと抜けたデーモンにスキルの<チャージ>を叩き込む。

 吹き飛んだ所に、ミラのライトニングがさく裂した。


「ナイスだ!ミラ!」

「任せてくれなのです!アークデーモン一匹になるまで、ガッツリ行きますよ!」


 その言葉通りに、単体の高位魔法をどんどん使って数を減らしていった。

 手前側のデーモンが片付くのに10分も掛からなかった。


「ふー。よし!アークデーモン!こっからは俺が相手だ!」


 次のデーモンが出現するまでには、30分くらいは掛かる。

 そのため、それまでには倒さないといけない。

 前の経験から行くと10分も掛からないが、あの時はユートもバフを掛けてくれていたので、倍は見込んでおく必要があった。


「初っ端から、全力でいく!剣技<光輪>!」


 カイトが放った攻撃がアークデーモンに直撃した。

 それまで静観していたアークデーモンは、グオオオオオオオ!!と怒りの咆哮をあげた。

 魔法を使ってるかと思いきや、いきなり高速移動してきて鋭い爪で切り裂いてくる。


「ぐあっ!早い!グラン援護を頼む!」


 すぐに敵の背後から足の爪でダイビングアタックし、注意をそちらに逸らした。

 その隙を見逃さずに、カイトも次の攻撃を繰り出した。


「ふーっ!剣技<七星>!」


 言うと同時に横薙ぎ一閃したあと、追ってくるかのようにさらに剣閃6つ煌めいて切り裂く7連攻撃をしかけた。


 攻撃するタイミングを失った、アークデーモンは戸惑いを見せるも、すぐに魔法を展開する。

 グランに5発、カイトに5発。

 同時に10発のシャドウボールを撃ち出した。


「グラン回避!俺は突っ込むぞ!」


 カイトは、武器ガードを駆使してシャドウボール2発をガードして道を作る。

 グランの方は、大きく旋回してカイトの方へ回り込んだ。

 しかし、途中で1発はまともに喰らったようだ。


 いくら初級魔法でも、高位悪魔の魔法はそれだけで高威力。

 少なくないダメージを負ったようだが、相棒のために倒れることなく攻撃に参加している。


 カイト達が奮闘している間、ミラ、アイナ、ダン、ザインは陣形を組みつつ奥から流れてくるデーモンを倒していた。

 中でも、ミラの魔法はますます磨きが掛かったようで、一発の威力が高いだけでなく、詠唱失敗もほとんどない。

 どうやらリッチロード戦を意識して、前に出つつも相手の攻撃を回避する訓練を兼ねているようだ。


 そう、クエストは受けるだけではランクは上がらない。

 そして、大抵はスキルを上げるよりもクエストクリアの方が難題なのだ。


 カルマは、人型の状態で入口に立ち全員の様子を見ていた。


「まだまだ粗削りだが、全員戦闘の素質はあるようだ。なかなか鍛えがいのありそうな者たちよな。」


 と、不穏な事を口にしながらにやりと嗤うだった。


 そんなことを露にも思わないで、カイトがやっと一匹目のとどめを刺した。

 たった一匹倒すだけでもかなり凄いのだが、クエストは2匹討伐となっている。


 戦闘職は、戦闘力が一番高いのでどのランクアップクエストも他の職業よりも難易度が高いのだ。


「はぁはぁ…。まずは一匹。次は奥のアイツだな。やり遂げて見せますからねユートさん!」


 既にデーモン達をほとんど倒した4人のもとに向かう。

 アイナに治療を受けながらも、次の戦闘の準備をするのだった。


いつも見てくださっている方、有難うございます!

また、ブックマークしていただいている方、評価していただいている方、とても励みになっています。

本当に有難うございます。


次回も、戦闘が続きます!


次回更新は、11/10 25:00迄の予定です。


次回もよろしくお願いします!

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