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おっさんテイマーは、はばからない!〜ソロテイマーだったのに、気が付いたら最強組織を作ってました〜  作者: 琥宮 千孝(くみや ちたか)
第一章 (始まりの冒険編)

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救出クエスト!ラビリンス編(1)

救出のために迷宮に向ったユート達は…。

 サニアを出発して1時間半経過し頃、迷宮ラビリンスの入口へ到着した。


 飛竜のスピードに合わせて飛んでいたが、それでもかなりのスピードだ。

 カイトは全速力で移動していたつもりだったようだが、カルマとニケが追い抜きそうになるので、かなり責付かれた感がある。


「正直言うと、カルマさんには負けないと思っていたんですがこっちが急かされる羽目になるとは…」


 カイトが顔を引き攣らせながらため息をついた。


「ランクの差は大きいぞ?カルマも既にSランクの領域にいるからな。そこらの竜でも追いつけないよ」


 苦笑いしながらも一応のフォローをする。


 本当のところは、これでも抑えめで走らせてた。

 なんせもっと遠い天使の塔が1時間だったのだ。


 それよりも距離の近い迷宮ラビリンスのほうが、時間が掛かるわけがない。


「飛竜は限界だろう?ここに待機させておけ。脱出する時にへばってたら置いていく羽目になる。ここで休ませるほうがいい」


 飛竜はBランクのモンスターだが、正直言うと中に連れて行っても邪魔になる。

 それに脱出してから町に戻るのに飛竜もいないと人数的に連れて帰れない。


「…そうですね。グラン、ここで俺らの帰りを待っていてくれ」


 カイトがそう言うとクァーンと返事した。

 飛竜のグランにギルドタグを付けてから2日間分の餌と水を入れた袋を足元に置いた。

 

「あいつらを救出したらすぐに町に帰るからな、頼んだぞ?」


 そう言いながらグランの首を撫でてダンジョンへ入っていった。


 【迷宮ラビリンス】は、ギルドの推奨はBランク以上で出現モンスターは主に死霊系だ。


 地上階から始まり、地下5階まであると言われている。

 1フロアはかなり広大で、町一つがすっぽり入るほど。

 なので、一度迷えば同じ入り口に戻ることは不可能と言われている。

 また、方向感覚を鈍らせる魔力の霧が充満しているため、中で遭難して命を落とす冒険者はかなり多い。


 LBOでもこのダンジョンは難易度高めと言われていて、地下5階はボス並みのHPを持った死霊系モンスターが多く出現するため、玄人向けダンジョンと言われていた。

 その分出現する宝箱やドロップ品が豊富だったので上級者には人気が高かったが、死亡率もダントツで高かった。


 この世界でも他のダンジョンと同様に同構造だとすると、地下4階以降はかなりの難易度になるので注意が必要だろう。


「それで、ここからだが…マップで経路を見せてくれ」


 俺がそう言うとアイナがストレージから地図を取り出し、マッピングしたダンジョン地図を見せてくれた。


「ここからですと、しばらく真っ直ぐいってから時計回りに右方向へ進む感じで地下へ進みます。そこからは結構複雑ですね」


 地図上をなぞりながら説明してくれる。

 これならば、地下までは騎乗したままの方が早そうだ。


「じゃあ、地下への階段までは飛ばすぞ?アイナはカルマに乗ってくれ。ニケには俺とカイトが乗る」


「え?はい、わかりました」


 聞いていたカルマもアイナを乗せるために背を低くした。


「乗ったまま行くんですか?」


 カイトは不安そうだったが、カルマとニケの上の方が安全だったりする。


「大丈夫だ、余程の事が無い限りは落ちないから。ここの階層のモンスターなら二人に触れることも出来ないさ」


 さあ早くと言って、カイトをニケに乗せた。


 二人が乗ったのを確認し、俺もニケに乗った。

 そこから目的地まで爆走した!


 ドドドドドドドドドドドドっと地響きに近い足音を鳴らし、スケルトンやらゴーストやらを蹴散らしていく。

 先頭はニケで、俺の指示通りに道を進んでいく。

 カルマは後ろから余裕をもって走っていて、時折天井から湧いてくるゴースト系モンスターを低級魔法で蹴散らしてくれていた。


「なんというか、想像以上の強さなんですね」


 アイナは相手が低級モンスターとはいえ、数体が一瞬で塵に還っていく様を見て唖然としていた。


「Bランクくらいまでの相手なら、こんなもんだけど?」


 と俺が返答すると、二人して顔を引き攣らせていた。


 ほぼ全力疾走に近い速度で進行したため、地下に入るまでに15分と掛からなかった。


 地下1階は、C~Bランクモンスターまでしか出現しないので、そのまま進むことにした。

 先ほどとは違い道が複雑になったのでダッシュで進むというわけにはいかなかったが、そもそも大精霊の化身のニケがいるためほぼ道を間違えずに進んでいく。


『主様、この先にはスケルトンナイトが複数体いますね。蹴散らしますか?』


「ああ、そうしてくれ。速度を優先したいので先手必勝で行こう」


『承知しました』


 ニケがそう言うと、トルネードを出現させて狭い通路内にいるスケルトンナイトをバラバラにして吹き飛ばしていった。


「スケルトンナイト10体近くを瞬殺!?」


 とカイトをまた驚かせていたが、いちいち構っていられないのでどんどん進んでいく。


 本来の攻略なら素材を拾っていきたいところだが、今回はそれもしないでおく。

 奥地でカイトを待っているであろう3人を救うには採算とか考えている場合ではない。


 まあ俺は報酬があるので、元々気にする必要はないのだが。


 さらに20分程して進んでいくと地下2階への階段が見えた。

 カイトの話だと階段を守るモンスターとかは居なかったようだ。

 だが、地下3階への階段前にはボス部屋があったらしく、そこでの戦闘は余儀なくされるということだ。


 ちなみにその時に出たのはカース・ナイトという鎧にゴーストが乗り移った敵だったらしい。

 ランクは調べるれる人が居なかったのでわからないらしいが、多分AランクくらいでHPが気持ち多かったということだった。


 まぁそれくらいなら楽勝だろう。


 地下2階はシャドウというレイスの強化版やらスケルトンナイトやらが多かった。

 たまにランクBのシャドウナイトというのが出てきたが、武技アーツの剛力が使えるだけで大した脅威にはならなかった。


「確かに、この程度ならお前たちでも楽勝だよな。油断してしまうのも分かる気がする」


 思わずぼそっと言ったが、聞いたカイトは苦虫を潰すような顔をしていた。


「慢心せずに進んでいれば、残った3人を置いていくような事にはならなかったですよね…」


「そこは否定しないな。でも過ぎたことを気にしても仕方がない。今は兎に角急ごうか」


 そう言うと、ニケも頷いてモンスターの残骸を作りあげていった。


 ちらっと後ろを見ると、カルマが自分の影にレイスとかゴースト系を吸い込んでいるのが見えた。

 あ、魂を吸収しているなアイツと思ったが口にするのは止めといた。


 アイナは必至にしがみ付いていたので、自分の後ろで行われている事には気が付いていなかったようだった。


 バレたらカルマを浄化するとか言わないよね…と一抹の不安を覚えたが心にそっとしまっておいた。

 もちろんアイナが返り討ちになるから、そんな自殺行為な事を考えないで欲しいという意味だ。



 ───地下2階を30分程で制覇して、例のボス部屋の前に辿り着いた。

 

 念のために全員がニケとカルマから降りて戦闘態勢を整える。

 ただし、戦闘させるのはニケとカルマと決まっていたので先行するのはふたりだけだ。

 俺はいつでもブースト掛けれるようにしてから、ゆっくりと扉を開けた。


 中を見ると中央に描かれている魔法陣の上に、一領いちりょうの鎧が置いてあった。

 中に入った瞬間に魔法陣が光だし鎧に黒い霊魂みたいなものが集まっていくのが見えた。


 次の瞬間だった。


「流ちょうに待つ義理はない。〈吸魂〉!」


 とカルマが言った瞬間に、その黒い魂がカルマに吸い込まれていった。


 次の瞬間にガランと音を立てて鎧が崩れて地面に転がった。


「「…え?」」


 カイトとアイナが呆気に取られてぽかんと口を開けている。


「あー、終わったな。よし先に進もう」


 二人と同じ感想だが気にしている暇はない。

 カルマとニケに常識とはなんだ?とか聞いちゃいけないのだ。


「私たちの冒険ってなんだったの?」


 とはアイナの言葉だ。


 気を取り直して階段を下りていく。


 ここからはBランクばかりが出てきた。


 その中でも状態異常を仕掛けてきたり、闇魔法系を使ってくる相手が増えてきたのでちょっと鬱陶しい。

 しかし個体の強さがそれほど強いわけではないので変わらないスピードで先に進んでいく。


 このままいけば、あと1時間もしないで目的地の場所までたどり着けそうだ。



 ───遡る事1時間前

 3人は既に虫の息だった。


 二人を〈ゲート〉により外に送り出したミラは気を失ってから大分時間が経っているが、一向に目を覚ます気配がない。

 それどころか、呼吸が浅くなり命が危険な状態にある事を誰が見ても分かるほどだった。


「ミラ!死ぬなよ!カイトが絶対助けを呼んで来てくれる!諦めるんじゃないぞ!」


 ビショップであるザインは、魔力が少し回復するとミラにヒールを掛けてなんとか命を繋いでいた。


 もう一人の仲間のダンは、自分のせいでこの状況を作り出したと思い込んで必死で二人を守っていた。

 しかし、精神的にもかなり限界だ。


 3人は、カイトとアイナを外に送りだした後に比較的に敵が出現しない地下4階の入口のフロアでビバークしていた。

 簡易テントを張り、中にミラを寝かせて治療をしつつ外に敵が出現すれば二人でなんとか撃退するという事をかれこれ数時間行っている。


 出現する敵はせいぜい1体か2体だが、同じAランクのモンスターな上に碌に休息を取れない状態だ。

 MPが枯渇した状態では状況はどんどん悪化していくのは目に見えていた。


「すまんザイン。俺がもっとしっかりしていれば…」


「何度も言わせるな!俺らは仲間だ。一人のせいなんかじゃ決してない。カイトなら、カイトなら絶対に助けに戻ってくる。それまでなんとか持ちこたえる事だけを考えるんだ」


 普通に考えれば町に戻り治療を受けてから自分たちと同じかそれ以上の冒険者を探して戻ってくるのは、早くても1日以上掛かるだろう。

 それが数時間でこの状態ではかなり絶望的だった。


 出発前に噂になっていた冒険者の話を聞いた。

 なんでもSランクテイマーだという。


 それだけでもかなり胡散臭い話だったが、地獄の塔のケルベロスを討伐してきたという。

 さらに今度は天使の塔へ攻略へ出発したというから、自分たちも負けていられないとこの【迷宮ラビリンス】に行こうという事になったのだ。


 聞いた話によると、この町にはSランク以上の冒険者はいなかったらしく実に数年ぶりに現れたとのことだ。

 Aランクも数人しかいないという。


 そのなかの一人らしいAランク槍使いの冒険者が言っていた。


 【迷宮ラビリンス】のクエストなんて誰が行くんだよ、死にに行くようなもんだと。


 自分達の討伐対象は、この階で度々現れる死霊系モンスターのリッチだ。


 結果的に討伐数は目標数を超えたので()()()()()()()報酬を貰うことは可能だろう。

 


 悪い想像しか湧いてこないが、諦めるわけにはいかない。

 諦めるという事はすなわち死ぬということだからだ。


 カカカカカッと死者の笑い声が聞こえてきた。

 また奴が出たか!


 バッと外に飛び出し二人は臨戦態勢に入る。

 小一時間毎に出現する同格のモンスター、リッチだ。

 魔法が強いだけでなく、物理攻撃もなかなかに痛い。


「まだ、お前らに俺らの命をくれてやるわけにはいかない。やるぞダン!」


 ザインもダンも魔力はもう殆どない。同格相手に魔力なしで戦う必要がある。


「ああ、そうだな。最速で倒そう!一気にいくぞ!」


 ダンが槍を構える。

 ダンは構えた槍に青い光が集まるのを確認したと同時にリッチに攻撃をした。

 槍術スキル〈スマッシュ〉で貫いた。


 ザインも魔力がほぼ尽きているためメイスを構えた。


「うりゃあああ!」


 気合と同時にリッチを殴りつける。


 リッチは攻撃に怯まずにそのまま魔法を発動させてきた。

 カカカカカカと言ったと同時に闇魔法シャドウボールを撃ってきた。 


 ダンに魔法が当たるが、かろうじて盾で防ぐ。

 幸い、ダメージもそれほど入っていないようだった。


「くっ!その程度なら!」


 魔法を防ぎ切った後に槍で再び体を貫く。

 

 さらに、ザインのメイスで追撃した。


「ほんと、しぶとい!!」


 ダンもさらに槍で滅多打ちにした。


 次の瞬間、グアアアアアアアっ!っという雄たけびと共にリッチは消えていった。

 足元にはいくつかの小さな宝石と指輪が落ちていた。


「また外れか・・・」


 リッチの落としたアイテム類を見てそう呟く。


 リッチは、稀にマジックポーションを落とすことがある。

 それがあれば少しは生き長らえるのだが、なかなか出なかった。


「く…カイト、早く戻ってきてくれ…」


 二人は肩で息をしながら、そう願う事しか出来なかった。



 ───地下3階に到達して既に30分くらい経っていた。


「地下3階も厄介なのはリッチくらいで、あとは大したことないか。このままいけばもうすぐで上の階へ行けるな」


 段々、魔力の霧が濃くなっていく中で迷わないで進めていることだけでも異常なのだが、それよりも進行速度が尋常じゃなかった。

 なぜならば、地下3階はニケとカルマに乗ったままだからだ。


「事前情報通り、イレギュラーも特にいないしこのままでいいな。少し警戒しすぎたか?」


「主よ。天使の塔の事があります。少し警戒心が高いくらいで丁度いいかと」


『カルマの言う通りです主様。あのような存在が度々現れるなど考えたくはないですが、実際にあったのですから想定しておくのが良いと思います』


「まあボスとかも違ったしな」


 警戒しないとと言いながら、雑談しながらモンスターを作業的に排除していく。


「ユートさん達は、天使の塔をどこまで攻略してきたんですか?」


 その話を聞いていたカイトが聞いてきた。


「俺たちは、20階のボス部屋までは攻略してきたよ。なかなかの激戦だったがなんとか倒せたよ」


 あの時の戦闘を思い出しながら話をする。


「なんと、20階のボスと言えばSランクの熾天使が出るって話でしたよね」


 カイトは、ギルドから聞いている通りの話をした。


「いや?俺らが遭遇したのは、S2体、S+1体、SS1体の計4体の熾天使セラフだったよ」


 と正直に話をした。


「は??いや、SSって。しかもS以上が4体??どうやって倒したんですか?!」


 と目を点にして聞いてきた。


 モンスターの相手はニケとカルマが殆どしてくれているのもあって暇を持て余していたので、その時も戦闘を細かく説明してあげた。

 アイナも聞き耳を立てて聞いていたようだった。


「そんな事をわざわざ嘘を付くとは思いませんが、にわかには信じられませんね…」


 そんなカイトを一瞬ニケとカルマがギラっと睨んだが、よせよせと手で制しておいた。


「別にお前が信じようが信じまいが俺にはどうでも良いことだよ。但し、いつでも状況が変わることを念頭に動いた方がいいという事だけは覚えておいてくれ」


「あ…。ギルドで手に入る情報と違うことがあるという事ですか?」


「それもあるし、LBOでの知識がこっちで役に立たないこともあるってことさ。俺らの想像を超える強さのモンスターになっているかもしれない。だから実際に戦うまでは安心しないほうがいい」


 実際にリッチやバンシーと戦ってみたが、ほぼLBOと同じ行動や魔法し使ってこなかった。

 そこまで確認しないと、行動が変わっているだけで、使う魔法が違うだけで脅威が段違いに変わる可能性があるのだ。


 まして、数は少ないが見慣れないモンスターも出ている。

 そういうのは基本自分の目で見るまでは判断付けれないと思っていた。


「相手の特性がしっかり把握出来ないと格下の相手にすら負けることは多々あるからね。これからは気にするようにしたほうがいいよ。生き残りたいならな」


「う…。今の自分には一番堪える言葉ですね。肝に銘じます」


 そうこう話しているうちに部屋の扉らしき前に着いた。

 どうやら次の階段の前の扉のようだ。


「この部屋の先に彼らがいるはずです」


「ここのボス出ないのか?」


「いえ、この中の部屋にはいます。そのボス倒した先が4階へ降りる階段へと繋がっているのです。彼らはそこで待機しているはずです」


「ちなみにボスはなんだ?」


「オックスソルジャーという、ミノタウロスの劣化版みたいなやつです。怪力でHPも多いようですが、魔法やスキルを使ってこないので、長期戦にはなりましたが私達でも倒せるほどでした」


 迷宮といえばミノタウロスというお約束なやつなのだが、本物はSランクモンスターでそこそこ強い。

 素早くて、武技アーツも数種類使ってくるので、ばったりと会うと結構めんどくさい敵だ。

 試しにテイム出来ないか試したことがあったが、残念ながら亜人型扱いでテイム出来なかった。


 なお、レア版のブラックミノタウロスというのもいるが、これはSSランクモンスターなので基本見たら逃げろって言われていた。


 SSランク戦闘職がレアマジック武器を落とすから結構探しているみたいだったが、戦闘が専門じゃない俺が相手に出来るモンスターではない。

 ニケとカルマが育った今なら勝てるかもしれないが…。


「なら、ここもニケとカルマに任せようか」


「え?ユートさんは戦わないんですか?」


「何言っているんだ?テイマーはペットを戦わせてなんぼだろ?それに出番はないと思うぞ?まぁ、見てな。〈アニマブーストⅢ〉!〈ビーストコマンドⅢ〉!」


 カルマとニケに能力および攻撃力UPスキルを発動する。

 赤と緑のオーラに包まれている。


「じゃあ、行こうか。カルマ、ニケ頼んだぞ?」


「承知」

『お任せください主様』


 扉を開けるとそこには一体の大きなモンスターが仁王立ちしていた。

 手には大きな粗雑な斧を持っている。

 一応鉄製だろうが切れ味は悪そうだ。


「あれがオックスソルジャーか」


「はい、動きはのろいですが、力だけは本物なので気を付けてください」


「了解だ。とりあえず〈生物鑑定〉!」


 透かさず生物学バイオロギースキルの、〈生物鑑定〉を使った。


 迷宮兵オックスソルジャー ランクA+ 種族:巨人族 HP:1500/1500


「うん、余裕だな。ニケ、カルマどっちが倒すか競争な!」


「!!」

『!!』

 

 次の瞬間、ドドドドドドドドドドっっとふたりが走り出し、オックスソルジャーに飛び掛かった。


 俺は見た。

 番人であるはずのオックスソルジャーが、あまりの迫力に後退ったのを。


 その後には、オックスソルジャーのグモオオオオオオオオオオオという断末魔しか聞こえなかった。


「勝負結果は…ドロー!うーん、同時だったなぁ、残念」


 オックスソルジャーは、見るも無残な状態になったが肉は肉なので食料調達として上半身を解体して、柔らかそうな部分だけ肉隗としてストレージに入れといた。


 残った部分の一部は、ふたりがもそもそと食べていたのは見なかったことにした。


「これで、オッケーだな。あとはお前の仲間が無事かどうかだが」


「えっと、はい、ありがとうございます…」


 自分たちも倒した相手とは言え、それが何も抵抗できないまま瞬殺される瞬間を目の当たりにして呆けていた二人も声をかけてやっと正気に戻った。


 もちろん念のためにブーストしていたのも要因だが、数発殴られただけで倒される光景は結構ショックだったようだ。


「Sランク魔獣2匹を連れていくと、こんなもんだよ。まぁ、気にすんな!さあ、早く仲間の安否を確かめよう」


 といって、出口側の扉へ押していった。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッと重い音をたてながら開けていくと、正面に奥の方に降りる階段が見えた。

 さて、どこら辺にいるかなーと辺りを見渡すと、あった。


 あれがそうだろう。

 小さなテントが左側の方に張ってある。

 どうやら動けなくてビバークしていたようだな。


「ザイン!ダン!ミラ!」


 テントを見つけて駆けていく二人。


 その後ろから、俺らも付いていった。


 カイトがテントの中を覗くと倒れこんでいる3人がいた。

 息はあるようだが、力尽きて倒れこんでいるようだった。


 アイナは、慌てて3人の治療を始めた。


「ニケ、カルマ。ここで俺らをガードしてくれ。すべて瞬殺するんだぞ?」


 普段なら言わない厳しめな条件を出す。


「お任せください。ここらの雑魚で主の手を煩わせはしません」


『主様、承知しました。この者たちをお助けするのですね、まこと慈悲深き方。必ずご命令を達成しましょう』


「ああ、頼んだぞ。信頼している」


 そう言った後に床に魔法陣を書いていく。

 魔法陣は、スキルや魔法を思い浮かべると勝手に頭に浮かんでくるのでそれを写している感覚だ。


「カイト、アイナ。三人をこの魔法陣の上まで運んでくれ」


 憔悴しきった3人を治療していたアイナは、思ったより回復しないのに焦っていたが、俺の描いた魔法陣が何なのかわかったようで、素直に頷いてカイトと二人で3人をテントから運びだした。


「よし…。神聖術セイクリッド〈祝光〉!」


 魔法陣が強く光り3人を包み込んだ。

 3人の顔色が良くなったのを確認する。


「これで動けるようになるはずだ。次は…、精霊魔法アーク・アクアヒール!!」


 高級ポーションを取り出し、今自分で使える範囲回復魔法を掛けた。


『…主様、お力添えいたします。我が主に祝福を!』


 ニケから青いオーラが湧き出し、俺を包み込んだ。

 さらに回復効果が上がったようだ。


 さすが大精霊様だ。

 こういう時は本当に助かる。


 みるみるうちに、3人の傷が塞がりHPも全快までいったようだ。

 よし、成功だ。



「あ…、ここは…、アイナ?カイト?無事だった?!大丈夫!?」


「ミラ!何いっているのよ、それはこっちのセリフよ!ああ、良かった!!」


「ミラ!済まない。そしてありがとう、俺らを先に逃がしてくれたおかげで助けを呼べたぞ!ああ、生きてて良かった!!」


 ミラが目を覚まし、アイナとカイトが目に涙を溜めながら喜んでいた。


「う…お、俺は…。はっ!敵は!まだ出てないか!?」


「く…、カイ…ト。…ん?体が軽いぞ?あれ、カイト!!夢じゃないのか!?」


 そのあとザインとダンも目を覚ます。


 二人も、カイトとアイナの姿を見て助かったことが分かり両手を挙げて喜んだ!


「おおおおお!助かったか、助かったのか!?カイトよくも無事にここまで…!」


「お前ならやってくれると信じていたぞ。さすがにもうダメかと思ったが!」


 男3人も抱き合い喜んでいた。

 本人たちには申し訳ないけど、ちょっとムサイな。


 ちなみに、その間にリッチが2体湧いたが一瞬で消し去られたため、俺以外は湧いたことすら気が付かなかったようだ。


 カルマとニケ、グッジョブだ!


「それで、そちらの方は…?」


 ミラが俺に気が付き誰ですかと聞いていた。


「ああ、俺か?俺はな、カイトに雇われたしがないおっさんのテイマーさ」


 と軽めに挨拶した。


 呆気にとられつつも、なんでテイマー?という顔をしていたのでカイトが3人に説明をした。


 町に帰ってすぐに、ギルドマスターから紹介された事。

 地獄の塔や天使の塔を攻略した人である事。


 そして、自分たちを同じLBO出身者であること。

 依頼金は伏せていたが、正式依頼を出して受けてもらったこと等。


「そうか、あんたが居なければ俺らは力尽きてたかもしれない。本当にありがとう。あんたは俺らの命の恩人だ!」


 と、ダンは言ったが。


「まぁ依頼だからな。だが正直言って、俺が居て良かったな。その様子だと他の冒険者なら間に合ってなかったな。これからは、自分の命をもっと大切にしてくれな。俺も何度も助けにこないからな?」


 と返しておいた。


「それは、本当ですね。自分たちの実力を過信しておりました。助けていただいてありがとうございます」


 とザインもお礼を言ってきた。


 これで全員の無事を確認出来た。

 このくらいであれば、問題なく帰れるだろう。


「じゃあ、さっそくで悪いが俺にも色々やることがある。話はゆっくりと酒場でしよう。まずは町への帰還を優先させてくれ」


 そういうと全員頷き出発の用意をした。

 前衛はニケとカルマで、中衛が俺とミラとアイナ、後衛にカイト、ダン、ザインといった陣形を組んだ。


「ひとまずは、来た道を戻ろうか。よし、扉を開けよう」


 そう言って扉に手を掛けた。


 …開かない。

 なんでだ?

 あれ、ここって一方通行だっけ?


「アイナ、ここから以外に戻る道あるか?」


「いえ、ここは地下4階へつながる唯一の道で、ボス部屋を通らないとここには来れないですから、ここからしか戻れないはずです」


 そうなると、他の冒険者がこの扉を開けるまで待つしか戻れないという事になる。


 しかし、ここに来る冒険者などほとんどいない。

 それを期待するのは難しいだろう。

 そうなると先に進むしか方法はなくなる。


「地下4階から地下5階へ向かう階段前のフロアがセーフティールームになっていると聞きました。この扉があかないのであれば、そこにあるというポータルゲートを使うしか、戻る方法は無いと思われます」


 と、ミラが言った。


「しょうが無いか…、じゃあ一旦ここで休憩取ってから4階攻略に臨む。こっからは俺が指揮を取る。指示通り出来なければ死ぬからな?」


 そう言いながら周りを見渡すと、皆頷いていた。


「よし、素直で良いな。一旦食事も取ろう。ニケ、カルマ悪いが一旦また警戒に当たってくれ」


 そういうと、扉の近くに簡易テントと携帯炊事セットを取り出し食事の準備を始める。


「私達も手伝います!」


 とミラとアイナが準備を手伝う。

 今回の食事は、乾燥麦と干し肉を煮詰めたものとドライフルーツだ。

 あとリンが用意してくれた弁当を分け合って食べた。


 ニケとカルマはさっき食べたから、食事は要らないというので水だけ飲ませた。


「さて、これからの事だが…」

 

 ───また新たな攻略が始まるのだった。



いつもご覧になって戴きましてありがとうございます。


日々、見てくださる方が増えて、恐縮至極です。


また、ブックマークをしていただいて、本当に励みになっています。


重ねて有難うございます。


次回からダンジョン攻略となります。

1~2話で終わる予定ですので宜しくお願いします。


次回更新は、10/2 25:00頃迄の予定です。




次回もよろしくお願いします!

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