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おっさんテイマーは、はばからない!〜ソロテイマーだったのに、気が付いたら最強組織を作ってました〜  作者: 琥宮 千孝(くみや ちたか)
第一章 (始まりの冒険編)

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天使の塔へ(決戦)

虚像のウリエルを退けたユート達、残るは3体。

無事に倒すことは出来るのか?

『『さぁ!天の裁きを与えましょう!!』』


 2体の虚像の熾天使セラフが、戦闘を仕掛けてきた!


 ラファエルは風、ガブリエルは水を操るようだ。


『切り裂け。〈風刃〉!』


 ラファエルが鋭い風の刃で辺りを切り刻む。


『させません、風よ散れ!』


 すぐさま、嵐と雷の化身(ファルコニア)たるニケが無効化する。


『穿つ水の杭。〈水牙〉』


 静かに、すらっと発動された。

 手をかざした場所の地面に、銃でも撃ち込まれたかの様にズガガガガガガと、無数の穴が空いていく。

 

 慌てて飛び退き回避する。

 一撃当たったが、すぐに魔法で回復した。


 観察してたカルマは魔法陣を展開する。

 その数は20。

 それぞれから、眷属”デーモン”が召喚された。


「我が眷属達よ、ラファエルを狙い撃て」


 スキル利用で硬直しているラファエルに、闇魔法の連打で狙い撃つ。

 シャドウジャベリンがラファエルの体のあちこちに突き刺さった。


『ぐっ!だがこの程度で、私を止められぬぞ?はあっ!』


 気合いだけで、突き刺さった槍を吹き飛ばす。

 そして、からだの傷が癒やされていく。


 さらに、魔法を発動した。


『受け取れ。トルネード!』


 巨大な竜巻が辺りすべてを巻き込んでいく。


『風たちよ、偽りの支配から解き放たれよ!』


 またも、ニケはラファエルの風魔法を無効化した。


『小癪な。風が効かぬなら直接攻撃するまで』


 そういうと、剣を構え空中から振りかぶってきた。


「グラビティホール!」


 カルマが、重力魔法によりラファエルの動きを止めた。


『な、馬鹿な!』


 予想していない拘束力に、身動きが取れないラファエルは、初めて焦りを見せた。


『させません。ディスペル!』


 ガブリエルが魔法解除を使う。

 が、眷属たちがそれを邪魔した。


 ガアーーー!

 と、吠えると魔法を連打して相殺していった。


 その間に、カルマとニケは魔力を込めた直接攻撃を仕掛けた!

 ドゴオォン!ズシャアアアアッ!


 見事に直撃し、HPを3分の1削った。

 さらに、スキルを使う。


「黒炎」

『ライトニングブレス!』


 体に黒い炎が絡み付く。

 そこに強烈な稲妻のブレスが襲いかかる。

 身動きが取れないラファエルは、直撃を受けてさらにHPを減らした。

 自己治癒により回復を試みるラファエルだが、黒炎に阻止されて回復出来ないでいた。


『なんと…忌々しいスキルを持っている!』


 回復を諦め反撃しようとするが、まだ重力に囚われうまく動けない。


 そして、その好機を逃すはずもなく、ふたりは畳み掛けた!


「インフェルノ!」

『ライトニングストライク!』


ゴオオオオオオオオオオッ!ゴゴゴゴロゴロ…ゴゴーーーーーン!!

 二人の強烈な魔法により、ついにラファエルのHPを削りきった!

 

 ラファエルは、金色の灰にもどり消えていった。


「ナイスだ!ふたりとも!残るはガブリエルだ!油断はなしだぞ!」


 そう言いながらも、ガブリエルにボーガンを撃ち込む。

 神秘術ミスティックで、闇と雷を付与してある。


『なんと、ラファエルが!仮の身体とはいえ、我らを圧倒するとは…ふふ、面白いニンゲン達ですね!』


 ガブリエルは、そういうと両手を広げる。

 大きな魔法陣が出現した。


『ダイダルウェイブ!』


 魔法陣から溢れ出した水が、盛り上がっていく。

 そのまま天井まで上がったかと思ったら、大波となって一気に押し寄せた。

 

「あ、ヤバイな。フィアはゲンブの中に退避!あとは、なんとか耐えろっー!」


 そう言って間もなく、大波に呑み込まれた。

 ドーーーーーン、ゴボゴボ。

 激流が全身を容赦なく襲いかかり、あちこちから打ちつけてくる。

 さらに、息が出来ないため窒塞しかけた。


「がはっ、げほっ。みんな無事か!?」


 波が引いて周りを確認した。

 リンと、シュウはゲンブが回収していたようだ。

 ナイス判断!


 カルマとニケは、咄嗟に上空に躱した様だ。

 そして、上から狙いを定めていた。


穿つらぬけ、エビルジャベリン」


 禍々しいオーラを纏った槍が魔法陣から無数に飛び出し、ガブリエルを穿いた。

 

『風の大精霊たる私に従い、嵐を起こせ!〈大旋風だいせんぷう〉!…そして、吹き飛べ〈轟雷ごうらい〉!』


 強烈な嵐を起こし、ガブリエルを風の刃で斬り刻む。

 更に、雷を自身に纏い眩く光ながら突撃し、乱舞を打ち込む。


『ごはっ!かあっ!ぐおおおぁ!?』


 大技で固まっていたガブリエルは、上空からの強烈な攻撃の連続に耐えかねて呻いた。


 大波が消えた後にポーションを飲みながらダッシュし、痛みが消えたのを確認するとすぐに双剣で追撃を開始した。


 ズザザザザッ、ズバッ!と、音をさせて幾重にも斬り込んでいく。

 ここまでの、攻撃でHP5000を切ったのを確認した。


 反撃をもらう前に素早く離脱した。

 ドンッ!ドガガガガ!と打ち下ろしてきた剣技が、地面を抉っていく。

 間一髪だ。


「隙だらけだな!デカブツは的が大きくて助かりますね」


 と、カルマは挑発しながらも〈黒炎〉を発動して、闘気アタックをした。


 ガブリエルは回避しようとするが、振り降りした剣を戻しきれてない為に間に合わない。

 次いでニケがライトニングブレスで追撃した。


『次から次へと、鬱陶しい!ライトブラスト!』


 ほぼ、ノータイムで魔法を発動させユート達に放った!


「うおっ、ぐぅぅっ!このくらいでっ!」


 俺は不意を付かれて直撃を食らったが、大したダメージではない。

 痛みを無視してそのまま突っ込む。


『さぁ、受け止めなさい!でぇぇい!!』


 自分の身長ほどある剣を振りかざしてきた。

 それを、双剣をクロスして受け止めた。


「ぐおおおっ!」


 気合烈帛して、なんとか、受け止め弾き返す。


『なんとっ、ニンゲンで耐えるのか!』


 弾かれた事に、ガブリエルが驚きを表した。

 ここがチャンスだ!


「ニケ!カルマ!」


「エビルジャベリン!」

『〈天嵐〉!』


 ガブリエルに、無数の槍が体を穿き、凶悪な嵐と雷がガリガリとHPを削っていくのが分かった。


「コレも喰らえ!!」


 ボーガンに、光と雷を付与して撃ち出す。

 光速の雷となり、目に見えない速さで穿いていった。


『があああああああああああっ!!!』


 最期の断末魔を、あげてついにガブリエルも金色の灰に戻って消えた。


 ハァハァと、みな既に息が上がっている。

 MPにも余力が無くなってきた。


『ふむ、ここまで良くやりましたね。その魔獣系達が凶悪な力を持っているようですが、ここまで使いこなしているお前もなかなかなものだ』


 ミカエルが面白い、と頷いて言う。


『さて、私で試練は終わりだ。見事に倒せれば、この先に()()()()行けるようになるだろう。さぁ、かかって来いニンゲンよ!』


 荘厳な声と態度で、虚像のミカエルが剣を構えた。


「先手は戴くぞ!ダークネスバースト!」


 黒い渦が相手を包み込み、中心に集まったかと思うと、

一気に膨張して爆発した。


『貴方にだけに良い格好はさせません!〈召雷〉!』


 ミカエルの頭上に、雷が集まる。

 ドオオオオンッ!と、いう音と共に稲妻が落ちた。


「これでも…喰らえっ!」


 神秘術ミスティックで、闇と雷を付与してボーガンを撃ち出す。

 …ん、マズいな、そろそろ矢が切れそうだ。


「ガント!矢を用意してくれ!」


「もう、用意した!これを使え!」


 既に用意されていた矢を受け取った。

 ついでにポーションも補充してくれた。

 

 そこでガントが何かに気が付いたように警告してくる。


「ユート!床の灰が光ったままだ!あれ、散らした方が良くないか?」


 と、早口に言う。


「分かった、念の為()()()()()!」


 そう言うと、素早く神秘術ミスティックで爆発、炎、風を付与する。


『ふむ、良いところに気が付く。だが、既に遅い。いでよ…〈天軍〉!』


 ミカエルのスキルで宙に灰が集まって行く。

 そして、次の瞬間に煌きながら広がった。


 現れたのは、30体の金色のヴァーチャー達だ。


『さあ、始めましょう。これからが、本当の試練です。さあ、行きなさい我が僕たち』


 ミカエルの号令で、ヴァーチャー達が一斉に襲い掛かってくる。


「ユート!いくらなんでも数が多い!リンとシュウ、フィアも参加させるぞ!」


 ガントがいち早くゲンブのカーゴに避難していた仲間たちを再び呼び寄せた。


「パパ!ヴァーチャー達は任せて!パパたちはミカエルを!」


「ユートさん、俺らも頑張るから頼んだよ!カルマ、ニケ!頼んだね!」


 二人は、出てすぐ臨戦態勢を取った。


「フィア!全力で3人を守れ!そこの天使たちを灰に還してやれ!」


 フィアはにゃ~んと鳴くと、体から炎を立ち込めた。

 次の瞬間には、体が大きくなり本来の姿の炎のヒョウの姿になった。

 そのまま、〈炎体分身〉を発動し、最大の10体を出現させた。


 グルルルルゥ、グアアアアアアアアアアアアアオオオオオオオオ!!

 一斉に、咆哮をあげて辺りにいるヴァーチャー達に襲い掛かった。


「よし、リン。俺らもやろう!ガントさん指示お願い!」


「分かったよ、シュウ!いくよー。武技アーツ発動!〈連武〉、〈天恵〉、〈剛力〉、〈瞬足〉!!『空中戦闘術エアリアル』発動!」


 惜しみなく使える武技を発動する。

 また、それと同時に空中攻撃に強い『空中戦闘術エアリアル』を発動した。


 シュウも再度武技を発動する。

 

武技アーツ発動!〈連武〉、〈天恵〉、〈剛力〉!!『空間支配ゾーン』発動!!」


 シュウは、空間把握力をあげて、一撃必殺に掛ける。

 取りこぼした敵はリンがうまく止めをさしていった。


 グアアアアアアアアアアアアアオオ!!と鳴いて、フィアがスキルを発動した。

 体を真っ赤に燃える炎を纏い、ヴァーチャーの周りを走り出した。

 フィア達は真っ赤な炎の円となり、渦となり、炎の竜巻になり天使達を包み込んだ!


 フィアは〈業炎の竜巻〉を発動した。

 一定時間、範囲内の敵に炎による大ダメージを発生させることが出来る。


 一体、また一体と燃え尽きて地面に落ちて、今度はなんの輝きもない灰になっていった。


「俺も、いくぞー!これならどうだ!」


 シュウは、出てきたヴァーチャーにコンビネーションを使って攻撃している。


 上段に片手で構えてから、右、左、右、左、右と斜めに斬り、そこから両手で持って横に1回転半しながら中段を斬り、最後に後ろ向きからの上段からの袈裟懸けでフィニッシュ!


 シュウの〈無双乱舞むそうらんぶ〉で、一体のヴァーチャーが灰になって消えた。


「いくよっ!…はぁっ!奥義〈紅鈴のこうりんのまい〉!!」


下段に回転2連撃、上から真一文字で一閃しつつジャンプして斜め回転しながらの上段、中段、下段の3連撃のアクロバット業を撃ちだして、リンもまた一体のヴァーチャーを灰に変えた。


「主の邪魔をさせぬ!消え去れ雑魚どもよ。イビルフレイム」


 カルマが無詠唱で禍々しい炎で包み込み、ミカエルの前で構えるヴァーチャー達を一瞬にして灰に変えた。


『私の嵐で消えなさい。〈天嵐てんらん〉!』


 ニケは複数の竜巻と強力な雷を放った。荒れ狂う風で切り裂き、強力な雷で焼いていく。


「喰らえ!ダークブラスト!ファイアブラスト!!」


 〈連続魔法〉を発動し、取り囲むヴァーチャーを吹き飛ばす。

 さらに、ダメージ受けてよろめいた一体を見つけて、双剣で2連撃を入れて灰にした。


 ここまでで、やっと半分。

 ミカエルに直接攻撃しようにも、ヴァーチャーが邪魔でなかなかたどり着かない。


「くう、数が多いな。…クロ!俺のもとに来い!」


 残りの雑魚をニケとカルマに任せて、クロを呼び寄せた。


「オヨビデスカ」


 クロが影からにゅーーぅっと、出てきた。


「よし、俺を乗せてくれ!中央を突破するぞ!」


「オオセノママニ」


 クロはそういうと、体を()()()()()、いつもの倍くらいの大きさに変化した。

 えっと…いつのまにそんな芸当を…!


「気にしたら負けだな…。よし、いっくぞ!」


「ショウチ!」


 俺を乗せると、カルマのように()()()()動作で、天井付近まで駆け上がる。

 そして、そこから急下降してミカエルの頭上まで急接近した。


『ヤラセナイ』


 ヴァーチャー達は俺らを阻止するように、自分たちを壁にしてミカエルを防衛する。


「ジャマスルナ。クラエ。〈デーモンブレス〉!」


 クロは、急降下状態から、黒くまた赤い光を帯びたブレスをヴァーチャー達に浴びせた。

 ヴァーチャー達が呻き声をあげて吹き飛んだ。


「ここだああっ!神秘術ミスティック発動!爆・炎・闇!くらえーー!!」


 攻撃と同時に、スキルで双剣に属性付与する。

 ズバッ!ザシュッ!…ドーンッ!!

 と、切り裂いたあとにミカエルは爆発した。


 ついでに、通り抜けざまにボーガンで追い打ちを撃った。

 ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドオオオンッ!

 さらにミカエルは爆発した。


「主、なかなかやりますね…。クロも成長しているようだ。ここは負けられないですね」


 そういうとカルマは、4つの大きな魔法陣を出現させる。


「アークグラビディフィールド!」


 魔法陣から黒い大きな球体が出現し、ヴァーチャー達を吸い寄せた。


「燃え尽きろ!イビルインフェルノ!」


 さらに、集められた場所に大きな魔法陣が出現した。

 そこから、悪魔の顔をした邪悪な炎がぶわっと出現し、ヴァーチャー達を()()()()


 途端、ゴオオオオオオオオオオッ!と燃え盛り多くのヴァーチャーが灰となって消えた。


「えいっ!やあああっ!」

「うおおおおお!〈無双天舞〉!!」


 と、リンとシュウも奮戦している。


『ここでお別れです。消えなさい使徒たちよ。………大精霊魔法”ミラージュエクリプス”!!』


 ずっと詠唱していたらしいニケが、大魔法を発動する。

 あたりが、電磁波のような細かい雷に覆われたかと思うと、ヴァーチャー達が七色の光に包まれた。


 包まれた、ヴァーチャー達は身動きが取れないまま、その光の中で七色の雷に焼かれ消滅した。

 

 これでヴァーチャー達は一掃した。

 あとはミカエルだ!


『ほう、お前…なるほど大精霊の化身だったか。どおりで今の我らに近い力を感じるわけだ。だが…調子にのってくれるなよ?時間を待っていたのはお前だけではない。…来たれ、我が力の象徴よ。彼の者共に我が審判を下す。───〈天の裁き〉!』


 一瞬にしてフロア全体が光に包まれた。


 そして上から超重力と光属性の魔力が押し寄せる。


「!!ぐああああああああ、なんつー魔法だ!」

「うお!うがああががああがあっ!」


 ユートとガントが苦痛に呻く。


「きゃああああああああ、かはっ!…」

「うわあああああああ!がぁっ!…」


 リンとシュウも、押しつぶされる。

 ランクの低い二人は、耐えきれずに気を失った。


 グラアアアアアオ!グオオオオオオン!とフィアとゲンブも大ダメージを受ける。

 しかしゲンブは、その中でゆっくり動いて、リンとシュウを首を伸ばして咥えるとカーゴに回収した。

 さらに、分身を解いたフィアを背中に乗せてから〈絶対防御〉を展開した。


 しばらく動けないが、これでしばらくはもつ筈。

 ゲンブ、ナイス判断だ!


 光が引いた後、俺らはボロボロになってた。

 あれを喰らって生きていただけも自分を褒めてやりたい。


 ガントは、いつのまにか取り出してたサマエルのマジックアイテム”死天使のローブ”を羽織り、聖属性を半減してたようだ。


 意外と機転が回るな。

 あ、でも今のでローブがボロボロになったか。


「くそ、売るつもりだったのに!あの野郎!絶対いいもの落とさないと許さねぇ!」


 とか、身勝手な文句を言っていた。

 やっぱりガントは、ガントだ。


「うぐ…、はぁはぁ。よし…ゲンブ、いい判断だ!そのまま防御保持していろ!」


 全身の痛みをこらえてゲンブにいうと、グオオン!と返事した。


 MPがやばいな。


 残り3割切っている。

 他の仲間たちも同じようだ。


 ミカエルのHPは…うーん、丁度10000位ってとこか。

 まだ結構減らさないとダメだな。


 相手は純粋にSSランク。

 しかも、それなりにステータスも高いようだ。

 

 だが…、一撃死の攻撃はもっていない。

 そう、あの男のような暴虐なスキルを持ってもいないのだ。


 だから攻略は可能だ。

 耐えきれるし、回復出来るのだから、死ぬことはない!


「カルマ、ニケ、クロ、フィア。スキル用意!最大攻撃でいくぞ!」


 スキル、アニマコマンドを再度発動する。それぞれの最大攻撃で瀕死にまで追い込みたい。


「承知した!グラビティフィールド!…イビルインフェルノ!」


 カルマは重力魔法で相手の移動を阻害しつつ、威力の高い攻撃魔法を撃った。


『いけ、トルネード!…そして、喰らいなさい!〈天嵐〉!!』


 ニケもMPを使い切る勢いで、魔法とスキルを発動していく。

 さらに羽根にも魔力を通して青いオーラを纏った羽根ダーツが、ミカエルを貫いていく。


 ミカエルが、ふたりの攻撃を受けて、ウオオオオオオオオオオッっと雄たけびを上げた。


 その様子を見ていたフィアも、再び魔力を溜めていく。


 するりとゲンブの結界から抜け出すと体を大きく変化させた。

 そして、〈炎体分身〉により5体を呼び出した。


 最大数を出すにはMPが足りないようだ。


 影に隠れて難を逃れていたクロも地面から出てくる。

 そして、〈眷属召喚〉を使い5体増えていた。


「ワレモ、アタラシキチカラヲ、オミセシマショウ」


 そう言うと、()()()黒い稲妻を体に纏わつかせて、ミカエルの周りを走りだした。

 どんどんスピードが上がっていく毎に、その稲妻の量が増えていった。


「イクゾ。オウギ〈黒雷ブラックスパーク〉!!」


 ミカエルの周りを高速で走るその姿は、黒い稲妻で出来た竜巻のようだ。


 どんどん竜巻は狭まっていき、そのままミカエルを飲み込んだ。

 バリバリバリバリッ!と、凄まじい音を出して黒い稲妻がミカエルにダメージを与えた。


 ミカエルは、追撃によって受けたダメージでグアアアアッっと声を上げてよろめいている。


 そこに、分身したフィア達がさらなる追い打ちをかける。

 グルアアアアアアアアアッ!!と、咆哮し、体の炎を大きくする。

 フィアもミカエルの周りを走り出し、炎の輪となっていく。

 そして、四方から中心にいるミカエルに炎の弾丸となって体当たりをしていった。

 

 炎を纏った強烈な体当たりと囲まれた炎によるダメージで、さらにミカエルのHPを削っていった。


「よし、まだまだいくぞ!…炎よ雷よ!彼のものを滅ぼす力となり、灰塵と変えよ!…精霊魔法、ライトニングフレイム!!」


 覚えたての、複数属性の精霊魔法をミカエルにお見舞いした。

 初めてだったので、ドキドキしてたが問題なく成功したようだ。


『ぐおおおおおおおおおおぉっ!…勇者以外に、この体でここまで追い込まれたのは、数十年ぶりだ…。ふふふ、お礼にこれを差し上げよう。〈裁きの槍〉!』


 そういうと、力を溜めて腕を振り下す動作をした。


 光り輝く大きな槍が空から現れて、恐ろしい速さであちこちに降り注いだ。


 俺は咄嗟に、それらを回避したが何度か掠った。


 他の皆も、うまく回避しているようだが数とその降り注ぐ速度が尋常じゃない。

 ヒュンヒュンヒュン、ドンドンドン、ヒュヒュヒュン、ドドドン!!

 何度か回避しきれず、ダメージを貰ったようだった。



 だが…


「この程度で終わりか?ならば、…ここでお別れだ!」


 カルマは、そういいながら魔法陣を作り出す。

 数は4つ。

 そこから悪魔の顔をした炎が顔をだしミカエルに襲い掛かった。


 さらにニケもスキルを使って畳みかけた


『私の雷で落ちなさい!〈召雷〉!!』


 ドーン!とイビルフレイムで燃え盛るミカエルに大きな雷が落ちた。


 追撃で、フィア達は一斉に口からファイヤーボールを吐き出した。

 さらにクロ達も魔法を展開しシャドウジャベリンを発動したあと、口から赤黒いレーザーみたいなブレスを吐き出した。


 〈黒雷ブラックスパーク〉のビーム版みたいなものだ。


 皆が最後のとどめとばかりに、様々な魔法やスキルを使い叩き込んでいく。

 その間に、ミカエルのHPを再度確認した。


 虚像の熾天使ミカエル ランクSS 種族:熾天使 HP1374/12800

 

 !よし、あと少し。

 だが俺のMPも残り僅かだ。

 スキルが切れる前に畳みかけるしかない。


「ニケ、カルマ、クロ、フィア!あと少しだ!いくぞ!」


 そう言うと、全員がおう!と応じ最後の肉弾戦に移行する。

 

「ここから回復されては厄介だ、〈黒炎〉!さあ、喰らえ!」


 カルマが、黒い炎を纏い体当たりを繰り出す。

 ぶつかると同時に、黒い炎がチリチリとミカエルを灼いていく。


『はぁぁぁ!喰らいなさい!』


 ニケが青い羽根の弾丸を撃ちだす。

 ドドドッと、着弾しバリバリと電気を帯びる。


 そこに目掛けて、空中に飛び上がってから急降下して右前足を大きくスイング、そして魔力を纏った一撃でミカエルを吹き飛ばした。

 当たった瞬間に羽根がスパークし、さらにダメージを重ねる。


「これで、最後だ!」


 そういいながら、神秘術ミスティックで双剣に闇と爆破だけを付与して、効果が消えないうちに叩き込んだ。


 ミカエルも最後の反撃とばかりに、体から黒煙を上げながらも剣で振り払う。

 一合、二合と切り結ぶ。

 力はほぼ同等。

 いや、スキルがある分こちらが上か。


 三合目で、ミカエルの剣を弾き飛ばした!


「これで、終わりだああああああっ!」


 右手で弾き、左手に持った剣で横薙ぎに一閃。

 そして、通り抜けすぐに切り返し、左右の剣で切り裂いた。


『グオオオオオッ!!……く、ここまでだな。期待以上だニンゲン。だが、まだまだ足りない。もっともっと鍛えるのだニンゲンよ。主はお前を…』


 そう言い掛けて、ドオオン!と光が天井に昇っていき、ミカエルは灰に戻った。


「よし…、終わった。勝ったぞ皆!」


 おっしゃーと、ガッツポーズを取った。


 ゲンブが、〈絶対防御〉を解いた。

 そして、中からシュウとリンが飛び出してきた。

 中で、意識を取り戻してたみたいだ。


「ユートさん!やったんだね!さっすが!」


「パパッ!すごい、やったね、すごい!!」


 子供たちが、意識を取り戻したばかりなのにダッシュでこっちにやってきた。


 ステータス紋で、自分のステータスを見た。


 名前:ユート 年齢:41歳 性別:男 ランク:Sランク 職業:調教師(テイマー)

 HP:752/1800 MP:47/1500 SP:180/1400

 

 うん、かなり危なかった。

 MPとSP切れたらコマンドが切れて一気に劣勢になりかねない。

 …うーん、なんとかMP/SP回復ポーションとか入手しないと、この先危ないなぁ。


「主、最後は見事でした。段々、体のキレが戻ってきましたね」


 とカルマに賛辞を贈られる。


 ん、戻ってきた?

 そういや思ったよりも体が動くようになって気がするな。


『主様、これで地上に帰れるようになりますね。例の男の事もありますし、あそこに現れた報酬を回収したら一旦戻りましょう』


 と、ニケが提案してきた。


 確かに、安全確保してさっさと帰らないと。

 今、何かに襲われたらひとたまりもない。


「ユート!さすがだなぁ。俺は、回収作業やっとくぞ。お前もMPほとんど無いだろうが、回復とかしといてくれ」


 ガントは、今の状況をよく分かっているようだ。

 率先して、帰るための準備を行ってくれている。


「とりあえず、シュウ、リンはこれを飲んでおいてくれ」


 シュウにポーションを2本渡した。

 これで、二人のHPは回復出来るはず。


「ニケ、精霊魔法でフィア、クロ、ゲンブを回復してやってくれ」


『承知しました、主様。ポーションは借りていきますね』


 そういうと、差し出した高級ポーションを丁寧に咥えていった。


「カルマは、俺が回復しよう」


 魔法ではなく、獣医学バラナリースキルのペットポーションでの回復をさせていく。


 獣医学バラナリースキルは、パッシブスキルなので、スキルを所持しているだけで効果が勝手に現れるものだ。

 なので、俺がペットポーションを使うと、スキルを持っていない人に比べて、2ランク以上いいもの使った時と同じになる。


 なので、中級ペットポーションでも、俺が使うと…あら不思議!すべての傷が一瞬で消えました!という、具合だ。


 ちなみに、SPもMPも消費しない。

 難点は、効果が出るまではペットの近くにいないといけないので、戦闘中の使用には不向きな点だ。


 さて、全員の治療が終わったようだ。

 俺も、ニケに治療してもらった。


 全員、HPが満タンだ。

 〈祝光〉とか使いたいが、MPが足りないため離脱を優先することにした。


 ガントも回収が終わったようだ。

 と、いっても金色の灰と、マジックアイテムが数個落ちてただけらしい。


 今回もアーティファクトが入っていなかった。

 残念だ。


 …いや、大量の灰に埋もれて出てきたものがあった。


 小さな宝箱だ。

 カギは…開いているらしい。


 ガントが、お前が開けろとよこしてきたので、俺が開けた。

 その中には、腕輪が1つ入っていた。

 それをガントに鑑定させる事にした。


「おぉ、これはアーティファクトだな。間違いない。しかし、効果が転移門の利用が可能になると出ているな。効果は、パーティー全員に及ぶとさ。あと、装着時にMP回復効果が現れるだってさ。1秒で5回復だってさ」


 !?まじかっ!

 さすがアーティファクト。


 MP回復とか、金貨1枚以上の超高級ポーションか、自然回復しかない。

 自然回復だと、1分で1%の回復だ。

 1秒で5回復だと、今のMPなら300秒…イコール5分で全快する。

 しかし、自然回復だと100分かかる。

 これ、普段の戦闘ならポーションなくてもやっていけるかも。


「で、最後に。『この腕輪を持つものは、塔の主への挑戦権を得る。これを持つものは、さらに上層階へと繋がる扉が開くことが出来るであろう』だってさ」


 ミカエルが言ってた、主ってやつか。

 うーん、いつかはチャレンジしたほうがいいかもしれないな。


 しかし、今は暖かい風呂と飯だな!


「そうか、ありがとう。さて、とりあえずクエストも達成したし、帰ろうか。あの扉でたらポータルゲートがあるはずだ」


 と、いい。宝箱はゲンブに入れておくかとしまおうとする。

 それをガントが止めた。


「その腕輪は、ユートお前がしておけ。今回思ったが、お前のスキルが使えないとこの先も厳しい。MP回復はかなりいいんだろ?常時装備しておけ」


 といって、渡された。


「だが、報酬は…」


「いや、これだけはお前用だ。俺らの為にもお前が使ってくれ。みんないいよな?」


 と、リンとシュウに向かって聞く。


「え?そんなの当たり前じゃん?ユートさんがリーダーでしょ?使ってよ」


 シュウは、さも当たり前だと言う。


「うんうん、MP回復も大事だけど、転送門とかっていうのも関係するなら、パパ以外に装備するひといないよね?」


 と言って、リンは俺が持たされてた腕輪をするっと俺の左腕に付けた。

 腕輪から、力が流れ込んでくるのが分かった。


「おお。すごいな魔力が流れてくるのが分かる。あ…、これ、塔のMAP見れるようになるな。そんな副効果あったのか。よし…とりあえず、ポータルで外に出よう」


 そういうと、みんなを引き連れて入ってきた扉と反対側の扉を開けた。


 扉を開けてすぐに、青く光る魔法陣が見えた。

 腕輪も指示しているが、あれは外との出入り口だ。

 あれに入ると、1Fの出入り口ゲートに出るようだ。


「腕輪の事もあるし、みんな先に入ってくれ」


 みんな、素直にはーいとか、おうとか言って入っていった。

 念のため、最初に入ったのはカルマだった。



 ───全員、無事にゲートを抜けて塔の入口に戻ってきた。

 試しに、もう一度入ってみたら、さっきの場所まで戻れた。

 これでいつでも、20階から探索を再開出来ることが分かった。

 

 外は、すっかり夜だ。

 正直、おなか空いた。


「なんか、途中でヤバイことになったけど、こうして無事にクエスト完了および脱出出来た。お疲れさま!こっからまだ帰るのに1時間くらいは掛かるから、各自水分だけは取って、すぐ帰宅するよ」


 みんなは、はーいと言いつつ荷物チェックと、それぞれの相棒の背中に乗っていく。


 ニケは、ガントとゲンブだ。

 カルマは、俺とリンフィアを乗せる。

 そして、クロがシュウを乗せて高速移動を開始した。


 そのうち、ウルフライダーとかになりそうだな…。


 とにかく、目的は達成した。

 まずは帰って久々の酒場飯だ!


「よーし、帰るぞ!しゅっぱーつ!」


 そういうと、ニケとカルマは高速移動しつつ競争して帰るのだった。

 …クロは、意外なことにそんなふたりの競争に平然とついていってみせるのだった。

いつもご覧になって戴きましてありがとうございます。

また、ブックマークをしていただいて、本当に励みになっています。

重ねて有難うございます。


日々、見てくださる方が増えて、恐縮至極です。


今回は、残りの天使達との戦闘を書きました。

戦闘シーンしかないので、かなり書くのに苦戦しました。


もっと、表現方法を増やしていけたらと思います。


さて、次回は町に戻ります。

クエスト報告して、お金を手に入れるユート達。

あれ?そういえば主人公忘れている事ない?


さて、なんのことでしょうね。


次回更新予定は、9/10 25:00頃を予定しています。


次回もよろしくお願いします!

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