最後の試練
—水原左凪—
私の名前は水原左凪
ちょっと前までは普通の高校生だったのだが、ひょんなことから神様と出会い、神様は私のために異世界で食堂を経営させてくれたんだ。
私の夢は看護師になることだったんだけど、なんでそうなったんだっけ?
とにかく、私の異世界生活は大変だった。異世界に着くなり神様の用意してくれた食堂の中。内装はカウンター5席に2人用のテーブル席が2つ。カウンター越しには調理場があり、調理場の奥には思った食材が出て来る不思議な倉庫。なんとも贅沢な食堂だった。
設備に不備はなかったけど、一高校生がいきなり元の世界とそっくりだと言っても身寄りのない異世界で食堂を経営しなくてはならない。神様は私のために動いていたはずなんだけど……神様はいったい何を考えているのか。
私は趣味程度にしか料理を作ることはなかったので一番最初に難航したのはメニュー作りだった。
なんとか不思議な倉庫のおかげで数少ない自信があるレパトリーでメニューを完成させたのだけど、異世界生活の最初の頃にお客さんの中で素人の飯には金は出せんとか言う人がいた。
去っていくお客さんをうな垂れて見送り、夜になって枕を濡らすことしか出来なかった。
素人料理だって、美味しいと自信のある物しかメニューにはしてなかったのに。私はプライドをズタズタにされた。でも折れるわけにはいかないと思ってた。
だから私は、その日から味付けの研究とお客さんとの会話をいっぱいするようにして、その人がどんな味付けが好きなのか、その人に合わせて料理を作って行くようにしたんだ。
元々お客さんは少なかったし、その人に合わせて料理を作るのはお客さんと仲良くなれて楽しかった。
大変な異世界生活だったけれども、そこで仲良くなった荒岩中吉くん、丸井有子さん、出口蘭さん、瀬戸蒼くん達の力を借りて食堂の切り盛りを続け、見事に神様の試練である、声の大きいおばさん、内海さんの舌を納得させ、この世界に戻ってきたのだ。
私の生活は全て元通り、になるはずだった。
異世界から帰還して住み慣れたアパートの一人暮らしに戻ったが、しばらくして事件が起きた。
隠れる場所などどこにもないアパートの入り口で、私の目の前で突然人間が現れたのだ。
彼は私と同じで異世界転移をしたのだと言う。彼には身寄りがなく、私と彼の共同生活が始まったのだ。
男の子の名前は、内海昴。
—恋愛の神様—
「さあ、最後の試練だ」
水原左凪は記憶を失っていた
想い人から居候に降格した内海昴
彼らの生活はいかに
次回『たとえどんな世界でも』
最終章 共同生活
結末までもう少し、ここまで読んでくれて本当にありがと




