エピローグ この世界の勇者
—丸井有子—
スバルくんが消えてから半年が過ぎた。
あの日、スバルくんが置いていった資料を読み解いて、オレは修羅院を良く知ることになった。
正直、修羅院の発想は飛躍し過ぎてて理解できなかった。
でも絶対的優性遺伝によるモンスターの制御には成功し、世界からモンスターはいなくなった。
それからは大忙し。
第二次超世界会議なんてものにオレは出席を強要され、現在社会で問題となっている帰還勇者と無能力者の格差問題に置いては、総責任者なんて呼ばれる始末だ。
急いでスバルくんが残した膨大な実戦データを元に、“らぶりんグ„は量産を開始し、無能力者のみんなに使い方を説明して回る日々を送っている。
無能力者のみんなは昔の生活を取り戻して来ている。いや、勇者の力によって世界は更に発展していくだろう。
半年しか経って無いのに世界は大きく変わった。勇者はまだまだ帰還してくるし、犯罪勇者はいなくなってない。
それどころか“りんグ„による犯罪だって問題になりはじめている。
でも、それは私が作った物が悪いわけじゃない。完璧に平和な世界なんて幻想だ。
私が作った物が犯罪に使われるのは悲しいけど、私は胸を張って“りんグ„の製作者なんだと言える。
だって、これは私の大好きな研究チームと、この世界で力を身につけてこの世界の危機を救ってくれた、私の大好きなこの世界の勇者が一緒になって作った、人に笑顔を取り戻す装置なんだから。
◇
—水原左凪—
「おめでとう内海昴。この世界での君の目的は達成されたよ。君はこの世界から出られる。すぐ帰る?でも、何か託されたみたいだったし……ちょっとだけならいられるよ。どうしようか……。オッケー」
神様はスクリーン越しに内海くんと会話をし終えると、私とこの映画館から辺り一面真っ白な空間へと移動した。
「さて、水原左凪。これから君は異世界へと行くことになる。君は今、内海昴に相応しく無いと思ってるだろ」
「……神様は、なんでもお見通しなんですね。でも、私彼に相応しくなれるように頑張りますから、大丈夫です!」
私がそう決意をあらわにすると、その決意をよそに、神様は穏やかに言った。
「必要以上に頑張る事なんて無いよ。元々告白された側は最初から愛されてるからね。君は君の日常生活を、考え方を内海昴に観てもらえばいい。ありのままの君を観せて、内海昴がそれを愛してくれるかを待てばいいんだ」
そう言って、神様は更に私を激励してくれた。
「内海昴は確かに君に恋をして変わったよ。水原左凪も彼に恋をして変わっていくだろう。でもね、相手に負い目を感じて必要以上に自分を変える必要なんて無いんだ。君はちょっと事態を重く考え過ぎてる!安心しろ!君はいい女だよ!」
「ありがとうございます。でも、私だってちょっと良いところ見せたいです!」
「そっか!でも、内海昴や瀬戸蒼見たいな壮絶な異世界生活にはならないよ?告白を受けた側は最初から愛されてるから、ちょっとだけライトな世界になるんだ。君が得意なのは料理だね。君も内海昴もいない料理の世界へご案内するよ。僕名義で食堂を作っといたから、そこで君は店長をやっててよ。ボスは客でくるからー」
そうして、私の異世界生活は始まった。
そして半年が過ぎ、私の異世界生活は終わった。
思い起こせばあっという間の出来事だ。
次回予告
丸井有子は前を向いて歩き続ける
そんな半年の時間は、水原左凪の異世界生活を終わらせる
やけに1章で主人公達の家族の話を出してたのは、異世界でのキーキャラクターにしたかったからです
次回『たとえどんな世界でも』
第2章 登場人物紹介
《原色高等学校消えた九不思議》
次回は読まなくても、別に構わない




