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たとえどんな世界でも  作者: 進藤 真道
第2章 付き合う為に剣を振れって!?……俺の努力は正しいの?
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第8話 博士と研究員の“愛„講座

 その後も二人の会話は長々と続いた。

 本当に長々と続いた。


 それは力の説明と被験者とはなにか、などの重要な話だったのだが……まず丸井さんが説明下手なんだろう。随所で先生が話の進行をしてくれた。

 丸井さんが話し、足りないところを先生が補足し、丸井さんが脱線し、先生が話を戻す。こんな事をやっていては話が長くなるのは仕方がない。

 俺と中吉のために、丸井さんと先生は話をしてくれているのだが……俺たちは会話に参加する事が出来ず、見ているだけだった。


 会話の一部始終は以下の通りである。


「片方は友人だ……彼は力を使った後、歩けない程消耗したらしい。友人の中吉君も彼の事が心配だろうからついてきてもらったんだ……それから博士、もう博士の威厳は地の底だよ」

「なんだとぅ!オレのお姉さんりょくを舐めるなよ!二人にはオレの威厳は山の様に高く見てえるよ!」


「そうやって言い返すところもマイナスポイントだと思うんだが……それより、彼等は私がさっきあげた“らぶりんグ„の力の説明が聞けると思ってここに来ているんだ。ちゃんと説明をしてあげろ」

「あぁ!そこの説明が必要なんだね!おっけー。オレの名前は丸井——」


「——自己紹介はもういい!」

「……オレ、知らない人と話すかもしれないから、緊張しない様に、この名乗りから話す練習したんだよ?」


「……好きにしろ」

「おっけー。オレは丸井アリス。ここの総責任者で、みんなからは博士って呼ばれてるよ。それでー、えっと……オレが“らぶりんグ„を作りました!」


「……えっとな、スバルくん中吉くん……ふざけているわけじゃないんだが、“らぶりんグ„ってのは、君が着けてる指輪のことだよ。名前がバカっぽいのはわかってる……呼ぶ時は“りんグ„で良い。それで博士、“りんグ„はなにを力として動いてるんですか?」

「愛だね!」


「愛っていうのは物を動かせる様な力なんですか?」

「そう!愛っていうのは、この世界に古くから存在している“力„さ!えっときみは……」


「“りんグ„をしているほうが、被験者候補の無能力者、内海スバルくん、友人は荒岩中吉くん。おそらくあの有名な清掃の勇者です」

「あぁ!君、最近結界の外のモンスターを倒してくれたり、人助けをしてくれてるって清掃の勇者くんかぁ!丁度いいね、君の力は、異世界で手に入れた清掃力を使ってるんだよね?」


「最近、清掃力の話はここら辺でも有名になってきた話ですね」

「その清掃力!それはこの世界には無い力です!君は、この世界に帰還してきて力が弱くなったはずだ。君の行った異世界では清掃力が溢れてたんだろう、でも、この世界は清掃力なんて無いんだ!だから君は、この世界では弱くなってるはずなんだ!」


「この世界には無い力を、なぜ清掃の勇者中吉くんは使えているんですか?」

「それは異世界での感覚を身体が覚えていて、君が君の身体の中で自分も理解していない所で無理矢理清掃力を作り出してるのさ!」


「じゃあ、それら奇跡の力を無理矢理作り出す勇者達に、無能力者はかなわないんでしょうか」

「そんな事はない!でも、犯罪に走る勇者に、モンスター……無能力者には辛い時代になっちゃってるよね……。だからオレたちは勇者の生み出す奇跡の力、モンスターの馬鹿げた力に、対抗できる力について研究してた!そこで見つけたのが愛なんだ!」


「それはすごい、愛は勇者にも匹敵する力なんですね。でも、勇者たちも愛の力を使い出すと、結局犯罪勇者にかなう事はないんじゃないでしょうか」

「そんなことないよ?愛は、この世界に元々ある奇跡の力なんだ、だからかな?まだ解明はしてないけど、愛は他の世界の奇跡の力とは相容れないみたい![あい]だけに!」


「……つまり、この力は異世界に行けなかった、奇跡の力を手に入れていないものだけが使える力なんだ。で、丸井博士、“りんグ„はどんな役割を果たしているんでしょうか」

「“りんグ„は愛の力を具現化するために開発されたものだよ!ところで蘭さん?さっきからなんで蘭さんがオレに質問してくるの?蘭さんこの話知ってるよね?」


「お前が被験者連れてきたら説明はさせてくれって言ってたんだろ!この前の被験者の時、私が説明したらお前、そう拗ねたじゃないか!!」

「あぁ!オレの説明の手助けをしてくれてたのか!さすが蘭さん!……前の被験者……ゴリ山さんは、いい人だったよね……もっとオレ達がゴリ山さんの心のケアを考えてれば……」


「……博士、確かにゴリ山の事は悔やむ事が多くあるでしょう……。しかし、今は“りんグ„の説明の途中です。そちらに集中しましょう」

「……そうだね。で、どこまで話したっけ?」


「“りんグ„は愛の力を具現化する道具だってところだ……はぁ」

「いま、ため息ついたよ!蘭さん今溜め息ついた!」


「さっさと続きを話せっ!」

「はーい。えっと、オレは、奇跡の力に対抗するために、奇跡の力を調べてたんだ。その内に、この世界には異世界にあるような奇跡の力なんて、元々はないんだってことに気がついたんだよ。それで、例えば清掃の勇者が使ってる清掃力、それは異世界に存在する奇跡の力なわけでしょ?なら、この世界にはこの世界に存在する奇跡の力があるんだって考えたんだ!」


「それで見つけたのがこの世界の奇跡の力、愛だと」

「そう、愛ってのは無能力者達こそが使える力なんだけど……本当は人なら誰でも使えるはずの力なんだ。昔から、男は家族を守るためにどんな辛い仕事にも耐えられるとか、子どもが生まれると母は強くなるとか言うでしょ?あれって、この世界にある愛の力を無意識のうちに使えてるわけだよ。人間には、愛を活用する器官が元々存在してるんだ。でも、オレが見つけた愛の力ってのは、人間が愛を活用できる器官ってやつは、そんな強くなった気がするとか、変わった気がするとか、そんな程度のもんじゃ全然足りない程すごいものだったんだ!だから、その力を上手く使える様になれば無能力者は決して勇者に劣る存在じゃ無くなるんだよ!」


「しかし、その力はどうやって使えばいいのかわかるんですか?」

「そうなんだよ、これまで人間は無意識にその力を使ってたからそれ以上の引き出し方を知らなかった。だからオレは“らぶりんグ„を作ったんだ!肉体で感じ取る事は出来なくても、オレは研究で、機械でその力の凄さを発見する事が出来た!なら、力の使い方も、活用できる器官の動かし方も、その力を検知できる機械に任せちゃえばいいと思ったんだよ!」


「そうして出来上がったのが“りんグ„なんですね。なら、“りんグ„を起動させる、あの掛け声はなんですか?」

「それは、制御起動キーだよ!“りんグ„は愛を使えるようにする装置なんだけど、愛ってのは本来凄すぎる力なんだ。その力が使いこなせないと、強すぎる力は“りんグ„を壊しちゃうんだ。だから本来の起動キー、“愛„を、友愛・家族愛・恋愛って引き出す力を小さくしてるんだね。その制限された起動キーで、力を縛っているのは、“りんグ„についてるその赤色の石だよ。」


「成る程。では突然現れる剣は、なんなのでしょうか」

「あの剣こそ、“りんグ„で具現化した愛の力そのものだよ!その名も“ア・モーレ„!まぁ、本当はラブリーにしたかったんだけど……あ、ラブは愛!リーは中国語で力って意味なんだよ!本来のラブリー、素晴らしいの意味もダブルミーニングして、素晴らしい愛の力、“ラブリー„!いい名前でしょ!可愛いし」


「……“らぶりんグ„を命名する時も、我々は最大の譲歩をしました……“りんグ„が完成した時の喜びを博士が、名前を“らぶりん♡„にしよって言ってきた時、我々は“りんグ„完成の喜びも消えかけたんですよ!?なんとか“らぶりんグ„にしてもらって……“りんグ„と略せるから良いものの……剣までラブリーな名前にされちゃ、こちらが恥ずかしくて死んでしまいます!」

「なんだとぅ!“ア・モーレ„なんて可愛くないじゃん!愛って意味が無けりゃ却下してたよオレは!……はぁ、ラブリー」


「名残惜しそうにするな……“ア・モーレ„だって大概なのに……こっちは一見普通に見える愛の意味を持つ言葉を、必死に探したんだぞ……」

()()()()は、“らぶりんグ„の機能で愛の力が具現化されたもので——」


「“()()()()()„だ!」

「……“ア・モーレ„は愛の力そのものでー、具現化した時点で、肉体は愛の力を正しく使用できる様になる装置なんだけど、“ア・モーレ„を持つと、そのコントロールを長時間安定させてくれるし、この世界の奇跡の力そのものだから、その攻撃力も折り紙付きなんだ!」


「はぁ……やっと力の説明が終わった……なら、我々はなぜ自分でそれらを使わないのか、被験者とはなんなのか、スバルくんには何を期待しているのか、を説明してください」

「おっけー、任せて。えっとね、“りんグ„と“ア・モーレ„はまだ、未完成なんだ。“りんグ„には愛の力を引き出し切る強度がまだない事は説明したよね?“ア・モーレ„の方は範囲と持続時間に問題がある。詳細は割愛するけど、オレ達はまだその研究をしなくちゃいけないんだ」


「これが私たちが“りんグ„を使わない理由だな。研究はノウハウのある我々がやるから使用してくれる人は外部にお願いしているわけだ」

「次は被験者の話だね!“りんグ„を使えるのは無能力者なんだけど……こんなご時世でしょ?異世界に行けなかった人々は全人類の2%だけなんだ。オレ達は、より強い“りんグ„を作ろうとしてるんだけど、その2%の中でも愛に溢れた人を探さなきゃ行けないのさ」


「つまり、被験者とは、より良い“りんグ„を作るために、我々の現在の研究結果では受け止めきれない程の愛を持った、我々の味方になってくれる無能力者のことなんだよ。こんな無能力者ならスレてもおかしくない世の中で……スバル君の身体の周りには愛が溢れていた。この愛を感知する測定器では測りきれないほどのものだった……だから私は“りんグ„を君に渡したんだ。これで説明は最後になりますよ。博士、彼にやって欲しいことは何でしょうか」

「被験者候補、内海スバルくん!君には“りんグ„を使ってモンスターとどれだけ戦えるのかを、実戦の中でテストして欲しい!期間は決まっていない!オレ達もサポートはする!けど、これは大変なことなんだ……愛には未知の部分が多い……もちろん、その力を使う“りんグ„もね……前回の被験者、ゴリ山さんは、モンスターと戦う内に力に溺れ、愛を見失ってしまった……」


「ゴリ山の事は、我々のサポート不足でした……スバルくん……前回の被験者は、死んでいるんだ……でも、スバルくんに同じ失敗は絶対にさせない!」

「スバルくん……無茶な事を頼んでいるのは百も承知さ!断ってくれて良いんだ!だけど……被験者にならないか?君には“りんグ„を使ってモンスターを倒していって欲しい、そして……ゴリ山さんみたいにならないで、出来る限り、愛に溢れた生活をして欲しい」

無駄に長い会話劇の中で様々な重要キーワードが登場した

ゴリ山は適当な名前なのにシリアスな話題を作り出した

いいぞゴリ山!その他のゴリーズを出し抜いてメインキャラ候補だ

しかし、それを追いかける影が一人

ゴリ曽我部だ


次回『たとえどんな世界でも』

第2章 9話

◯◯の勇者


“愛„の力が知りたければ次話も読め


用語紹介


出口蘭から貰った指輪

“らぶりんグ„


友愛

“らぶりんグ„の起動キー


強すぎる力を制限している制御装置

赤い石


力を使うと出てくる剣

ア・モーレ

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