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たとえどんな世界でも  作者: 進藤 真道
第2章 付き合う為に剣を振れって!?……俺の努力は正しいの?
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第5話 昭和番長《小鬼達》その1

「んだよ、もっと丁寧に帰すことは出来なかったのかよ」

「いや、俺にはわかるぜぇ……あのクソ神官ども、転移の反動で俺達を殺そうとしてたに違いないぜ!」


 うつ伏せに倒れている俺の体の上からどこかで聞いたことのある声が二人分聞こえてくる。

 俺が恐る恐る上を向くと、そこには先日俺を殴った昭和ヤンキー《ゴブリンズ》の二人組、ツンツンとリーゼントがいた。


 彼らは長ランにボンタンといった、前会った時より更に進化した、そう、昭和番長ぜんとした格好になっている。

 リーゼントは長ランを肩に羽織って、中は白シャツ、羽織っている長ランの中には金色の糸で二頭の龍の刺繍が薄っすらと見えている。

 ツンツンの方はさらに凄い。口に葉っぱを加え、シャツは着ておらず腹周りにはサラシが巻かれており、足には下駄を履いている。

 ゴブリンズの二人は俺の身体の上に乗っているのに、全く気付いていない様子で喋りだす。


「しかし、本当に帰ってこれたみたいだな。見てみろよ、空がちゃんと青いぜ……」

「うぉ、マジだな!なら、ここで俺たちの計画《地球全国制覇ちきゅうぜんこくせいは》が始まるわけだなぁ!」


 ゴブリンズ達は帰還直後の様だ……さっき聞いた話まんまじゃないかこれ?

 こいつら、異世界での力使って、番長の最大目標である全国制覇を地球全体でやろうとしてる!

 ってか上ばかり見ないで!下に俺がいるのに気付いて、重い!

 しかし、俺にそんな危険な考えを持ったやつらに話しかける度胸はない。

 BOSSの確認がしたくて走ったから、中吉もいないしな!

 俺はうつ伏せになりながら、自分の身の危険を感じ、汗を流しながらだまっている。


「さて——うぉわ!おい、俺ら人の上に座ってんぞ」

「あぁ?んなこと——うぉわ!マジだ、おいテメェ。大丈夫かコラァ!」


 リーゼントが俺に気付いて、ツンツンも俺に気付いた。二人は俺から飛び退いたが、ツンツンは大丈夫かと心配している様な言葉を俺に投げかけながら、俺の胸ぐらを掴み持ち上げあげる。

 えっ、番長って倒れてる人起こす時に、胸ぐら掴むの!?


「は、はい!大丈夫です!」


 俺は咄嗟とっさに大声で答える。

 しかしツンツンは俺の顔を見て眉をひそめる。


「なぁワレェ、俺らとつらあわせんの、初めてだよなぁ」

「お前何そんなシャバいやつに喧嘩けんか打ってんだよ、そんなやつほっとけや」

「いや、なんかよぉ、こいつの顔見てると、俺の拳がうずくんだよ。こりゃあ俺、こいつとここじゃないどこかで深い因縁があるにちげぇねぇぜ。女のナンパを邪魔されたとかな」


 ツンツンは俺の胸ぐらを掴みながらもう片方の拳をぎゅっと固めだす。

 おいおいおいおい。

 何、コイツらも帰還者なんだろ。俺、今から昨日の中吉の様な動きするやつに思いっきり殴られるのか。

 死ぬ!絶対に死ぬよ!


 辺りを見回すと、俺の周りは大きく円状にスペースが空いていた。商店街を歩く人達が俺達を避けて歩いているのだ。

 あっ、そうだったね……この世界の人達って、帰還直後人達が起こすいざこざには極力関わりたくないんだっけ。

 ってかなんだよツンツンの勘の良さ。

 異世界でナンパ止めたことをこの世界で偶然にも当てちゃうの!?

 何でもない日常の中で虫の知らせとか言って難事件解決に走りだせちゃう系なの!?


「おい、お前らスバルから手を離せ!」

「「あ゛ぁ゛!?」」


 人混みの中から中吉が現れる。

 ゴブリンズは一斉に不機嫌な声を出しながら声のした方へメンチを切る。

 中吉だ。

 た、助かったぁ……。


「おいおい……スバルってのはこのムカつく顔したやつの名前かぁ?胸くそ悪りぃ顔を見たと思ったら次は正義の味方さまの登場かよ」

「俺らに喧嘩売ってんだよなそれ、買ってやるよその喧嘩ぁ!」


 ツンツンとリーゼントは完璧に中吉にターゲットを移している。

 俺はツンツンから胸ぐらを離され尻餅をついて三人を眺めている。

 通行人達は、こんな騒ぎになっているのにまだ俺達を無視して避けて歩いていく。


「スバル!」


 中吉が尻餅をついた俺を見て叫んだかと思ったら、中吉の身体がブレた。あの速すぎて見えない動きだ。


「おいおい、テメェはステゴロと魔法の世界で、魔王メガ・リーゼントを倒した俺たちに喧嘩を売ったんだぜ」


 リーゼントがそう言いながら俺の視界から消える。そうか、コイツらも帰還者なら、中吉と同程度のスピードで戦えるわけだ……ってかなんだよけんと魔法の世界ってか、やかましいわ!

 あとなんだよメガ・リーゼントって、リーゼント、お前のお父さんかなんかかよ!


「並み居る巨人族達を二人でのしてやった事が伝説となって、付いた二つ名は《小鬼達ゴブリンズ》!簡単にお友達と合流して逃げられちゃ、俺たちの怒りがおさまらねぇだろうが」


 ツンツンも叫んだと思ったら目で追えない様なスピードで動きだす。

 おいおい……三人ともそのスピードで動かれたらマジで何が起こってるのか全く見えねえよ。

 後……どこに行ってもこいつらってゴブリンズなんだなぁ……。


 三人の姿がブレると、そこかしこから地面を蹴る音や硬いもの同士がぶつかっている様な鈍い音なんかが聞こえてくる。

 異世界の魔法の様な力だろうか。目の前の光景は、赤青黄色と様々な光を放っている。


「んだテメェ、中々やるじゃねえか」

「俺たちの魔法拳とここまで渡り合えるとはな。でも、ここからが俺らの本気だぜ《連携攻撃コンビネーション》!」


 リーゼントとツンツンの声が聞こえてくると、その本気の攻撃で中吉が先ほどとは違い苦戦しているであろう事がわかる。

 時々中吉の呻き声が聞こえてくる様になり、地面には中吉がモンスターをいくら倒しても傷一つ付いてなかったあのモップが、折れて地面に転がっている。

 きっと中吉がピンチだっ!

 いくら中吉でも2対1は厳しかったんだ。俺のためにそんな無茶に乗り出したんだ……。


 水原のためだなんだと首を突っ込んでいったあの時を思い出せ。今回なんて俺は当事者じゃないか。首を突っ込め。

 ……いや、こんな戦いヘビー級王者だって参加もしない。絶対に勝てないし……弱い俺は邪魔にならないだろ。

 むしろ、中吉のためにこの場から去った方がいいんじゃないかな——。


 ——違う。中吉は俺のために二対一なんて無茶な戦いをしてる。

 動け。何かできることを探せ。

 動かなかったよりマシな結果を掴み取るんだ!

力が足りない

そんなの関係ないと内海昴は走り出した

地球全国制覇

頭の悪そうな小鬼達の計画の行方はいかに


次回『たとえどんな世界でも』

第2章 6話

昭和番長《小鬼達》その2


“愛„の力が知りたければ次話も読め

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