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たとえどんな世界でも  作者: 進藤 真道
第2章 付き合う為に剣を振れって!?……俺の努力は正しいの?
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第4話 [BOSS!!この人を倒したらこの世界から出られます]

 俺と中吉は町の商店街まで朝食を食べに行った。商店街は町を囲む結界の中央に位置していて、この町で一番の賑わいらしい。

 確かに商店街に向かうにつれ人通りは多くなり、その道中ですれ違う人の数は都心の様に多かった。それに皆一様に同じ型の腕時計をしている。

 道すがら中吉に質問をすると中吉はこの世界について色々と教えてくれた。


 中吉が言うには、俺が死んだ中一の頃からぽつぽつと異世界転移は始まっていたらしい。

 中吉がハラコウに入学したその年に、その現象は社会現象になる程、活発化した。中吉が異世界に転移したのもその年だと言う。


 みんなが巻いている時計は、映画にも出てきた人口管理腕時計だ。

 一説によると、この腕時計を作ったのは初期の異世界帰還者達ではないかと言われている。

 しかし、腕時計の開発が政府によるものだと発表されている事、しかも帰還者であるならばモンスター達が爆発的繁殖を始めた時に表舞台に出てきていない事がおかしい、と言った点よりこの話は仮説としかなっていない。

 今の日本は総人口こそまだ減っているものの異世界からの帰還者ラッシュという時期があり、人の数がほぼ元の総人口程となっている。


 それに対し、人の住む場所がまだモンスター達から取り返しきれていない。特に人口密度の高かった日本はどこの県も凄い人口密度らしい。


 海は巨大なモンスターが多く、輸入や輸出はストップしており、世界との連絡は人工衛星を使ったネットワーク上での通信のみとなっている。

 なんと日本の食物自給率は現在100%だ。

 なんでも食物生産に強い能力を持った帰還者は多く、小さな土地であたり全体の食べ物を生産しきってしまう様な奴らがあちこちにいるらしい。


 帰還者の中には力に溺れて帰還後のこの世界なら、支配出来るんじゃないかと悪の道に走ることがある。

 その傾向は帰還直後によく見られる。この世界に自分達ほどの実力者はいないと勘違いをするんだ。

 そのため、帰還直後の人を見つけたらあまり関わらない人間が多いらしい。

 異世界に行かなかった人々ならまだしも、そんな人間に帰還直後に当たる事は少なく、大抵は帰還直後のハイテンションで同じ帰還者と戦うこととなり、舐めて戦う事で征服は失敗に終わる。

 その戦いは酔っ払い同士の喧嘩けんかの様に街行く帰還者達は傍観ぼうかんすることが多い様だ。


 町の中にモンスターが入ってこないのは結界が張られているからだ。

 この結界は多数の帰還者達を集めて行われる。帰還者達はみんな色々な世界で魔王を倒してきた猛者もさなのだが、この世界では何故か力が弱くなる。

 モンスターを倒すバイトもあるらしいのだが、力量が落ちている状態で命を危険にさらしたくないと帰還者からは人気がなく、逆に安全に金が稼げる場として、結界作りのバイトは人気らしい。


 修羅院博士は指名手配中で今はまだ捕まってはいない。

 モンスター達は進化を続けどんどん手強くなってきている様で、修羅院博士を捕まえる事がこの波乱の世を安定させる方法の足がかりになるんじゃないかと言われている。


 一通りの事を教えてもらっていると商店街に着く。

 商店街は俺の知っているものから随分と様変わりしている、というか混沌としている。歩く人の人数が多いのは道中から予想できていたのだが、何よりも建物が凄い。


 明らかに日本製っぽくない、外国の古民家風の木造な小屋や、角のない全ての壁が銀色な近未来的な建物、でかい木の幹がくり抜かれて店になってる建物と呼べるかどうかわからんものまである。

特にその木は凄い。ビルのような高さと太さのその木は、商店街のシンボルになるんじゃないかと感じる程のものだ。


 中吉によると元々の商店街はモンスター達の進行でボロボロになっており、それらの建物は商店街を復興する際に、帰還者達が各々の行った異世界で馴染んだであろう建物を各々で能力を使い商店街に作り上げたのだという。


 そんな説明を聞いていると目的の食堂に着いた。

 外観は普通の食堂だ、なんでも料理の魔王を倒した勇者がやっている食堂らしく長蛇ちょうだの列が出来上がっている。

 飯を食いにきたのに中吉は列には並ばず、店の裏に回る。するとウェストポーチから鍵を取り出し裏口から入店していく。


「俺の能力《清掃せいそう》って言うんだけどな、珍しいらしくて人気なんだよ。ここの主人も俺の客でな、前回厨房を綺麗にした時に、ここの裏口の鍵をもらったんだ。待たずに入れてなんといつでも飯は二割引だ!」


 裏口に入り事務所の様な場所に通される中吉が手慣れた感じで注文をすると直ぐに料理が出て来た。

 これ、きっと店内の人よりかなり優遇されてるな……。

 出された料理を食べていくとたしかに今まで食べたことがないくらいに美味い!

 しかし、俺はなんか一味足りない気持ちになった。


 飯を食う間は中吉の能力について話を聞いていた。

 能力の名前は《清掃》

 掃除用具を人より巧みに操ることが出来る。

 必殺技はクリーン。

 神秘の力、清掃力を使って、手に持ったモップを対象物の身体に当てることで一メートルほどのものは綺麗さっぱり消す事が出来るらしい。対象物の一部を残して消す事は出来ず、対象物の全体が1メートルくらいでないと消せないらしい。

 その力で昨日はバッタを消したようだ。

 異世界では、清掃力で身体能力が今の何倍も向上したし、クリーンの対象とする大きさも、20メートル級を超えてなおも余裕で消すことが出来たらしい。

 しかし、この世界では清掃力をうまく使うことができず、身体能力をあげているとクリーンを使えるほどの清掃力を貯めるのに半日ほどかかるうえ、クリーン一発分の清掃力を体内に貯めると清掃力の貯蔵限界となり、それ以上に清掃力を貯めることが出来なくなる様だ。

 なんでなんだろ?

 異世界ではバイキン超魔王なる存在と命をかけて戦ったらしい。

 この世界に帰ってきてからは、ボロボロになっていた自宅を清掃力を高めた状態で掃除し、それを見ていたご近所さんから依頼が殺到、現在では町のあちこちで仕事を頼まれるため金には困らないようだ。


 生活基盤がしっかりしてからは、結界の外をボランティアで見回りながら、モンスターの討伐と人命救助をしてるんだとか。

 帰還者ラッシュからまだ一年も経っていないこの世界では、みんな生活の基盤を作るために行動しており、日常生活では能力を使う事は出来るだけ抑えている。

 力があるのに厄介ごとには手を出さず、仕事のために能力を温存していることが多いらしい。


 飯を食い終わる頃には中吉の生活力の高さに感心していた。異世界って本当になんでもありなんだなぁ。

 なんだよ清掃力って、それにみんなが能力の節制をしてるなら、昨日の俺なんてのは他の人達が見捨てる様な厄介ごとなはずだ……。

 それをこいつは、ボランティアだと言って命を張ってるなんて……やっぱり中吉は良いやつだ。


 腹も膨れて店を出た後、次はどこに行こうかと商店街の人混みの中で話をしていると、俺は不思議な物を頭の上に“表示„しているおっさんとすれ違った。


 [BOSS!!この人を倒したらこの世界から出られます]


 確かにそう書いてある。

 俺はおっさんの姿を確認するため、目でおっさんを追う。が、商店街は人通りが多い、さっきすれ違ったばかりのおっさんの後ろ姿が、すぐ見えなくなった。

 姿は見えなくなったが()()()()()()だけはしばらく確認することが出来た。

 間違いなくBOSSって書いてあるよな。

 俺は中吉に確認を取ろうとした。


「なぁ、中吉、ちょっと振り返ってくれ。あそこらへんの人混みの中なんだが、頭の上に文字が出て人がいるんだ。()()()()()()()()

「あそこらへんって何処だよ。そんな文字どこにも見えないぜ」


 まだ目視出来る位置にあるそれを、中吉は見えてないと言った。


 君にはわかる様にしておくから

 BOSSを倒して無事に帰って来られるように頑張ってー


 神様はそう言っていた。

 俺にしか見えてない文字、BOSS、間違いないぞ、あれが俺の倒すべき相手だ。

 どんなやつだった。いや、どこにでもいるおっさんだった気がするぞ。

 逃してなるものかと、俺はその離れていく文字を目印に中吉を置いて走り出す。

 しかし人混みを急に走ろうとしたためか、人が邪魔で追いつく事が出来ない。

 しばらく走ったが姿どころか文字まで見失ってしまった。

 完全にどこに行ったかわからなくなった……。


 俺が呆然と立ち尽くしていると、突如俺の頭上から何かが降ってきて、俺の身体は押しつぶされた。

 お、重い……なんだよこれ、え、人?

 人が空から降ってきたの!?

内海昴が倒すべき存在はそこら辺のおっさんだった

荒岩中吉と離れた内海昴の身には……

おやかたー!空から番長がー!


次回『たとえどんな世界でも』

第2章 5話

昭和番長《小鬼達》その1


“愛„の力が知りたければ次話も読め

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