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自伝  作者: 夢の宛先
2/5

卯月

既に2年間も在籍している学校へ登校しているというのにおかしな話だが、今日ばかりは少しばかり胸躍る通学路を歩いていた。

と、いうのも、今日の発表の結果でこの1年がほとんど決まると言っても過言ではないからだ。

少し早足で校門をくぐり、靴を下駄箱へしまう。

そのまま真っ直ぐに進み、広間に掲示されている紙に注目する。

いつもの登校時間には大分早いというのに、既に掲示板の前は人で溢れている。

確認が遅れてネタバラシをされるのも嫌だが、この中をかき分けて進むようなキャラでもない。

少しばかり葛藤したが、丁度その時に空間が生まれたので、滑り込むようにして張り紙に目を通す。

「あっ、あった。」

思わず声を上げてしまったが、嫌でも残り7ヶ所を回る手間を思えば、むしろラッキーだったともいえるだろう。

1組……3年1組か。

人生で初の1組、などと少しばかり感動に耽ったが、今はそんな場合ではない。

まずはクラスメイトを確認しておかなければ。

なんの気の迷いか、ムードの所為か、昨年告白して振られたあの娘とは、さすがに違うクラスだといいな。

そんなことを思いながら目を通す。

目に入ってくる名前は、可もなく不可もなく、しかし予想通り約半数が知らない名前であった。

幸いなことに、小学校の頃からもう4年も付き合いのあるやつや、誇るべき我らがロボコン部のイケメン部長など、親しい友人も見受けられた。

残念なことに初恋の人と同じクラスになることは叶わなかったが、少なくとも1年を憂鬱に過ごすことはなくて済みそうだ。

やたら話の長い始業式が終わり、クラスで自己紹介をする。

やはり初日というものは元から中の良かった人が固まりがちなもので、結局僕も、付き合いの長い友人とばかり話し込んでしまうものだ。

昨日配信された有名パズルゲームのダンジョンやクラス内で可愛い女の子の話題でもしているうちに、1日続いたHR終わりの鐘が鳴り響いた。

早く知り合いを増やさねば。

そんな感情も抱くが、それ以前にせめて1月以内にはクラスメイトの名前くらい覚えるべきだろう。

幸いなことに、新しく覚えなければならない名前など、20人ほどしかいないのだから。

疲労と歓喜の入り混じった感情を抱きながらも、春休みから変わらないサッカー部の練習へと急ぐ。

ロボコンの方は確か1週間は休みだったはずだし、今日は鈍った体でも動かしながら、チームメイトとクラス替えの話でもしよう。


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