ブロローグ
えー、それはある晴れた日のことでした。
まあ何ていうかね、ダンプに突っ込まれたんですよ。
生まれてこのかた、そんな経験はなかったもんで、気づいたときにはあっさりあの世行きでしたよね。
その事故ったら誰が悪いって言ったらメーカーが不正をやらかして内部エラーがどうのこうのって。賠償が保険屋がうんたらって話になってたらしいんですけど、まあ誰も死ななくて良かったじゃないの。
ダンプの運ちゃんは見た目は茶髪で不自然に日焼けなんかしてたけど、奥さんに電話してたときなんか泣いてた。
俺、やっちまったよ。いざって時はマサルを宜しくな、だってさ。
泣かせるじゃないか。まだ小さい赤ちゃんだろうねー。なんて字を書くのかわからないけど、魔猿とか待去とか変な字じゃないと思うんだよね。
家族愛ってやつなんだろうね。グッと来るものがあるよね。
ああ、突っ込まれた方の運転手さんはね、流石この道30年のベテランでしたよ。乗客の安否確認、安全確保をしっかりして、爆発が起きる前に全員、そうそう、うずくまってるダンプの運ちゃんまで担いで避難させたんだもん、あのバス会社はきっと安泰だろうさ。
あ、申し遅れました。もう大破しちゃったんですけど、私、バスです。
もし生まれ変わったら、ロールスロイスになりたいなーなんて、あ、では今日はこのへんで